4話
転生したのは本当に剣と魔法の世界だった。
私が魔法を使えるかはまだ分からないけど、使えるのならば使いたい。
どうにかして知ることができればいいけど、なかなか難しそうだ。
チャンスがないと仕方のない事は一先ず置いておいて、まずはできる事からやってみよう。
今後の大まかな方針を決めて、体力作りをし、姉様達との勉強にも真剣に取り組んだ。
両親や先生、付き添いのメイドさんは授業に耳を傾ける私にびっくりしたようだった。
そりゃあ、1歳の子が出来るだなんて思わないもんなぁ~。
ただ、姉達と同じような行動をとりたいだけだと思われたようで、温かく見守ってくれた。
そして少しずつ学ぶ事2年、授業は礼儀作法も加わってきたが、これには私は参加させては貰えなかった。
まぁ、それを学ぶつもりはないし構わないけどね。
そして暇な時間は屋敷近くで母様が営んでいる診療所へ行くようになった。
実は母様は魔法が使えたのだった。
最初はどういう風にして魔法を使っているのか見たくてついてきたが、診療室には入れてもらえず、町の老人達のアイドルと化していた。
ちやほやされるのは、悪い気はしない。
だが、年寄よりはイケメンにちやほやされたいよね!
そこで考えたのは題して『誤魔化しは効かないよ!お手伝いするんだから!作戦』
3歳にもなれば簡単なお手伝いも出来るって事で、母様に『母様のお手伝いをしたいの~!!』とごねて、診療室の前でじぃっと動かないでいる!
これで梃子でも動かぬ幼児の完成☆
見かねた大人はお手伝いを頼んで物事をスムーズに進めようとする筈である。という作戦。
…というか単に我儘を言うだけ。
我儘は子供の特権よね☆
難無く作戦は成功して、簡単だけどお手伝いをさせてもらえるようになった。
これで魔法を使う場面を見る事が出来ると思ったけれど、母様は全て魔法で解決せず、重い症状にだけ魔法を使っているようだった。
なんでも
『モンスターに襲われた人がいた時に魔法を使えるように』
なんだとか。
ただ、診療所のお手伝いさんや町の老人達の話によれば、魔法を使える人を見つけるのが難しい分、希少性故に人攫いなんかもあるんだとか。
基本的に狙われるのはひょんな事から魔法が使える事が判明した子供だったり、力のない女性だったりするらしく、人攫いから守る為に魔法が使える事を周囲に伏せるらしい。
母様も父様と結婚してすぐの頃、攫われそうになった事からあまり頻繁に魔法を使わないようにしているという話だった。
屋敷でも医学書を読んでいる姿を見て、いつの間にか私も一緒になって本を読んでいた。
最初はびっくりしていた母様だったけど、私が4歳になる頃には簡単な手当の仕方を教えてくれるようになった。
『怪我をしている人がいたら、優しい気持ちで手当てしてあげてね』
そう笑って教えてくれた母様の笑顔はとても綺麗で印象的だった。
私自身、魔法が使えるかは分からないけど、今は母様の手伝いをしながら一般教養をつけていく事をしよう。
冒険者になるにしても、領主の娘として生きるにしても、何もないより断然いいだろう。




