2話
「お姉さん」
泣き続けていた私を少年が呼ぶ。
「一度離れてしまった魂と身体を繋ぎ直すのは無理だよ。でも魂だけは助けることができたんだ。ちなみに助けられなかった場合は…」
少年が指を指す先にモニターのようなものが浮かび上がる。
そこには、黒い靄の様な集合体が蠢いている様子が映し出されていた。
よくよく見てみると、人の手であったり、口であったり、はたまた動物であったりと様々な物が黒い靄に雁字搦めにされているかのうようだった。
気分が悪くなり目を背ける。
「奴らの仲間になってあの中でずっと苦しみ続ける事になるんだ」
「…」
そう言われると魂だけでも助けてもらってよかったと思えてくる。
悪霊の仲間入りなんてごめんよ。
少しだけ気持ちが前向きになれてところで少年が提案してきた。
「お姉さんが望むなら転生する?僕にも責任あるからね」
「転生?」
「うん。これでも僕神様だし!迷惑かけちゃったから3回転生させてあげちゃう!」
「神様って…」
「そりゃそんなに偉くないけどね!お姉さん一人位転生させるのなんて余裕なのさ!」
エッヘンと胸を張る自称神様。
自称神様とか怪しさしかない。
目の前でニコニコしている自称神様に無理難題を吹っかけてみよう。
「今の人格とか記憶そのままで転生できる?」
「む。記憶を持ったまま転生したいとは…いいよ!」
軽い。てかそれできちゃうんだ。
「特別な能力なんか付けられるの?」
「努力無しで生きてこうとするんじゃありません」
あ、はい。
それはだめだよね~。
「まぁ、才能の種位はつけといてあげるよ。努力すればちゃんと実る筈だよ」
あら、何気に優しい。
「転生する世界はどんな世界?」
「それは僕にも分からないよ。案外ファンタジーな世界だったりして」
今と同じ様な世界でも文句はないけど、今よく小説の題材になっちゃうような魔法が使えちゃう世界とか夢見ちゃうよね~。
「他に質問は?」
「何で3回なの?」
「さっきも言ったでしょ?迷惑かけたからって。ちなみに!3回転生できると言っても、命を無駄にしていい訳ないからね!同じ人物になれる訳ないし、記憶を引き継いで転生するなら、死ぬ瞬間の記憶もしているんだからね!そこんとこ肝に銘じるように!!」
ビシッとこちらを指して忠告してくる。心配しているらしい。肝に銘じておこう。
回数については自称神様の気持ちらしいからありがたく?受け取っておく。
「で、転生する?」
「転生しない場合は?」
「流転輪廻の流れに従って、生まれ変わる。かな」
「普通に死ぬのと同じって事?」
「その通り」
それならば答えは決まっている。
「転生するわ」
少年はニッコリと笑い。
「そう言うと思ったよ。じゃあ時間もないし、早速いくよ」
手を翳して目を瞑る。
しばらくすると翳している手を中心に光が溢れて目の前が白くなる。
そういえば、自称神様の名前聞いてなかった。
「ねぇ!貴方の名前は?!」
強くなる光の中で自称神様の声がする。
「僕の名前はナハト。またね」
私の視界も意識も真っ白に塗り潰された。
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