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序章 -古びた駅-
いつからこうしているのか。
僕は闇にふわふわと漂っていた。
数分、数時間はこうして途方に暮れている。腕時計はないし、あっても見ることが叶わないが、体感でそのくらいだ。
落ちているのか、飛んでいるのか。宇宙に行ったことはないけれど、きっとそれに近い。
墨のようなツヤのない闇。小さい頃、悪いことをした罰として押し入れに閉じ込められたことを思い出した。ただし、今回は叩く壁も襖もない。生まれて初めて空を掴む体験をした。
間も無くして眼下にいくつか光が現れた。空から見た空港の誘導灯のように規則的に並んでいる。
自分が目を開けていたことを思い出させてくれた光は次第に大きくなり始めた。僕が近づいているのか、向こうが近づいているのか、はたまた光が大きくなっているのかはわからない。
光は僕を通り過ぎて、高い位置になったところで、僕の足に吸いつくように床が出現した。やはり落ちていたのだろうか。
続くかな?