9章 イリスついに帝都へ
外食でのクルスの以外な頼りがいを知ったイリスお姉さんを仲間に・・・
フルコースメニューが次々と運ばれてくる。3品目でギブアップを言いそうになっていた時、料理がクルスに取られた。食べられないとまだ言っていないのだから取る必要はないのにと思っていた。だが、フルコースの最後のデザートだけはちゃっかり食べた。それを見たクルスは自分の分を食べたのに、こっちを見て口開けて呆けていた。よほど僕の分をも食べたかったのだろう僕の皿を見てが止まっているのだから。
それから、少ししてお会計をすると、合計金額が、大変な事になっていた!
冒険者が一生懸命に働いて半年何の飲まず食わずで生活していてやっと手に出来る金額が今夜だけで吹き飛ぶのだから驚きだろう。普通の貴族は来ないんじゃなくて来れないんだ因みにお姉さんは口を開けたまま固まっていた。冒険者稼業をしているお姉さんだから分かる事だろう。それと、この口を開けたまま立って動かないお姉さんはマリーという名前らしいのだが、よほど値段がショックだったのか4分ぐらい固まっているなので最終兵器を使う事にした。最終兵器とは、僕の事である。僕が可愛いと評判の声を出しながら抱き着く作戦だ。これにはクルスすら賛同してくれた。流石にこのままという訳にはいかないだろうなので、甘い声で、
「お姉ちゃんどうしたの?僕の事をかまってよ固まってるんだったら抱き着くんだよ?」
ぼふ!という擬音が入りそうな勢いで抱き着きさらに目で抱っこと要求したら、今まで固まっていたのが嘘のようにマリーさんは復活し、抱き上げるととても幸せそうな顔になった。僕は、計算どうりに事が運んでくれてよかったと思った。失敗したらまた黒歴史を作り出すとこだった。なので成功してかなり安心した。
「よかった戻ってきてくれて」
少しあざとくニコニコしておいたら、マリーさんがとろけた顔をしていた。近くでクルスがジト目でこちらを見ながら
「それをやるんだったらこっちにもして欲しい」
と、目で訴えつつ、何かの呪詛のように唱えていた。
正直怖い。
なんでこんな性格になってしまったのだろうと本気で心配になる。僕が国を離れるなんて思っていないだろうが、実際それも考えているが、一種の病気になったというかもはや中毒者だ。こんな獣のような人を国に一人残しておくと何かに覚醒して僕を探し出すかもしれないそれが恐ろしい。この国は本当に大丈夫なのだろうかと思えてしまうほどにだ。だが、誰しもが独り立ちをするように、僕もしたいと思っている。しかし、この服装で行くのはいまいち気が引けるしかといって普通の服装つまり、男物の服を着ると、やはり自動的にトラウマが発生するなのでこれからの事はひとまずこれくらいにしておこう。
先に学校だ。自分で言うのもなんだが、勉学は一様かなりできていた方だと自負している。学年でも10位以内には入っていたはずだ。確か…まあ、そのことはそのことで、これからの新しいスクールライフを満喫しようと思う。
店の前にあった馬車に乗り込み一同は、今日泊まる部屋へ程よい馬車の中の暖かさといつも寝ている時間を過ぎているせいか睡魔が僕の意識を攫おうとしている。僕がクルスの隣でうとうとしているといつの間にかついていた。ふと意識をこちらに戻すとルーシィ―にお姫様抱っこされ、部屋に運ばれているではないか!これには流石に驚いたと言うか、びっくりしたので「え、え?」としか言えなかった。しかし突然の事にも慌てず対応するルーシィーはすごいと感じた。夜も遅かったので、お風呂に入った後、パジャマを着て寝ようとしたら、向こうのドアががたがたと音を立てていた。不審に思ったので近くに寄ってみたら、クルスとルーシィ―の声が聞こえた。
「夜這いのつもりですか?」
「ち、違うわよ」
「じゃあ、こんな夜中に何かイリス様に御用があったのですか?」
「そ、それは、保、保護者だからちゃんと寝ているのか見に来たのよ」
「そんな、即席で取り繕ったような嘘が誰でも通じるとお思いですか?」
「う、嘘じゃないもん」
「右の口角が上がっています。嘘をついているときの癖が出ていますよ?」
このような会話を聞いているうちに警戒した自分が愚かに思えてきてベットに倒れ込んでそのまま意識を手放した。
次の日になり、4日目やっとこれから通う国の一番端にある町に着いた。話を聞けばこの町は貴族が1から建てた町らしい。戦争のときに役立ったであろう高さ5メートルぐらいありそうな壁が町を囲むようにして立っている。ここを収めている貴族の現当主は、サー=マルコだそうだ。収めている貴族つまりは領主の話をすると、喜んで話すことから思い税収を掛けている訳では無い事がうかがえる。そんなやつだったら好感が持てる。
しかし、のどかな町だ。今は、馬車から降りて護衛にマリーさんを引き連れて街中を散策している途中だ。のんびりした感じを漂わせつつしっかりと発展している。区画ごとに分けて、自治や経済の部分は真ん中へ周りは加工用に鍛冶屋があったり、住居があったりしている。この町の人も楽しそうだ。何より子どもが生き生きとしている。公園のような公共施設等もありすごいと感じた。
そんな事よりもみんなの視線が刺さるのだが、まぁそれも当然かなぜならこんなに派手な服装はしないだろうからだ。因みに今着ているのは、パーティードレスのような少しフリフリになっているものだ。不安になって歩いていると、マリーさんが耳元で「似合ってて可愛いですよ」と言ってくれた。フォローが入るだけでこんなに違う物なのかと驚いた。昨日の料理を食べに行くときのドレスは、全然動く事を想定していないので、動きにくかったが今着ているドレスはスカートの丈が膝までしかないので逆に動きやすい。すると、マリーさんが突然走り出した何かと思い見てみると、可愛い小物がたくさん置いている雑貨屋さんがあった。なるほど、この中には可愛いものがいっぱいあると思ったんだな。と思いつつ入っていった。
「何この可愛い髪飾り、あ、こっちにもいいのが、あ、こっちにもある」
見たところ銀細工が施されているようだった。銀が使われているだけで値打ちがすごく上がるみたいだ。お会計をしているとマリーさんは難しい顔をしていた。相当だったのだろうがそれも一瞬でいい顔になった。たぶん納得のいく金額になったのだろう。安心している。
それから町を歩き、服を何着か買って宿に着いた。途中ヤンキーみたいな恰好の人が肩が当たって言ってきたし気分的に害されたので、のしておきました。手順はまず、対手に明確な敵対意識があるかの確認し、次に水属性の高等テクニックを活用して氷を作り出し、足元を凍らせ真上に巨大な氷を出し、ごめんなさいと謝らせるまで上げては下げてを繰り返していた精神的に来るものがあったのだろう泣き出していた。それを発案して実行したのは僕だ。
え、ひどい?だって気分を害しに来る方がよっぽどひどいと思うけど。
宿に帰って、クルスに言ったら、「もっとやってもよかったのに」と言っていた。しかし、馬鹿なやつもいたもんだな現役の冒険者や今証明できるものはないけれど仮にも王族に手を出したのだから、僕以外がいたら僕が処断を下さなければならない。流石にそれは僕が命じる事だけどまだこの手は汚したくないていうのが理由でもあるんだけど。
まあ、今日はもう休んで寝てしまおうと思っていたのだが、買ってきたものを見るなりクルスやマリーさん、ルーシィ―が目の色を変えてきてくれとせがんで来たやはり自分より小さい服を買うのはおかしいなとは思っていたが、まさか僕用だったとは思わなかった。そしてまた着せ替え人形になっている訳だ。ちょっと待てよ何か忘れている気がするぞ。何だったかな、う~ん。あ、思い出した。領主への挨拶をしていないな。そのことをクルスたちに伝えると、
「あ、忘れてた」
案外反応が軽かったのでいいのかと思ったが、貴族が王族に挑むというのもおかしいだって身分がそもそも違うのだからと思っていながらも着替えは尚も続く。が、不意な襲撃にそれも中断されてしまう。外が騒がしくなったと思ったら、ノックがあるかと思いきやなく急にドアが開いた。僕が着替えている下着姿の状態で、なので即座に脚力」を限界まで強化してベットの影に隠れた。そこから現れたのは、この街を統括している貴族だった名前は確か、クレイアス=マルコフその人がドアを勢いよく開けて固まっていた。というかなんでか固まっている。ルーシィ―がこちらに来て着替えを手伝ってくれて早く着替えることができた。ので、固まっているマルコフに話しかけてみることにした。
「あの~、大丈夫ですか?」
「あ、はっはい、大丈夫です」
「それでここに来たのは何かの御用ですか?」
「こちらの宿に王族の方が来ていらっしゃると聞いたもので、挨拶にと伺ったのですが出だしがこうなったものでこの状況に至っている訳です」
「そうだったんですか。まぁゆっくりして行って下さいよ」
「王族の皆様、お初にお目にかかります。クレイアス=マルコフと申します。以後お見知りおきをそれからお聞きしたいことが1、2点ありましてお尋ねしてもよろしいでしょうか」
冷静になったクルスが自己紹介を始めた。マルコフが本当にいたという顔になり、僕がここの住民と思われる人に襲われて返り討ちにしてやった事を話していると顔が青くなったりする。観察していると、面白い。しかし、メイドチックな服を着ていたのでメイドだと思っていたのだろう。僕が空気的に自己紹介する雰囲気だったので、自己紹介すると面白いほどに驚いていた。やはり自己紹介はやっておくべきだと思った。先ほどから驚いているマルコフに
「用件はそれだけですか?」
と尋ねると、「はい以上になります」と言って部屋を出るときは頭を下げて帰っていった。さっき起こった事を話すと、意外に好印象だったようだ。僕の下着姿を見た事以外はね。
「理由は分かるけど、ノックもなしに入ってくるというのはどういう事かしら」
「確かにそうですけど、起きてしまった事は今更もみ消す事窓できないでしょう?」
「許してあげようよ。下着姿を見られたのかな?でも、視覚出来ていたのなら記憶を飛ばせばいい事じゃないですか?」
こう冗談で言ってみると目がマジになって「やってやろう!」という雰囲気になっているので怖いって冗談なのに。そんな事をみんなが目だけで会話しているものだからね。
しかし、こんな事もあってかすぐに寝られた。最近は夢を見なくなった。あの夢だ。僕に力を与えようとするあの龍のことだ。
そして、5日目の朝を迎えた。街から出て道中を進んでいる途中だ。窓から見える風景が平原から森へ変化した。森に群生しているキノコや薬草は冒険者の大切な補給源になるがしかし、中には毒を保持しながら得ている奴も多いので一般的には商人に任せるという体制をとっている。しかも、ギルドから買う方が安い。
もう少し行くと綺麗な泉が見えてきた。水も飲めそうだから
「ここで休憩しない?もうすぐお昼だし」
「じゃ、そうしましょうか」
「やったー」
なんて会話をしている。ルーシィ―隣で控えてサンドウィッチをバスケットの中から取り出した。マリーさんはと言うと。御者台のところで自分が作ってきたと思しき黒パンサンドウィッチを貪る勢いでほうばっているところが連絡口から見える。ハムスターのようになっている。
しばしの休憩も終わり、そろそろ出発になるときにちょうど正午を回ったあたりだ。御者の人が、
「このペースだと、もうすぐ着きますね!」
「分かりましたありがとうございます」
しかし、こんなに日が高いのに冒険者の一人二人も見ないのだろうか。ちと疑問になるな。この疑問はやたらさっきから見えている看板を見れば答えが分かった。
しかし、王家の紋章付きの馬車ではしると、近くをと通る商人や、貴族の馬車が接近してきて窓から覗こうとしてくる。
しかし、結界の応用で、窓からこちらを認識出来ないようになっているので、結局は諦めるしか方法が無い。やはり王家と言う存在は人間社会の中でも頂点に位置するものなのでそれだけの興味も自然と湧くのだろう。
「ねぇ、みんなが見てくるよ、良いんだよね?見えてないから」
「そうね、王家という後ろ盾は商人にとっては強力な後ろ盾になるからね。王家てのは分かるけど、どんな人なのかは気になるんじゃないのかな?」
そんなものなのかな?と考えつつ、街道をどんどん進んで行く。そして御者さんが、
「帝都が見えてきましたよ」
「本当だ。街がすごく大きいよ。沢山の人が歩いているよ」
この光景を見ていると、東京のスクランブル交差点を連想してしまいそうになる。
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