32章 銀の細工
仕事を終えて城に帰ろうしたイリスだが…
帰ってきて頑張って書類をしてようやく終わった。しかし、もう夜になっていて城に帰らないといけない。生徒会のみんなは門限の方が守れないようなので一応交渉しておいた。確認を先にとっておいて正解だったと内心で良かったと思っている。それを聞いてみんなも安心しているようだ。
馬車で帰っている途中に地平線に沈んでいく夕日が見えた。遠くの方に見える山の尾根をゆっくりと夕日が流れていく。朱色に輝く太陽はまるでルビーの宝石のようだ。皆でその光景を見ていると、馬車が到着したようだ。いつものようにメイドさんたちだ出迎えてくれる。しかし、長い間開けていたためかまずは私の心配をされた。
「大丈夫でしたか?」
「何もなかったわ。大丈夫よ」
「それはよかったです。暴漢に襲われたりして無い様なら相手を地獄の業火で焼かなくて済むわね皆さん」
「「はい!!」」
内心、「はい!」じゃないと思っていたのだが、まぁ、前例があるからね仕方ないね。まぁ、心配してくれるのはありがたいけどね。多分業火とか言っているからね火刑なのかな?やめといたほうがいいよと顔に出さないように必死にこらえた。
「まぁ、そうね。火刑はどうかと思うけど無事に帰ってきてくれた事は嬉しい事よね」
「早速だけど、みんなの分のお部屋に案内してもらえますか?後、そのあとにご飯の案内もお願いするわ」
「了解致しました」
「では皆さん、部屋の方に行ってもらっても構いませんよ。ミーシャ達の誰かが呼びに行くと思うので」
そういうとみんな部屋に送られて行った。それを私は見た後厨房に行った。そこにあったのは、食器類を大量に買いなおした後の新しい食器の山だった。なぜこんなに大量の新しい食器があるのかは分からないが、“何かがあって割れてしまったのかもしれない”と思っておこう。しかし、これは銀食器がとても多い感じがする。まぁ、取り敢えず時間的にも余裕があるので、少し凝ったものを作りたくなったなかったので、考えた結果お肉があったので、薄切りにしてそれを広げてラクレットチーズを削りとろけるチーズみたいにしてミルフィーユにしておいた。それをオーブンに入れて20分ぐらい放置しておくと中のチーズもいい感じに溶けただろう。厨房の中がとてもいい香りが鼻に入ってきてよだれが出そうになる。取り出してお皿に並べて盛り付けて後は温野菜を付け合わせに入れて彩もいれて見た目もよくして確認して“GOサイン”を陰で見ていたメイドさんたちに送ると一瞬は驚いたように動揺していたが、しかしさすがはプロだ。一瞬で表情を作っていた。それから、素早く移動していった。入れ替わるようにミーシャがタイミングよくワゴンを持ってきてくれた。
「いいところに来てくれたわ」
「もうすぐ出来上がると思っていたので用意はしておいたのです」
「では、この品を載せておいてくれるかしら」
「はい」
手早くミーシャは並べていく。ワゴンに全部載せきると移動していった。片付けをした後、ホールに入ると、もうみんなも着席しているようだった。私も少し自分の部屋に寄り道してきた。着替えてきたのだ。今日は純白のワンピースだった。みんなが見てくれているので微笑んでおいた。
「では、いただきましょうか」
「「はい」」
みんながおいしそうに食べている“良かったと思って”私も食べ始めた。チーズのいい感じで溶けているので見た目のいい感じになっている。そんな中で、ミーシャがつまみ食いをしているところを横目で見てしまった。何だかお腹が空いているようなので、私の分の料理を渡すと喜んで持って行った。何であんなにうれしがっているのかは分からないが、しかしメイドのみんながこちらを見ていたので、気になるが深く追求しないようにしておこう。
「ねぇ、持って行ったけど良いのかい?」
「はい、大丈夫ですよ。私が許可を出したのですから」
「ところで、この屋敷は広いですね」と会長が言ったのでそれに対する反応をソフィーが「この屋敷は、平原も私の物になっている」と衝撃の事実を告白。
みんなの顔がみるみる輝いている。それもそうだろう。公爵ですらこんな大きな面積を持つ豪邸や別荘を持ち合わせてはいないだろうから。しかし、私も知ってたとは言え、やはりもう一度驚いた。
「そうなんですよ。だからここからの通学もあまり良い事ではないのですよ」
「そうなのかい?」
私の部屋も実際、塔の上にあるし不便で仕方がないので、実際に部屋を変えたいと思っている。それにドレッサーも大量のドレスや服が入っているので、もう一杯なのだ。
「皆さん後で私の部屋に来ますか?」
みんな一様に顔を縦に振っている。振った後にみんなが食べる速さを上げて早く行きたいと言わんばかりに席を立っている。仕方ない、行きましょう。
「ミーシャ着いて来てもらえますか?」
「はい、行きましょう」
まだ部屋が塔の中なので、階段を上がり私の部屋に着いた。いつもきれいにしているので、本などもちゃんと片づけてある。早速ドレッサーの中に興味津々なみんなは私が許可を出すとドレッサーを開け放った。中には当然沢山のドレスや服などが入っている。それを見た先輩たちは目を見開いていた。数に驚いたのだろうか、それともデザインの美しさに驚いたのだろうか。それは分からないが、しかし、みんな固まってしまっては話ができない。
「皆さんどうですか?」
「感想と言う意味で聞いているのなら、凄いとしか言いようがないな。」
「そうですわね。これで着せ替え人形にできますわね」
書記の人喋るんだ初めて気づいた。それから数秒遅れて、後の事に気が付いた。着せ替え人形と言ったのだろうか。それはもう慣れてしまったので大丈夫ではあるが、これ以上手持ちにドレスが多くなってしまっても困るだけだ。
新しいドレスは…と言ってしまった事によって書記の人がそれだと言わんばかりに表情が輝いた。もういらないのになと思いつつ作られていくのだろうとあきらめた。もうそうするしか他に手はない。ただ街を歩くだけなのにドレスを着たりしているのが私になっている。ドレッサーを閉じている先輩たちを横目にしながら“ショッピングにみんなで行けたらな…”と思っていると声に出ていたようだ。
「それならみんなで行くか今度の休みにでも。それならみんな大丈夫だろうからな」
「聞こえてました?」
「あぁ、ばっちりな」
「そ、そんな」
聞こえていたなんてとても恥ずかしいではないか。しかし、ショッピングに行くという案には賛成なのだが、ソフィーがなんて言うかにもよって変わってくる。多分“良い”と行ってくれるだろう。快諾とまではいかなくても許可はくれると思う。
「そうですね。それはいい案なのですが、決定権はソフィーにあるという事を忘れていませんか?」
「「あ、そういえば」」
みんな案の定忘れていたようだ。私が言った事によって思い出したようだ。
しばらく経って、ソフィーにも許可を取ってきて、戻ってくるとみんなはお茶を飲んでいた。かなりくつろいでいるなと思いながら入っていくと最初に気付いたのは会長である。
「どうだった?」
「はい、許可が出ました。しかし、護衛はつける事と言う風に言われたので、ミーシャともう一人メイドを連れていく事にします」
「では決まりね。来週の休日に決定と言う事で、その日は開けておいてよみんな」
こんな話をしている間に夜も更けてきたので、各自の与えられた部屋に行ってもらって過ごしているだろう。こんな感じでまた今日も幕を閉じた。それから数日出来うる限りの雑務を終わらせて馬車に乗って帝都の集合場所に行った。まだ少し時間に余裕があったのか誰も来ていない。
「もしそこの見目麗しいお方」
誰の事かと周りを見渡してみると、声を掛けてきたであろう人物がこちらを見て立っていた。
「私の事ですか?」
「はい!もちろんです」
「何かご用件でも?」
「まず名乗らせてもらえませんか?」
「良いですよ、そちらからどうぞ」
「ではこちらから、私はこの帝都で事業を行っているライルと申します」
「そうなのですか。しかし、私の身分などは明かせない状況であるので、名前がイリスと言う事だけで満足してくださいね」
これで満足してもらえただろうか?心の中で言いながら相手の顔を見ていると“そうなのですかではまた会ったら話をしましょう”と言って去って行った。
「ミーシャあれは何だったの?」
「ナンパ?なんじゃないんですかね」
護衛はいつものミーシャに加え、いつものぞき見している3馬鹿の一人を連れてきている。いつもはそんな事ばかりしているが実際はとても使える戦闘のプロなのだ。こと殴り合いに関しては身体強化を掛けないと絶対に勝てないなんていう自信すらある。そんな感じなので戦いに関しては絶対の信頼を置いている。なので、並みの相手では手も足も出ないだろう。
それからしばらくしてみんなが来た。
「お待たせ」
「集合時間から少し経っているよ」
「支度に手こずって」
「そうなのですか。まぁ、行きましょうか」
「そうね、今日はまず喫茶店に入ろうか」
「そうですね。少し喉が渇いていたので丁度いいですね」
それから私たちは移動を始めて少しすると、外見から老舗と見て取れるような場所に案内された。中に入ってみると一見してハイカラな雰囲気になっている。率直な感想を言うと死んでしまう前の世界のような感じだ。一気に懐かしさがこみあげてくる。
「ここは最近できたんだ。外観と内装のギャップが凄くていい感じじゃないか?」
「そう、ですね。いい感じではありますね」
「よし、みんな入ろうか」
会長がみんなに声を掛け、続々と入っていく私たち続々と言ってもそんなに人数がいる訳では無いが、6人はいる。入っていくとあちら側の現代感があってとてもいいと思う。あと、ほんのり木の香りがする。後は料理なんかが良いのなら文句はない。
「みんなは注文はどうする?」
「では、私はお任せにして欲しいのですが出来ますか?」
「はい、できますよ」
「ではそれでお願いします」
「他の方はどうされますか」
書記さんが“お茶だけで私は結構ですけど”と言って他の役員の人に振って自分が終わったので持ってきてもらっている水を飲んだりしている。
私は、お任せにしているので少し心配はあるものの、楽しみにしているとミーシャ達も注文を取ったみたいだ。定員さんが下がって少しすると、頼んでいたものが続々と運ばれてきた。
ワゴンの上に沢山の食べ物や飲み物を載せて持ってきてくれた。上に置いていたものをテーブルに置いていくと、私のお任せはタンポポオムライスだった。以外なものだったので正直かなり驚いた。スプーンを入れてみるとふわふわでさらに驚く私。
「イリス、それおいしそうね」
と、会長が言ってきた後に、ミーシャが耳打ちしてきて“イリス様、毒見を致しましょうか?”と言ってきたがいつもより口元が緩んでいるので、多分自分が食べたいだけなのだろうと思い“いらないわ”と言っておいた。
食べると、程よい酸味が口全体を覆い至福にひと時になる。自然と口元が緩んでしまう。とてもおいしいので共有してもいいんじゃないかなと思い、先程注文を取りに来てくれたウェイターさんが通りかかってきたので、小さなお皿を頼んで持ってきてもらった。
皆に“どうぞ”と分けていくと皆もおいしそうに食べていてくれて、良かったと思った。それからもう少しだけその店に居て、そのあと少しして席を立ってやっと本命のショッピングに出かける事になった。街の露店にも沢山あるので見ているだけでも楽しい。見ていると欲しくなってしまうが我慢しないといけない。皆もネックレスなんかを見ている。私はあたりを見回しているととある店が目についた。それはこじんまりとしているのに活気がある店だった。入ってみると、ドワーフのおじさんだろうか、お爺さんだろうかよく年代がはっきりしないが、ドワーフ族の人がいた周りに置かれているのは綺麗な銀細工の類のアクセサリーや、食器も置かれている。銀細工のネックレスに目線を持っていかれていると奥の方から声が聞こえてきた。
「お嬢ちゃんそれに興味があるのかい?」
「はい、とても美しいと感じてみていました」
「それはね特別製なんだよ」
「特別製ですか?」
「あぁ、これは私が最近作った最高傑作なんだ。それに付加効果をつけてある。それに中央にある石も綺麗だろ?」
「これは宝石の類ですか?」
「あぁ、そうだ。精霊石と呼ばれる精霊の力が入れてあるとても貴重なものなんだ。しかし、みんな見えないように通り過ぎていくんだ不思議だろ?」
「決めた。では、これをください」
「そうかい、買ってくれるのかい。これでこいつも喜んでくれるよ」
「そうであってもらいたいですね」
お会計に移ると思っていたよりも安くてびっくりした。お会計を済ませて店の外に出るとみんなもshっピングが終わっていたようで買ったものを見せ合ったりしている。その中に私も入って行ったら、おいしい物だったり服だったりしていてみんな喜んでいた。私も買ったものを見せようとすると、さっき言われて言葉が頭をよぎったのであえて言わない事にした。そして今日は会長達も自分の寮に帰って行ったようだ。当然私も帰った。
読んでいただきありがとうございます。
もしかしなくても今後も偶にこういう事(小説の投稿の遅れ)があると思いますが温かい目」で見て下されれば私も嬉しく思いますのでよろしくお願いいたします。




