30章 舞踏会へ
手紙をもらって渋々行くイリスだったが
あの後数日が経ち春休みの最終日になった。今日はあの手紙の日だ。行くためにドレスを持って行くのだが、今から出発すると距離的には明日になってしまう。帰ってくるとなると、明後日に帰ってくる事になる。なので、始業式になる日には行けない。それに、ソフィーが始業式に被るので来れないという理由から今は、クルスが来ている。昨日の朝伝書鳩に手紙をつけて飛ばして昨日の夜に着いたようだ。“どうやってきたの?”と聞いてみると、“自己強化を思いっきりかけて走ってきた”と言っているので凄い脳筋過ぎるだろと思っていた。
馬車に乗って学院へ行き会長も合流したのだが、会長がまだ来ていないようだったので、近くにいた寮生の先輩に声を掛け呼んで来てもらう事にした。しばらくすると、会長が出てきた。“すみません遅れました”と言って小走りで来た。ササっと乗ってもらい馬車は再び出発した。その間出発してクルスが“イリスに襲撃があったりしたらどうするのよ”と言っていたので、“心の中で小姑か!”と思っていた。しかし、“まぁまぁ”と宥めていたので大丈夫だと思うけど、心労も少しはあるだろうから後で誤っておくか交換条件で何かつけるぐらいで良いと思う。
馬車はかけていく。風景が変わっていくのは凄く新鮮で楽しい景色が変わると五色の色の流れが目に癒しを運んで来てくれる。景色が変わるというのは旅の楽しみの一つでもあるので、私自身としても良い。そんな中お昼になった。お昼になるとミーシャが早速準備にとりかっかってくれた。いつもより用意が早い気がするまぁ、私も手伝っているのだが。段々ミーシャも慣れてきたのだろう。クルスもそれを見ている。しかし、少しだけ見ていたからと言って、私が仕込んだのだから早いのは当たり前だが、劇的に変化して準備などの技術が上がったのは事実なのに、なぜか驚いていない。むしろ当然みたいナ顔をしているのだが、なぜだろうか。確かに今までは私が作ったりしていたので、その環境がおかしかったせいもあるのだろう。こんな事を胸の中で展開していた。
しばらくすると、森変わっていく綺麗な泉が見つかったりしているので、妖精なんかが良そうなイメージが湧いてくる。しかし、気配的には猛獣か、モンスターくらいしかないので妄想の中だけなのかなと感じている。
あれから数日が経ちやっと会場に着いたようだ。人も沢山いる行くのが億劫だ。冒険者なんかは数回位しか会った事はないが、気軽で優しい人が割と多いイメージだが、貴族となると頭の中で色々な知略が巡らされていると思うとあまり地数期待とは思わない。が、立場上そういった事が避けられないのが王族と言う立場なのだ。
「来てもらえてありがたいよ」
「いえいえ、そんな。このようなめでたい場所にお呼びいただきありがとうございます」
「む、そちらの見目麗しいお方はどちらかな?」
「あ、自己紹介がまだでしたね。お初にお目にかかります。私は、ドラゴシア王国第1王女ドラゴシア・イリスです」
「あ、申し訳ありません。先程から無礼を!」
「いえ、そのようにかしこまらないでください。そういえば、この場に来てしまいましたが、お名前をお聞かせ願えませんか?」
「そ、そうですね。では、こちらも自己紹介をしないといけませんね。私は、この度父が男爵位になりました、息子のアル・ド・クラーフです。どうぞお見知りおきを」
「はい、こちらこそ。そういえばなのですが、アルさんの御父上が見当たらないようですが?」
「あ、あぁ。父は“このような場所で出るのだから”と言って先程までは準備をしていたので、もうすぐ来ると思うのですが」
「噂をすれば来たようだぞ」
ホールの中央の扉が開くと髭を蓄えた中年男性が入ってきた。とても良く目立つ格好をしているようだ。私はあまり服には興味がないのだが、あれは派手過ぎるのではないかと思うほどだった。しかし、人の趣味趣向はそれぞれなのだからあまり気にしないでおこう。と、見ていると男爵になった男性がこちらに早足で近づいて来た。
「来てくれたのかい」
「はい、学院の挨拶が有ったのですが、このようなおめでたい事なので、書記の子に任せてきました」
「そうかい。いや~、嬉しい限りだよ。そういえばこちらの方々は?」
「そうですね。では、私から紹介致します。こちらの方々は、ドラゴシア王国の現王女のドラゴシア・クルス様、前におられるのが、我が学院の副会長でありドラゴシア王国第1王女のドラゴシア・イリス様です」
「そ、そんな!丁重なもてなしもできないのに!」
頭を抱えて悶えているようだ。他の王族ならどうかは知らないが、私たちに関してはこのくらいで激昂しているほどひねくれてもいないが、普通はそんな感じなのだろうかと思うな。
「お顔をお上げください。先程紹介いただきましたドラゴシア王国第1王女のドラゴシア・イリスと申します。私としては、突然の来訪にも関わらず沢山のお料理などをいただけて嬉しい限りなのです。それに、今日のメインは貴方ですよ。このめでたい時に悲しいお顔は不似合いですわ」
「誠仰る通りです。そうですね今日は良き日このような顔をしてはいけないですな」
悲しい顔から急に嬉しそうな顔をして挨拶周りに行ってしまったようだ。あ、そういえば名前を聞いていない。仕方ないアルさんに聞いておこう。
「そういえば、アルさん」
「はい、どうかされました?」
「いえ、御父上のお名前をお聞きしていないと思いましてね」
「あ、そうですね。では、私の口から言うのも違うのですが、お許しいただけるのであれば、父の名ラース・ド・クラーフです」
「分かりました。覚えておきます」
「出来ればそうですね。覚えておいてもらえると父も喜びますので、ところで話は変わるのですがあと少しでダンスが始まります。その時最初に私と踊ってもらえませんか?」
「そうですね、相手も探していたところなので是非と言いたいところなのですが」
「ダメなのですか?」
「いえ、ダンスはまだ練習を行っているレベルなので恥をかかせてしまうかもしれないと思うので遠慮しようかと思っていたところなのです」
「構いません。私に身を委ねてもらえるのでしたら私がしっかりリード致します」
「そこまで言ってもらえるのであれば、1曲お願いしますね」
「はい、喜んで」
しばらくするとオーケストラの人達が入ってきた。そろそろ始まるようだ。最初はいていたヒールの高い靴からヒールの低い靴へと履き替えてきた。これで踊りやすくなったと思いアルさんのところへ行き手を渡すと腰に手を腰に回された。音楽が始まりゆっくり始まった。最初の方はゆっくりだったのだが、最期の方になってくるとスピードアップしてきて軽やかなステップばかりになってきた。そして終わった。
「アルさんありがとうございます」
「いえいえ、そんな。練習中と仰っていましたが、とても上手でしたよ」
「そんな事無いですよ」
「これからどうされるんですか?」
「飲み物をいただいて夜風にでも当たろうかと思っています」
「では私も」
「いえ、それは。先程からあそこに沢山の女性が待たれていますよ」
「はは、まいったな」
「では私はこれで」
と去って行った。グラスに注がれてある物を取ってきた。そのグラスを持って夜空を見に行った。夜風に吹かれていると気持ちいい。緊張はほとんどなかったのだが踊ったせいか少し暑く感じた。なので春の夜風が心地いい。飲み物を飲んでいると、ラース・ド・クラーフさんが近づいて来た。
「どうでしょうか?楽しんでいただけていますかな」
「はい、楽しんでおります。ダンスも踊れましたしね」
「そうですかそれは何より。時に婚約者などはおられるのですか?」
「いえ、そういった関係の方はおりません。しかしながら、そのような関係を持つ事に着いてはあまり関心がない物ですから」
「そうなのですか?しかし、さぞ男たちが放っておかないでしょう?」
「そうですね。何度かは手紙などをもらいましたが、丁重にお断りしておきました」
「そうなのですか。残念です」
「そういえば何か用があったのではないのですか?」
「いえ、バルコニーの方へ出ていかれるので“どうかされたのでは?”と思いこうしてお声を掛けさせてもらった所存」
「なるほど」
「そろそろ中に入られてはどうですかな?夜風に当たるのも良いですが、外に出過ぎるのも体に毒ですよ」
「では、お言葉に甘えて中へ入る事といたしましょう」
中へ入ると、ラースさんは早速何処かへ行ってしまったので、ホールの端の方を歩いていると、クルスと合流した。何だか疲れているようだった。
「どうしたのですか?」
「いえね。立場上の挨拶も大変な訳で、ね?」
うん。言わずとしている事が分かるのでそれ以上の追及はしなかった。しかし、仕事を終わりのクルスもこんな感じの顔をしているなと思いつつ端に寄せて飲み物を持ってきてあげると、勢い良く飲んでいた。飲み終えると復活していた。早速ダンスに連れていかれそうになっているが私は関係ないので見ていないふりをした。でも私は何もない方向に向いてとてもいい笑顔で何かを送って行った。
「さて、私は食べ物でも取ってこようかな」
近くにいたメイドさんがこちらに気付いてくれたので欲しい物を言って取ってもらった。私は取ってもらったものを食べながら心の中で“ここのシェフはいい仕事をする”と思いつつ舌鼓を打っていた。すると、いきなり会場が暗転した。そして光が一点を指している。みんなの視線は自然と光が当たっている方向へ向くだろう。向くととんでもなく大きいケーキが出てきた。みんなから歓声が上がったようだ。
「「大きいですな」」
歓声がなんで生まれたのが分からないが、とにかくすごく大きい事が分かる。ケーキ入刀するのは本日の主役のラースさんだ。壇上に上がってケーキにナイフを入れている。大きなケーキに一度ナイフを入れて出して後はメイドさんたちに任せているようだ。そのケーキはメイドさんたちが切り分けて来ている人たちに配布しているようだ。とてもおいしそうだ。もらいに行った。
「クルスも食べる?」
「もらうわ」
取ってきてあげてあげた。もらうと“おいしい”と言いながら食べている。私は喉も乾いてきたのでもう一度飲み物を取ってきた。そして、お礼を言ってきた。スパークリングのようなものを渡してくれた。飲んでみるとシュワシュワして喉ごしが良いサイダーを飲んでいるような清涼感が心地よい。
「これは?」
「これはこの地元のお酒を醸造している関係で偶然出来上がったものを改良してハーブや果実で味をつけたものです」
「さしずめここの特産品と言うところですか?」
「いえ、特産品としても出そうかと考えましたが、この泡がなくなってしまうので、長距離で運ぶ事が出来ないのです」
「そうですね。1つアドバイスするとすれば、ここにハーブを入れてもいいと思いますよ」
「そうですね。試してみますね」
「はい」
と言ってアドバイスしておいた。かなりいい感じのフレーバーが出るはずだからね。すると再び大きな声でラースさんが壇上に上がって挨拶を始めた。
「今宵の舞踏会はどうだっただろうか?楽しんでもらえたのなら幸いだ。今回は特別ゲストにも出席してもらい私としてもとても嬉しい最高の気分だ。しかし、楽しい時間ほど早く過ぎてしまうものだ。名残惜しいが解散だ。今日はありがとう」
と言って壇上から降りて解散という形になった。私たちも馬車に戻って帰途に就きたいのだが、ラースさんに“泊まって行って欲しい”と言われたので厚意に甘える事にする。
夜になっているので紅茶を持ってきてもらう事にした。少し待っているとミーシャが持ってきてくれた。結構蒸らしていたのか少し苦みを感じた。
「ちょっと蒸らし過ぎた?」
「はい少し蒸らし過ぎました」
「まぁ、大丈夫だから下がって。あ、それと会長を呼んできて?」
「はい分かりました」
客室の中にあった本を読んでいると、数分が経っただろうか。会長が入ってきた。
「何か用かい?」
「少し用があったのですけど、その前に扉はノックした方が良いですよ」
「あぁ、すまない失念していたよ。それで用と言うのは?」
「その事なのですがね、特にないのですよ」
「え、どういう事?」
「俗にいう恋バナみたいな事をしようと思ってですね」
「さぁ、ベットに入りましょう?」
「い、いいのか?」
「はい、別に構いませんが」
「で、では」
「そういえば、名前に呼び合うなんて言ってましたけど、どうします?」
「“カーティス”とか2人の時ぐらいは呼んで欲しいものね」
「そんなものなのかな」
「そうよ」
「カーティスは気になる相手とかいたり?」
「そんなものはいない。それを言うなら君の方が相当相手はいるんじゃないのか?」
「いるにはいるけど来た手紙は破るか燃やしているから」
「うわ~かなりきつい事をするね」
「返事なんて書く必要がないわ。王族ならそんな事もあるで流さないといけないわ」
こんな感じて話していると、いつの間にか寝ていたようだ。
投稿が出来なくなってしまい申し訳ない限りです。これからも度々このような事があると思うので迷惑をおかけすると思いますが、どうか“温かい目”で見守っていただければと思います。




