29章 春休みの一日
普通に襲撃のあと城に帰って行ったイリスなのだが
城に帰った後、すぐに夕食を食べた。食べている途中にソフィーが“もっと御付のメイド増やす?”と聞いてた。でもそんなに必要ないかな。と思いつつ“ソフィー自身はどう思う?”と聞いてみた。すると、
「別にイリスの意見に沿うようにするからいいわよどっちでも」
「どっちにしてもソフィー自身の意見が聞きたいからどっちが良いの?」
「そうねぇ、前の件や今回の件の踏まえて言うのなら、もう一人二人は欲しいかしらね。勿論イリス自身が強いというのも分かっているけど、使用人にしても護衛にしても考えていた方が良いと思うわ」
「じゃあ、明日行ってみる?」
「明日はまだ学院があるけど?」
「担任のクレール先生の方から“休め仕事のし過ぎだ”といわれてね」
「だから、学院の方から休める訳ね。そういえばそんな申請が来ていたわね。もれなく許可しておいたけど。」
「じゃあ、大丈夫じゃない」
「そうねじゃあ、明日あたりに行ってみましょう」
という感じの話をしたので、明日のために早く寝る事にした。
翌日になると、ソフィーがいつもより早く起きていた。かなり遅刻ギリギリの時間に起きてくるソフィーが今日は珍しい。そんなに楽しみだったのだろうか。というか、早すぎるのではないのだろうか。良く目を見ると血走っていて、薄くくまが出来ていた。なので徹夜していたのだろう。何がそこまでさせるのかはわからないが、とにかく楽しみなのは分かった。なので、出来るだけ早く馬車を用意してもらい早く出た。紹介所みたいな所に行き、紹介してもらうんだけど年配の方から10代前半ぐらいの男女がいるみたいだ。こっちを見たとたんに即座に反応したのが、10代から30代の男性陣だ。演技が下手だ。目の色が極端に変わっている。端の方に座っている人は目がギラついている。“怖いよ!”心の中で思わず突っ込んでしまった。まぁ、あの人はないなと思いながら見ていると店主だろうか奥から男性が出てきた。
「いらっしゃいませ、今日はどのような御用ですか?」
「今日は使用人を探しに来たのだけれどいい人はいるかしら?あ、因みに女性でお願いね」
「男性はダメですか?」
「そうですね、この子に着ける護衛兼使用人としてついてもらいたいし、身の回りのお世話もしてほしいから」
「そうですか、ではVIPルームにお連れしますのでこちらへどうぞ」
私はなぜVIPルームに連れていかれるのかが気になったので聞いてみると、聞こえないように小声で“この商人の人は私達の恰好なんかを見て懇意にしてくれる裕福な貴族か何かと考えて待遇してくれるみたいね”と答えてくれた。丁度ついたらしく幕がかかっている部屋に連れてこられた。奥の方から何人かの女性が出てきた。一人づつ順番に挨拶をしていく中、私はある一人の女性に目を付けた。その女性は無口で挨拶も聞きにくかった女性だ。なぜかというと、まず最初にある特徴の耳が目に入ったからだ。そう、けもみみなのだ。だが、その女性は目が死んでいる何があったのかはわからないが、聞いてみる必要がありそうだ。なので取り敢えず買い取って城に連れ帰ってきたものの、理由を頑なに話してくれないので、1回ダメだったらもう諦めて今日は寝た。
次の日になって私が1階に行くと、彼女がいた私があえて“彼女”と呼称しているのは、彼女が“その名前で呼ばないでください”でと言ったので彼女の言った事に添えるようにしている。それで今日降りていくと彼女が“新しい名前を付けて欲しい”といってきた。幸いな事に朝早く起きてきたので、大丈夫だと思うが、さて、何にしようか。セリスという名前にした。彼女も気に入ってくれたようだ。特に、言いたい事も無いようだ。
取り敢えず、私は学院に行くために用意をはじめそして終わらせるとそろそろソフィーが起きてくる時間帯になった。なぜか起きてこないので見に行こうとしてドアに手を掛けると、扉の向こうから“やばい!遅れた!”と大きな声が聞こえたので、“大丈夫だよ”と言ってあげると、ガタガタ言っていた音が落ち着いた。しばらくするとソフィーがいつものように服に着替えて出てきた。
「もうちょっと時間があるけど、急いだほうが良い事はいいよね」
「わ、分かったわ。出来るだけ急ぐわ」
「そうね」
という感じに出来るだけ急がせて早く来た。来たら素早く馬車に乗り込んでセリスとミーシャも一緒に乗ってもらって学院に行く学院に行くと言っても事務の仕事をやりに行くだけなので授業はないので、あまり必要はないと思うが昨日の夜にまた会長からヘルプの伝書鳩が来た。仕方がないので行くことにした。ソフィーは無理やり連れて行かないと行かないので、今日から授業がある様に思わせている大変良心が痛むところではあるが、仕方ない。馬車で揺らされていくとやがて街の中に入り学院の中に入っていく。
「着いたね」
「あれ、ほかの人は?」
「今日は授業が無いからみんなは来ないわよ」
「え、騙された?」
「騙したなんて人聞きの悪い事言わないでよ。私はね、ソフィーの仕事の事を思って来させたんだから」
「いやよ、仕事したくない!」
「みっともないでしょ、駄々なんてこねてないで」
「行きたくない」
「はぁ、仕方ない」
「ん?」
「転移しただけよ。だから執務室についているでしょ?」
「はぁ、ここまで来たからちゃんと仕事しますよ」
「うん、それじゃあ頑張ってね」
ドアを閉めると、筆の動く音が聞こえてきたので、ちゃんと仕事しているのだろうと信用して自分の執務室へいった。行くと会長が書類を運び込んでいるところを見た。
「何してるんですか?」
「書類の移動ですよ」
「その書類は私のすべき仕事なんですか?」
「少しだけは」
「だけは?」
「私のも入ってる」
「はぁ、これだけはやりますけど、後はやってくださいね自分の分ぐらいはね」
「ありがとうね本当に助かるわ」
「でも、ちゃんと自分の仕事なんですから消化してくださいよ」
というと“分かってるわ”と言いながら鼻歌を歌って外へ出て行ってしまった。全くしょうがない人だな。と思いつつもやっている自分を考えると相当お人よしなんだなと思う。だが、優しいと言えばそれはそれで良いのだろう。
「さて、私も仕事に取り掛からないとまずいわね」
「紅茶か何か淹れましょうか?」
「頼めるかしら?」
「はいお任せください」
紅茶が運ばれてくる前に少し片付けるべく取り掛かった。取り敢えず一番上に積んであるものから処理していく。しばらく書類を処理していくと、会合参加の有無の書かれた書類がは挟まっている事に気が付いた。これは私の一存では決めかねるので会長の執務室に持って行った。すると、会長が案外普通に仕事をこなしていたので“何か思っていたのと違うな”と思いつつ、先程発見した紙を会長の渡し自分の執務室に帰った。すると後ろから“あー”と声が聞こえたので何かの時に聞いていて忘れていたものだと思う。まぁ、多分私には関係のない事だろうから大丈夫だと思う。
それから少し処理しているとミーシャが紅茶を持ってきてくれた。少し休憩を入れてもいいので、休む事にした。紅茶がとてもおいしいな、お菓子も何か欲しくなるな。そうだ、学院内にあの先生いるのかな。カーミラ先生。ちょっと探してみようかな。あ、その前に
「ミーシャ、パンと卵と牛乳を買ってきて」
「了解しました。少々お待ちください」
「分かったよ。急いで無いからゆっくりでいいからね」
「はい」
と、買い物を任せて私とセリスで呼びに行く事にした。呼びに行く前に、会長にお菓子を作る有無を伝えてきた。渇望していた糖分が入る事が決まり、狂気しているようだった。なので私達は見ていない体でドアを静かに閉めた。怖いからね。仕方ないね。
「職員室のに行ってみて、確認してみるよ」
「はい」
少し歩くと着いた。尋ねてみるといた。“お菓子を作りたいので”と言うと、“私の欲しいから行くわ”といったので“もう少し経ってきてもらえますか?”と聞くと、“少し待つわ”と言ってもらえたので安堵した。なので調理室に行く途中に、ミーシャも来てくれたので、丁度良かった。そこから、調理室に向かった。材料はもうそろっているので、フレンチトーストを作る事にする。簡単なのですぐに出来る。
しばらくして卵液にパンを付け込んでいると丁度カーミラ先生も来たので焼き始めた。焼き終わるといい感じの焦げ目がついたおいしそうなフレンチトーストが出来上がった。バターやシロップは保管庫にあったものを許可をいただき使った。出来たものを会長に持って行ってあげるとすごく喜ばれた。こちらとしても作った甲斐があったと心の中で思った。一応、ソフィーにも持って行ってあげた。結果、滅茶苦茶喜んでいた。みんな喜んでくれたようでよかった。洗い物も先に片付けておいたので、後々の処理もなくして置いた。これで、さっと仕事に戻れるだろうという私からの配慮だ。
この後、全ての仕事を終わらせた私は、最近になってとんと読書が出来ていない事に気が付いたので、この学院の図書館に行くことにした。そこに着くと、古本のあの匂いが漂ってくるかなり広い部屋になっていた。私としては、おおいに喜ばしい事だ。少し見てみるだけでも過去の文献があったり、こればかりは魔術や剣術を教える学校ならではの呪文の書や剣の扱い方などの指南書があった。偶にあったのは英雄譚などの物語があったりした。英雄譚を見ていても興味深い。興味津々で読んでいると近くに来ていたのであろう女子生徒が口々に“可愛い”なんて言ってくる。恥ずかしいという気持ちも出てこないほどこの英雄譚にのめり込んだ。時間を忘れる程読みふけっていた。気が付くと、昼の時間を過ぎそうになっていた。そこで本を図書委員の人に頼んでカウンターに置いてもらう事にしたのだが、カウンターの位置が高すぎたのだ見上げなければ私はならないので、ミーシャに頼んで言ってもらった。
そういえば最近あの隠れ家的なカフェに行っていない事を思い出し、“今日は何故か良く思い出すな”と思いながら向かっていると、私はドアの前にいた。掛札を見てみるとちゃんと開いていたので嬉しさのあまり心が躍った。ここのパフェもいいけど他の料理も食べたいと感じていたからだ。だから楽しみでしかなかった。入ると暖かな空気が私たちを迎えてれる気がする。
「いらっしゃい」
お爺さんが言ってくれた。“お久しぶりですね”と言うと“そういえばそうですね”と言うと注文を聞いてきた。なので“お勧めをください”と言った。“わかりました”と言うと、調理に取り掛かってくれた。すると、すぐにいい香りがしてきた。多分この香りだと、ビーフシチューだと思う。出てきたのは、案の定ビーフシチューだった。とてもおいしそうだ。牛肉だと思うのだが、口に入れるとホロっとほどけてしまう。すごく煮込んであっていい感じになっている。
「すごくおいしいですねこれ」
「ありがとうね」
と、食べてしまうとお代を置いて帰った。学院の方へ戻ると丁度ソフィーが来たので“仕事が終わったのか”と聞くと、“昼食を取りに行ってたからこれからまた再開するつもりよ。このペースならもう少しで終わるしね”と言ったので、じゃあ、頑張ってねと言わんばかりに手を振っておいた。ちょっと不機嫌そうだったけど、“もう少しなら私のヘルプもいらないだろう”と思案を巡らせていた。私は、図書館の所に本を置いてきたのを忘れかけていたので、図書館に行く事にした。
「ミーシャまたお願いね」
「はい」
と言って、本を取ってもらった。英雄譚をまた読んでいると、読み切ってしまった。かなり大きな本だったのだが、1日で読み切ってしまったようだ。取り敢えず自分の執務室に行く事にした。その途中に会長に出会い、
「さっき持ってきてくれた書類あったでしょ?一緒に来てくれないかしら」
「会長の仕事ではないんですか?」
「同伴者は複数人可能って書いてあったから。大丈夫だよ」
「はぁ、ところで主催者はだれなんですか?」
「君に前結婚を申し込んだ奴がいただろ」
「はい、いましたが。なぜ知っているんですか?」
「なぜ知っているかは置いといて、その貴族なんだけど今までは末席に居た貴族なんだけどね末席からの昇格が決まったみたいで、今度自分の屋敷に呼んで舞踏会をしたいらしいのよだからその招待状があの紙って訳」
「あまり行きたくはないのですが、1度手紙をもらった相手です。ですから1度行ってもいいかもしれませんね」
「本当かい!ありがとう」
と言って会長が上機嫌になって自分の部屋に帰って行った。
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