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異世界で、現代の知識を使って国を建てる英雄が僕な件?!  作者: 十六夜 瑞樹
イリスの学園生活
27/44

27章 春休み

祝賀会が終わり春休みに入り、帰省するイリスだが…

 祝賀会から少し経ち、沢山の雑務に追われながら迎えた春休み。私は、王国の方へもどなければクルスが暴走してはダメだから、書類を持って帰省きせいする事にした。


「はぁ、王国に帰るのも久しぶりだな」


 と、王国から出された刻印付きの馬車に乗りながら窓から流れゆく景色を見ながら私は、書類作成や、処理をこなしていく傍らで、ミーシャが紅茶を淹れたりしてくれてサポートしてくれている。出発して最初の夜を迎えた。遠くの方で動物の鳴き声が聞こえる。人の声が無いのが、いい感じだ。ミーシャも隣で寝ているが、すぐに起きられるようにはしているだろう。御者の人はキャンプを近くでするらしく、馬車の中にいるのは私たちだけとなる。だが、意識は深くまで落とさないようにしながら寝た。


 やがて朝日が馬車を照らす頃に起きた。晴天とはいかず、曇天どんてんの空で今にも雨が降りそうな気配が漂っていた。定刻通りの時間になって馬車も出発した。


「何もなくてよかったよ」


「そうですね」


「ちゃんと体とかも洗いたかったんだけどね」


「しかし、馬車から離れるのは危険ですよ」


「だね」


 それから食糧の中から昼食用に持ってきていたお肉と野菜を調理した。いい感じのローストビーフになった。野菜の綺麗な色合いになっていて、とてもおいしそうになっている。


「いただきます」


 ミーシャも手伝ってくれて早く進んでいたので出発も早くできた。


 こんな感じで、ずんずんと道を進んでいった。1週間たったころ、王国の街が見えてきた。


「いや~、帰ってきた」


「しかし、綺麗ですね。街並みも」


「でしょ!でも、王城から見る方が、もっときれいなんだよ?」


「そうなんですか、それは、たのしみですね」


「うん、楽しみにしていてね」


そのころマナリア会長SIDE


「イリスがいたから仕事量がそこまでなかったのに帰省したとたん仕事の量が倍増してくるなんて聞いてないわ。でも、これぐらいの仕事量を淡々(たんたん)とこなしていったのよね凄いわね」


イリスSIDE


「クシュン」


「どうかされましたか?」


「ううん、どうもしてないけど、誰かが私の噂をしているような気がして、ね」


「そうですね、楽しみにしておきます」


 そんな事を話しながら馬車が街の中へ入って行った。街の中へ入っていくと、前のような活気が溢れていて自分の居場所の一つが無事でよかったと思った。


 城内に入っていくと、クルスたちが迎えてくれた。


「お帰りイリス」


「ただいま、帰ってきたよ」


マルグレットが荷物を持って行ってくれた。


「お料理が出来たら呼んでね、すぐに行くから」


「いいけど、その間何してるの?」


「学園の書類の処理がまだあるから、用があったら呼んでくれればいいよ」


「分かったわ」


 しばらく部屋の中に籠って書類処理をしてやっと終わった。


「はぁ~、終わった」


「お疲れ様でした」


 と言って紅茶を出してくれる。“いい香りが少し前からしていたのはこれか”と思いながら、


「ありがとう」


 と言って下がってもらった。しかし、会長からの伝書バトが飛んできた。内容はこうだ


「書類の整理が終わらない手伝ってほしい」


 この1文だけだった。なので、紙を取り出して大きな字で“ダメです”と書いて送ってあげた。この時の私の顔は凄い笑顔だったと思う。だたでさえ、いつも7割方私が処理しているのに、これ以上の甘えは学園の崩壊を招きかねない為仕方なく、そう此処重要“仕方なく”心を鬼にして送った。


 しばらく本を読んでんでいると、ミーシャが呼びに来てくれた。


「夕食の支度が整いました」


「分かったよありがとう」


 と言って下の方へ降りて行った。


 私も行くべく本を閉じて下に降りて行った。下に行くと、かなり豪勢な食事の内容だった。しかし、多すぎるのではないかと思うぐらいあるが、この量は誰が消費するのだろうか。それが心配だがまぁ、気にしないでおこう。


「今日は豪勢だね」


「そうね、今日はイリスが帰ってきた日でもあるし、盛大にいかなきゃね」


「そうだ、言いたい事があったの忘れてた」


「何かあった?」


「お見合いの書類の件見つけたら片っ端から破いて捨ててるよ」


「そんな事、別にいいんじゃない。ダメもとで送っている人も少なからずいるだろうし」


「そうだねじゃあ、変わらず破り捨ててやる。たとえどんな刻印の封印があっても破ってやる。絶対にな」


「今どんな顔してるか知ってる?凄い黒い顔してるよ」


「知ってるよ、だって、自分で意図的にしているからね」


「やめときなよ、可愛い顔が台無しよ」


「そう、じゃあやめておくかな」


 実際、誰かを盾にするというのもいいとは思うが、流石に盾になって貰っている人が気の毒になるのでそれはやめておいた方が良いと思う。ただでさえこの人気だ。だからそんな事は間違ってもできない。


 食事も終わり、食後の紅茶を楽しんでいると、クルスが“そういえば”と服を持ってきた。これならもう手慣れた物だ。だって、こんな事何回もやられて来ているんだから。もう着せ変え人形になるのかと思っている。お察しの通り、着せ替え人形になった。数十分してから解放してもらえた。途中からメイドさんも来て一緒になって着せ替え人形にされた。


 数十分経ってから満足したように帰って行ったが、私自身は慣れても気疲れは残るのでできればやめて欲しい。でも、仕方がないのかもしれない。なぜなら、もうあれは中毒だからだ。マルグレットも諦めてしまったようなのでならば、私が頑張って改善させようとしても逆効果になってしまうので、逆に意味がない。こんな調子なら寝てしまうに限る。そうやって就寝した。


「ふわぁ~よく寝た」


 ドアが開いてマルグレットが、入ってきた。


「あれ、ミーシャは?」


「ミーシャは朝食の準備をしています」


「で、起こしに来てくれたの?」


「はい、それと昨日の時に着て頂いた服の着替えをさせていただくためでもありますね」


「そうなんだ、やっぱり運命からは逃げられないんだね」


 仕方なく思って、着替えさせてもらっている。どうやら終わったようだ。自分の姿を見るのが、段々楽しみになってきた。染まってきた自分がおかしいのかそれともこの状況がおかしいのかはよくわからないが、少なくとも私はそうされて“嬉しい”と感じているのは事実だ。なので、もうどうしようとかは思わない。ある意味、一種の楽しみになっているのかもしれない。自身の姿を見ていると、白色を基調としたドレープの入った青薔薇の刺繍の入ったどこかの聖女を思わせるようなドレスを着ていた。


「これを昨日のうちにサイズとかも合わせてくれたの?」


「えぇ、合わせました。みな、“来てもらえるなら”と、闘志を燃やしながらサイズ調整をしていました。勿論私のその一人ですが」


「自分の身体は大事にしてくださいね?」


「痛み入ります」


「分かってもらえたようで何よりです」


 取り敢えず朝食を食べるべく下に向かった。下に行くとクルスがすでに待っていてくれた。


「少し遅かったわね、何かあったの?」


「いや、少し話をしていただけだよ」


「そうなの、まぁ良いわ。ほら、席に座って朝食を食べましょう」


「そうだね」


 昨日がとても豪勢だったので、今日は少し慎ましくなっている。だが、おいしい物は沢山あるので、寧ろグレードは上がっていると思う。少数な事で、かなり仕上がっているはずだ。


 うん、おいしい。しかし、昨日のように品数を多くてもおいしい物はおいしい。こんな感じで数日が過ぎ、あっという間に学院に帰る日になってしまった。“次に帰ってこれるとしたら誕生祭になるのかな”と心の中で思っていた。自分の家に帰ってこられていい気分転換にもなったので、かなりいい収穫だ。


 馬車にもう荷物は積んであるので後は乗るだけなのだが、さっきまでクルスが来ていて“いかないでぇ~”と泣きついて来ていた。すると、マルグレットが強引に剥がして城の中に連れて行った。まぁ、あの人には苦労を掛けるなと思っていた。段取りは進んで、馬車に乗り込み出発した。街の人からいっぱい手を振ってもらっているので私も返しておいた。


「よかったよ、街の人達も喜んでくれて」


「そうですね、帝国ではあのような事はあまりありませんから。私も少し驚きました」


「そうなの?」


「えぇ、皇帝なんて表にあまり出てくる事が基本的にないため、出迎え等の必要がないのです」


「それは、寂しくないのかな?」


「さぁ、どうでしょうか。あくまでも私の勘なのですが、皇帝の住まいには沢山の執事やメイドがいますから、特にそんな事はないと思いますよ」


「そうなんだ」


 会話をしているとお昼になったので、私が作っておいたサンドウィッチをバスケットから取り出し、ミーシャの分と私の分を取り出した。


「今日朝早く起きて作ったから」


「いつも早く起きてもイリス様が早くて作ろうと思う頃には作られているので、私の出番がないんです」


「そ、それはゴメン。でも、作るんだったら一緒に作った方が楽しいよ」


「そうですね。これからはその前日に声かけを事前にしておく事にしましょう」


「うん、それだったら私も一人で作る事がなくなるから嬉しいわ」


「次は絶対に二人でしますよ!」


「う、うん」


 会話も少ししながら道を進んでいくともうすぐ日没になるぐらいの日の高さだったので、お肉などを持ってきたので、それを数種類の香草で焼いてローストビーフを作った。ミーシャと一緒に。焼いていると香草のいい香りが周囲に漂ってきた。切ってみると、綺麗に出来ていたので、ミーシャと一緒に完成を喜んだ。御者の人に“食べる?”と聞いたところ“自分の分ならある、心配するな”と言われたので、渡さなかった。


 夜は、何もなかったようだ。朝起きて朝食をミーシャと一緒に作り、食べ再び馬車が動き出す。これを数日繰り返し、帝国のソフィーの家に着いた。感謝の言葉を告げると、御者の人は馬車に乗って行ってしまった。


「ただいま」


「おかえり」


「「おかえりなさいませ」


 メイドさんたちとソフィーが出迎えてくれた。


「どうだった帰郷は?」


「とても楽しかったし、書類の作成なんかも終わったからよかったと思っているわ」


「そういえば、書類で思い出したんだけど数日前に学院の生徒会の蝋の封印が着いた鳩が来たから手紙をもらっていおたわよ。はい、これ」


「確かに生徒会の一体何が。とにかく開いてみるよ」


「そうね、そうした方が良いと思うわ」


「じゃあ、早速……うん、見なかった事にしたい」


「何が書いてあったの?」


「“書類手伝って~”ね、泣きついて来てるじゃない。少し手伝ってあげたら?」


「はぁー、仕方ない。助け舟を出すことにするわ。早馬の準備出来る?」


「それなら緊急時の時の馬があるから心配ないわ」


「じゃあ、少し借りていくわ」


「えぇ、構わないけど、怪我だけは気を付けてね」


「うん、少し街道を外れていくから大丈夫よ」


 そういって馬を走らせた。普通の馬と比べて明らかに早い。風が髪を切って心地よい。春の風もあってか少し陽気になっている。しかし、手綱は離さないようにしっかり掴んでいる。あっという間に学院についてしまった。名残惜しいが馬から降りてドレスの裾を掴んでシンデレラさながらの走りを見せた。途中でクレール先生がいたので、会長の居る場所を聞いて急行した。


「ふぅ、着いた」


 ドアを開けると、会長が執務に追われていた。


「ん?、夢じゃないな。来てくれたんだなありがたい。書類作成をしてくれ」


「ここからここまでの書類を私の執務室に持って行かせてもらえれば半刻で完成させます」


 するとさっきまで座っていた会長が素早く立ち上がって書類を持って私の執務室に運んで行った。


「よし、終わったぞ」


「じゃあ、行って来るわ」


「あぁ、頼んだぞ」


「はい」


 自分の執務室に籠って書類の精査をして作成をしたりしている。この状況を考えると、会長の権限のほとんどが私の手の中にあることに気が付いた。悪用はしないけどもちょっと気分が高揚こうようしたのは内緒だ。どんどん終わらせて会長執務室に持って行った。


「えっ!もう終わったのか?」


「はい、完璧に終わらせておいたわよ」


「ありがとう助かった。お茶でもどうだ?」


「じゃあお言葉に甘えて」


「よし!じゃあ、少し待っていてくれ」


 と言って恐らく給仕室の方に走って行った。数分すると会長が帰ってきた。カップを持ってきたようだ。カートで持ってきた方が良いのにと思ったが口には出さなかった。


「お待たせ、アッサムだ」


「セカンド?ファースト?」


「時期か?それならセカンドだ。誰かと飲もうとおいておいたんだが、相手が無くてな」


「いい香りですね。いただきます」


「あぁ、どうぞ」


 会長も淹れるのが上手い芳醇な香りが口の中いっぱいに広がる。すぐに飲み干してしまった。


「おかわりもらえますか?」


「大丈夫だ」


 添えられているミルクを入れミルクティーとして楽しむ事も出来るが、私はあえてブラックティーで行きたい。お茶を楽しんでいるとミーシャが到着したようだ。


「イリス様そろそろ」


「そうね、では会長これにて今日はおいとまさせてもらいますね。今日はお茶をごちそうになったので都合が合う日があれば、来てくださればと思います。これにて失礼」


「今度寄らせてもらうよ」


 会長の執務室から去っていくと馬が大人しく待っていてくれた。撫でてから乗り、帰って行った。城に着くと、もう夕食の準備が出来ているようだった。のでそのまま夕食を食べた。


 春休みは過ぎていき明日からまた学院が始まる。

久しぶりの投稿です。大変お待たせいたしました。感想やブックマークをしていただけると嬉しいです。

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