14章 新しい教室
楽しみにしていた入学式が来て心はウキウキとときめいている。
入学式で心が昂ぶるよ!沢山の人が入学式の会場に向かっている。私は、誰よりも先についていてよかった。なぜなら、私が見ている光景は混沌だからであるからだ。人が多すぎて溢れかえっている。なので早めに来ていて正解だったと考えられる。それに、人が多いところはあまり近寄りたくないしね。ただでさえ痴漢されるのに自分から近寄っていくなんて馬鹿のような真似はしたくないからね。
まぁ、こうしてみているといろいろな人がいて面白いなと感じる。戦士を目指している問わんばかりの剣を担いで居たり、さらには魔導書など杖を持った根っからの魔法使いまで実に様々だ。
しかし、こうやって見ていると沢山の人がいて、巫女や多分皇族に連なるのであろう人や成金のような人、までいてこの学園に居ても飽きる事はなさそうだ。会場の範囲は広大だ。私が元いた世界の大学が5つは余裕をもって入りそうなぐらいの規模があり、受験といった方がいいのだろうか?僕は才能にて合格したようなものだが、話を聞いてみると教官でもここまでの使い手はいないそうなので、安心していいのか、はたまた風紀委員になるためにそんな事を思っているのかは分からないが、しかし、私は私でいろいろな苦労をする事があるなので、力という物は無い方がいいのかもしれない。争いのもとにもなる可能性も十分にあるしね。でも私の魔法もとい魔術見たところで普通の人はおろか十分に魔術を使いこなせる人でも絶対に使えない。
ところで、色々な人が来ているのは分かっているが、中にはやはり巫女などもいたり、そんな中にも成金チックな人もいたりしていて何かとトラブルが起きる事も多そうだ。しかし、そのための皆の持っている権力を使えなくする事が最善の措置かも知れないなと思った。
しかしながら、通常持っている権力は使えないが、ここの学園で獲得した権力は使えるみたいだ。なぜならここで獲得した権力は自分自身で必死に勉学に励んで得たものなので良いというものだろう。しかし、従者が当然私にも付く訳なのだが誰が来てくれるんだろうか楽しみだ。
確かに権力を行使してはいけないという規則はあったものの王族や皇族などの血統の持ち主は従者を1人までなら付き人を学校生活の中で連れて良いという物がある。なので、ドラゴシアの方から使用人は来れないだろう、しかしソフィーの城からになると、誰が来るのか分からない。
やがて時間は過ぎ、入学式が始まった。最初に流れてくるのは優雅な音楽が左右から流れてくるそれから私たちは入場していく。入場口で見た光景にまずびっくりした両サイドにはオーケストラが演奏している。それから周りを取り囲むように保護者や使用人だろうか沢山の人がところすましと並んでいる。私は、人間の多さよりこの入学式の異様な金のかけように驚いた。しかし、皇族なども通うような学校なので普通かと思う事にしようとしたが、私のために前年以上にお金をかけたという事もありうるので、前者の皇族のためという事にしておこうと心に決めた。それからしばらくして私の入場の番になった。とてつもない緊張感が私に重圧となってのしかかる。でも、行かないと先へは進まないのでしぶしぶ行くことにした。私が出たとたん凄い歓声が沸いた。“なぜだ!”と思った瞬間こけそうになったが、持ち直した。するとまた歓声が沸いた。“私はアイドルじゃない!”と内心思いながら、レッドカーペットを歩いて行った。
用意されていたイスに座り、学園長や校長の話が続く。
そこで話をしているのは、当然ソフィーである。
「えー、皆さん初めまして。この学園の学園長をしていますブライト・ソフィアと言います。今年の多くの生徒がこの学園に迎え入れる事が出来、私はすごくうれしいです。ところで皆さんはこの学園に王族の方が1人と公爵家の方が数名お見えになっています。差別なくこの学園生活に精を出し、共に笑い合える仲間に成長できるようになる事を願っています。これで学院長の挨拶を終わります。」
進行役の生徒であろうか、マイクのような魔道具を使い自身の声の大きさを変えて進行させている。
「では、次に校長の挨拶となります」
「お初にお目にかかります皆さん。この学園の校長をさせていただいている、キングス=ミリアです。学園長も言われた通り王族の方が1人この学園に入られるという事でしたが、学園長のその方の性格を聞くと、身分など関係なく誰にでも分け隔てなく接してくれるとても優秀で聡明な方とお聞きしています。なので、きっと良き学友になれる事を期待して校長の挨拶とさせていただきます。」
今度もその魔道具を持った生徒が進行している。
「では、次に生徒会長のマナリア・カーティスからの挨拶です」
「皆さんおはようございます。晴天で雲1つない青空の元皆さんが入学できた事を心より祝福申し上げます。私もここの学園の入学するときがドキドキでした。しかし、大切な仲間たちにも出会い今では、うれしい意味でドキドキの連続です。これから、新しく勉強を始めるので勉学に励み、大いにこの学園を楽しんでくださいね?以上です」
「ありがとうございました。次に来賓の方が来ていらっしゃいます。なんと、王族の方です!ドラゴシア王国の女王、ドラゴシア・クルス様です」
「はい、紹介に預かった。私が、ドラゴシアの王女、ドラゴシア・クルスだ。来賓としてきた訳ではなのだが、まぁ私の子がお世話になるからな。挨拶ぐらいしてやらんでもないと出てきた訳なんだが、まぁ言う事と言ったら、“おめでとう”ぐらいしか言う事が無いんだがな。まぁしいて言うならば、私の子は身分なんて物はここでは忘れて気軽気接してくれ!以上だ」
「ありがとうございました。大変貴重な時間をいただき、ありがとうございました。これで予定の全行程が終了いたしました。連絡のある方などおられますでしょうか?」
手は上がらなかったようだ。
「挙手が無かったのでこれにて終了させていただきます」
私はいつものクルスを見ているから、あの対応の違いにびっくりした。しかし、流石に女王なだけある。ミスもせずにパスしたな。それからクルスが退出し、私たちも退出した講堂から出ていく時に生徒会長の目線が来て少し驚いた。たぶんここがどんな場所なのか見に来た時にでも出会ったんだろうと思う事にした。
講堂から伸びている連絡通路を通り、向こうの棟へ行くと生徒がせわしなく行きかう教室棟に入った。新入生の事が気になるのか立ち止まってこっちを見てくる。彼女らの口の動きを見ていると、
「お・う・ぞ・く・が・い・る・ら・し・い」つまり、「王族がいるらしい」となる。しかし、情報は何処から漏れたんだろうか?生徒会長はそんな人柄に見えなっかったんだけどな、それ以外だとすれば学校掲示板か新聞部だろうか?まぁいづれはばれる事だし。まぁ、障害になるようなら先生に何とかしてもらうという手もあるし、だいぶ手加減をしなくてはならないが、魔術で何とかするしかないと思う。なんて考えていると自分の教室についた。そしてあらかじめ用意されていた学校のイスに座り、自己紹介の流れになった。
因みに私の組は1年5組だ。
「まずはここの担任を受け持った。剣技科担当のクレールだ。みんなよろしくな」
体育会系の明るい人だ。かなり苦手の部類に入るけど、嫌悪するような人でもないし。うまくやっていけそうだ。
それから、出席番号の1番から最後まで行った。すると私の時は違和感を感じたんだろう。みんな最初は困惑の表情を浮かべていたが、やがては確信へと至り、私がその入学した王族だという事にようやく気付いたようだ。その瞬間このクラスは、謎の一体感が生まれた。みんなが“わー”となったのがきれいにはハモったのだ。“なんだこれ、みんな初対面ぐらいのはずなのにこの一体感は!”なんて思っているのはせいぜい私ぐらいだろう。なんて思いながら今日の授業内容なすべて終了した。ので、早く家に帰る事にした。家と言っても学生寮にはいかずに馬車を手配してもらい、ソフィーの家に行く事になるのだがな。家に帰るとクルスがまだ帰る準備をしていた。ルーシィ―は“終わった”と言っていたのだがなんでだろう?多分クルスがいろんな事を言って遅らせているのだろう。まぁいいどうせ帰らないと仕事が溜まっていくだけだけだ。苦労するのはクルスだけで良い。
「クルスの事はおいておいて、ソフィーはどこにいるの?」
「え、ソフィア様はまだ帰ってらっしゃらないようですよ」
「そうなんだ」
「何か聞きたい事でもあったの?」
「うん、私の従者の事なんだけどね」
「あ~そんな制度あったわね」
「そうなんだよ!だから、聞こうと思ってたんだけど、まぁもうすぐ帰って来るのなら待つことにするよ」
「私のそれがいいと思うわ」
数十分後、ソフィーが帰ってきた。私は気になった従者の事を聞くので頭いっぱいだった。しかし、沢山の執務があったのだろうか帰ってきて直ぐに寝てしまったようだ。しかし、2時間寝たらすぐに復活した。なので聞いてみた。
「ねぇソフィー?」
「ん、何?」
「私の従者ってどうなるの?」
「それがね、決めあぐねているのよ」
「何で?」
「この城に同い年ぐらいの子がいないのよ。いや居ないというのは正確ではないわね」
「どういう事?」
「つまり、今は故郷に帰っているのよ。いや、ちょっと待って!ちょっと確認してみるわ」
私の頭に“?”が出ていると
「やっぱり、2年ちょうどだから明日の朝帰ってくるみたいよ」
「やった!まずは会って話をしないとどんな人か分からないから話さないとね」
「そうね。でも、帰ってきてからは様子を見て接してあげてほしいの。やっぱり、旅のあとだから、疲れていると思うの」
「了解。わかったよ」
「名前は、ミーシャよ」
「分かったよ」
「イリスがどんな人かはこっちの方で言っておくから心配しないで」
「分かったよ」
それから、職務がたまっているクルスは、ルーシィ―が引きずる形で回収されていった。しかし、少しの抵抗を見せたが、私の笑顔で何とかした。すると、一気に抵抗がなくなった。やはり力よりこっちの方が強い単純な力では負けてしまうのでこっちの方がいいだろう。
「いいね私は暇が出来たらちょくちょく帰る事にするから、クルスはちゃんと仕事をしておいてね?」
「分かったわ!」
クルスが帰ったのが2時ぐらいだ。それから、部屋や図書室で時間を潰した。外を見れば、日が暮れていた。言うのを忘れていたが、こっちの世界もあっちの世界と同じように24時間となっている。今大体、6時を指しているぐらいだろう。陽の傾き具合からして。なら図書室から出て、大きな卓が出ている部屋へ行かなければならない。私をごはんが呼んでいる。
「あっ!イリス様。今、呼びにあがろうかと思っていました」
「ごはんですよね?」
「はい、準備が出来ておりますので、こちらへどうぞ」
「ありがとう」
大きな卓が出ている部屋に着いた。イスに座ろうとするとイスを引いて座ったらちゃんと押してくれた。これはありがたいと正直いつも思う。エルフ族のせいか身長が思うように伸びないってものあるしいつも感謝している。
「イリスちょっと遅いよ」
「あ、ごめん」
「いいよ。許す」
なんだこの空気は!何処かの女子会か何かか?どうしてこんな茶番じみた空気になった。ふと考えてみると理由は容易に想像できた。なぜなら今までいた邪魔者が消えたのだから当然活発化するだろう。しかし、1日たたないのにこの対応の違いはなんだ!まぁいいだろう。料理に舌鼓を打つ事にしよう。
「今日の料理は、スープにパンそれに、サラダとお肉だ」
「なんだか嬉しそうね?」
「うん、クルスがいるときはいつもより豪勢だったと思うんだ。だからこういう普通の食事も食べたかったんだよ」
「そんな事なら言えばよかったのに」
「いや、でも、途中で献立を変えると買ってきたお肉や野菜などの新鮮さが失われたりするから、そんな事は出来ないよ」
「そうよね」
「それに、ここに住んでいる以上みんな家族だと思っているからね。みんなの事を大切に思わないと信頼関係は成り立たないし、沢山の人がここを信頼して働いてくれているからみんなの事はたとえ身分が違っても、大切に思わないと私はいけないと思うんだ」
「身分を理由に人を虐げないのってやっぱり素敵だと思うのよ」
その時外にまたメイドさんたちがいたのだろう“ガタッ”と音がなった。まぁもう今更だ。何回もやられて流石になれた。というか、慣れるしかないんじゃないかな。だってそんな環境なんだから仕方ないよね。で、それから、ごはんを食べて部屋に帰った。
今作は遅れそうというハプニングがあり、大変お騒がせ致しました。今後もこのような事が極力無いようにいたしますので今後ともよろしくお願いいたします。