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11章 紅茶と脱出

 連れ去られたイリスだが、果たして抜け出し方法はあるのか…

 連れ去られた身だが。意外と劣悪れつあくな環境ではないのだ。だが、いつまでもここにいる訳にはいかないので、まずは状況の整理だ。馬車が通るときの音が聞こえるので道の近くだろう。部屋の隅の上の方に小さな窓がある。つまりここは地下に作った空間だ。だから、叫んでも関係なくみんなが通って行くだろう。


 しかし、さっきからうるさいなこのカンカンなっている音は!ん?音?はッ!鍛冶屋かじやの近くにあるのかと言う事はホテルの近くに3軒あるな。でも、大道りに差し掛かっていてかつ大通り、に差し掛かっている。しかし、クルスの事だマリーさんにこの事を伝えて学園長にも伝えている頃だろうかしかしの子町の規模の事を考えたら、少なくとも2日ぐらいはかかると思う。しかし、なぜだろう。野生の勘とかで見つけてきそうなんですよねはは。


 約1時間後、どうしよう魔力でやろうと思えば簡単に逃げられる。慎重しんちょうにトラップが仕掛けてあるかを調べていた自分が馬鹿に思えてきたでも、用心しておく事が重要であることはお分かりだろう?しかし、縄に魔術反応があったのでちゃんと何の魔術がかけられているのか調べたのに無駄になちゃった。


 だが、油断してはいけないね。なぜなら、あの階に行くには魔術で行かないといけないし、しかし、その魔術を掛けた魔法使いはどこに行った?ここに運ばれてから、魔法の適正が見える人はいるが、その、そこまで言っても強くない連中ばっかりが集団をなしているようなものなのだが、ひときわ強い魔法適正を持った人がいるものだから心配していたのに見つからない。気配を消しても完璧なステルス機能はないだろうし。


 仕方ないええいままよ。このままではらちがあかないのでなるべくいる人を少なくするためにある作戦を思いついた。それは“ゴーゴーお手洗い作戦”だ。ネーミングセンスが無いって?そんな物は知らない。早速実行に移そう。



「あの~」


「どうしたの?」


近くにいたお姉さんがこっちに来てくれた。


「お手洗いに行きたいです」


「あぁ、じゃあ出してあげるけど、逃げちゃダメだよ」


「で、お手洗いはどこにここの階段を上がった奥に扉があるからそこを開ければお手洗いよ」


「ありがとう」


 とりあえずは、お手洗いに来た。窓歯あるが、簡単な結界が張ってあるけど破壊しよう。で、破壊した結果は、何も起こらないだった。しかし、目前には連れ去った人と同じ人と思わしき人がいたが、人の往来が多いせいか、気づかれていないようだ。なのでこれ幸いと逃げた。見つかりたくなかったので近くの角を曲がった後にスカートの端を掴んで全力で走ったがその大事に育てられていたためか、取り合えずこの辺りの治安を守っている騎士団の詰め所に行ってホテルの場所を聞き、出来る限り急いで走って帰った。


「何とか帰ってきたよ」


 すると、扉が急に開いてクルスが出てきた。かなりびっくりした。しかし、このホテルに全員集合しているのだからさらに驚いた。そこにはなぜか激昂げっこうした、学園長までいたのだ。しかも何かぶつぶつ言っている。そういえば、ここの場所を知っているという事はまた連れ去られる危険性が高い。なので、伝えてみると、その事は自分でも考えていたらしい。しかし、そうすると、宿泊する施設が無いらしいので、学園長にある提案をしてみた。内容は、みんなで学園長の家に宿泊する事を提案した。すると、快く許可を出してくれた。だが、口にはしないが、何かいやな予感がしていた。


 決まったら実行までの行動がとても早かった。馬車をマリーさんが呼んできてくれた。5分ぐらいしたら、手配していた馬車が来た。クルス曰く歩いてもそんなに距離はないらしいが念には念を入れなければならないので、乗り込んだ。ちょうど夕日が沈む綺麗な景色を見ていた。窓のなんかは魔術が施されているので、外からは見えないそうだ。しかし、ちょっとと言って、今10分ぐらい馬車で揺られているのだが、着く気配がないので、クルスに聞いてみた。すると、もうすぐ着くみたいだ。この後馬車に揺られる事3分で目的地に着いた。家の印象を一言で言い表すと、まさに城そのものだ。しかしそこまで豪華ではない。取り合えず入ってみよう。


「うわ~、凄く広いね」


「そうでしょう?」


「うん!」


「だって、かなりの金額をかけたんだもの」


 収入は多いんじゃないかと思っていると、急に誰かの声が城内に響いた。


「おかえりなさいませ」


 と、声がした。みんながびっくりする中、学園長は平然と挨拶あいさつを交わしていた。しかし、急に後ろに回り込まれるのは怖い。しかもレイピアの武装するものが無いため、自身の身を守る方法が無い。ホテルでの二の舞をここに来てやってしまった。安心しきって周囲への警戒をおこたってしまった。まぁ、警戒は必要でも襲われることは多分ないだろう。


「学園長?」


「ん?」


「部屋はどこですか?」


「あ、あぁ。そうだったね」


「グレイス?」


「何か?」


「この子を部屋まで頼む」


「了解しました。さぁこちらへ来てください」


「はい、ありがとうございます」


 階段を上り、大体5階くらいになって廊下へ出て行くと部屋があった。


「こちらになります」


「ありがとうございます」


 最後まで言うと、グレイスさんが階段を下りて行った。しかし、このベット天蓋てんがい付きのベットだ。やはり、豪華だ。


しかし、ドラゴシアの王城より調度品の数は少ないが機能性の高いものばかりが並んでいる。


「これはこっちの設備の方が機能性に溢れていていいのかもしれない」


 そんなことを考えていると、外に気配がした。注意しないと気づかないくらいのものだ。そしてノックされた。なので、


「どうぞ」


「失礼します」


 玄関にいた、メイドさんが来ていた。名前は確か…グレイスさん、そう、グレイスさんだ。


「何かありましたか?」


「いえ、特に用と言う訳では無いのですが」


「が?」


「服を、私が服を作って差し上げるようにと言われましたので、採寸をと思いまして」


「そうなんですか」


「ですからそのドレスを脱いで採寸したいので、クルス様たちを呼んできますが逃げないでくださいね」


「はい、了解しました」


「では、くれぐれも逃げないように」


 そして、少し経ったぐらいで複数の足音が近づいてきた。すると勢い良くドアが開いた。


「イリスー、測りに来たわよ」


「変な事しなければ、ね!」


「しないわよ!」


「じゃあいいよ」


「では、やりますか。皆さん?」


「ん?皆さん?」


 後ろを見てみるとズラッと並んでいた。どうしてこうなった。


「そんな、こんなに人数を集めて来るなんてしかし、


「なんで、学園長は紛れ込んでいるんですか?」


「いいじゃない。一緒に住むんだから」


「はぁ~」


 思わずため息が出る。しかし、もう慣れないと自分の精神がすり減らされるだけだ。一緒に暮らすのも1か月ぐらいだ。良し確認のために聞いてみよう。


「ここにはどれぐらいいたらいいの?」


「別にいつまででも居ても良いよ」


「でも、学園始まるよね」


「そうね。でも、ここからの通学と言う事を特例で出来るわよ」


「なん、だと!」


「しかも、決定権はすべて私にある」


「学園では貴族のようなちやほやしてはもらえないように国に義務づけられている」


「だから、同じぐらいの権限を得るには、生徒会と言う学園を運営する組織に所属しかつ、生徒会長と言う生徒をまとめる存在になる事が条件ね」


「かなりハードに気がしますが?」


「それぐらいじゃないと、この権限を他の人に与えるのは拘束こうそく力があるからよ」


「じゃあ、聞きますけど会長になるために必要な物は?」


「え~とね、まず会長を決める投票を行うには1年の頃に生徒会にどんな形でも入ることが前提条件、次に生徒からの支持を得る事よ」


「と言うか、話を逸らしたね!」


 あ、気づかれた。しまった。やばいな主に後ろの方が、かなり勢いがついてきた。やばいな怖いよ。


「早く、観念して採寸されなさい!」


 クルスが催促さいそくしてきた。なので、仕方ないのでドレスを脱いで、測ってもらった。すると、メイドさんたちはもみ合いながら、部屋から出て行った。


 メイド長が、「明日には完成させますから」と意気込んでいた。


「大丈夫?あれ」


「たぶん、大丈夫だと思うわ」


「でも、こういうときって見に行かない方がいいんすよね?」


「そうね」


「話が変わるけど、学校の紹介も兼ねて明日出来上がった服を着て学校の紹介をしたいのだけれど時間は大丈夫よね?」


「はい、特に予定もありませんし大丈夫だと思います」


「そう、良かった」


 それは、本当に安堵した顔になっていた。どうせ、ここにいてもおもちゃにされるし、街に出ようとしても攫われたばかりのましてや子どもを外には出さないだろう。ならば、従っておいた方が得策と言えるだろう?


「明日学校に行くという事で早く寝るようにするよ」


「いい子ね」


 なでなでしている学園長を見ているクルスはふと我に返って、


「私も私も!」


 と騒ぎ始めた。しかし、今まで見ていたマリーさんがものほしそうな顔をするので、“GOサイン”を出すと飢えた獣のように早くそして、撫でるときは、赤子を撫でるようにしてきた。がっつきすぎだろこの人たちは!ある意味では、攫って行ったお姉さんたちの方がまだましかもと思うときがある。


「ねぇ、そろそろご飯じゃない?」


「そういえばそうね」


「もうすぐグレイスが持ってくるんじゃないかしら?」


 コンコンとドアがなった。噂をすればなんとやらだ。


「来たわね」


「夕飯の方をお持ちいたしました」


「すごいいいタイミング」


「今回は、イリス様やクルス様がいらっしゃるので、特別コースにしてみました」


「へ~、何が入っているんだろう?」


 ふたを開けてもらうと、そこにはローストビーフのような肉が皿に盛りつけられていた。なかなかにソースが煌々ときらめいておいしそうだ。早速いただこう。フォークとナイフを持ってお肉を取り口に入れる。柑橘かんきつ系の果実の芳醇ほうじゅんな香りが口から鼻へ抜けていく。


「本当においしいよこれ」


「本当ね」


「いつもは1人で食べてるけどやっぱり、人数がいると余計においしく感じるわね」


 僕は今こんな事を言っているが、なぜか後ろから視線を感じて落ち着けないな。多分グレイスさん達じゃないかな?さては、ドレスが出来上がったとかそんな訳ないよね!しかし、視線に熱がこもってきているようなので1回後ろを振り向くと、さっと隠れた。思わず


「ふっ」


 と無意識のうちに言っていたようで、クルスが首をかしげてきたので大丈夫だとアイコンタクトを取った。


「そういえば学園長って呼んでいるけど名前はなんていうの?」


「ブライト・ソフィアと言うのよ」


「でも、ソフィアって読んだらいいの?」


「別になんでもいいけど、気軽にソフィーって呼んでくれるといいかな?」


 急に何か圧力をかけてきた。あからさまに“ソフィー”と呼んでほしいと言っている。しかし名前を呼ぶときにさっと呼べた方がこちらとしてもありがたいので承諾した。


「たくさんのおいしい料理を出してもらってありがたいです」


「そうね、とってもおいしかったわ」


「そういってもらえると、この料理をリクエストしたかいがあったってものよ」


 “ふん”と鼻息を強く出した。こっちにまで聞こえてきそうな勢いだ。すると、メイドさんが食器を回収しに来てくれた。


 メイドさんからティーポッドと茶葉のある場所を聞いて淹れてあげようと思ったからだ。茶葉を見つけるとちゃんと確認し分量を量り、お湯は魔術で出し、入れたそれを運ぶのが辛かったので、カートを使う許可をもらい、使わせてもらった。部屋に着くと、クルスたちがきょとんとした顔で驚いていた。そりゃあ、クルスにだって密かに練習していた事は伝えていないのだから。なので、きょとんとしている間にさっと入れた蒸らすのもちゃんとやった。蓋を開けると、カモミールのような香りとアールグレイのような香りが混じったような香りがした。少し変わった香りなので興味があった。


「「いただきます」」


 と3人で言った。匂いは先程いったと通りだ。味はアールグレイの配合率が高いのか、アールグレイが勝っている。しかしながら、双方が弱点を互いに補い合い完璧なハーモニーをかもし出している。一言で言うなら、凄くおいしい。飲んだ後口元が緩んでしまう。やはり紅茶は最高だ!

 少しでも多くの人に読んでいただけるような小説を書きたいと思っているので、感想やブックマークなどよろしくお願いします。

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