-騒がしい2人と騒がしくない2人-
ほのぼの回とは……
ほのぼのさせないとですね!
次でほのぼのさせます笑
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村を出てすでに2時間が経過した
「王都まだつかないの〜?」
もうすでにセシルは荷台からの景色に飽きてアルバートの隣に来ている
「王都は遠いの。でもあと3日あれば着くよ」
「……!」
これでもかなり早い方だ。本来なら5日はかかる所を4日で済むというのだ。
だがセシルは心底疲れきった顔をしていた。
気を持ち直したセシルは
「ところで泊まるとこってどんな所?」
「亜人族の村だよ。近くにあるだろ」
セシルは首を傾げ「亜人族?」と言った
「亜人族ってのはいろんな人がいるけど、主に違う種族の力、特徴とかを持った人の事」
「例えばどんなの?」
「あの村だと獣人、主に猫の遺伝子を取り入れた人達がいるな」
「ふぅーん」
そんなことを話していると目的の村が見えてきた。
表情はいつも通りだが出だしで遅れていたこともあり、アルバートは内心焦っていた。
---まだ試験じゃないってのに。こんなんで大丈夫なのかよ
と、心の中で呟くとアルバートは手網を強く握った。
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村の入口に着く頃には既に日が沈もうとし、昨日と同じように夕日がアルバート達を照らしている。
村に変わった様子はなかった。村人は普通にいるし、家屋が燃えていることも壊れていることもない。つまりこの村には魔物達は来ていないということか。
簡単に推理すると村へ馬車進めた。
「よし、早速だけど宿行くか」
「んむぅ…おぉー…」
セシルは魔法の使いすぎもあるのだろう。かなり疲労している様子で、眠たそうに瞼を擦りながら力なく返事をした。
「ここで寝るなよ〜」
ウトウトしているセシルに声を掛け、意識を保たせながら宿を目指した。が無駄だった。
宿へ着いた時にはすでに辺りは暗くなってしまっていた。この村広すぎ。
セシルはというとアルバートの方に頭を預け、すっかり寝入ってしまった。
そんなセシルを起こすまいとそっと横にすると、セシルから漂う甘い香りがアルバートの鼻腔をくすぐった。
「とりあえず宿に手続きしに行くか。てかこいつ無防備すぎるだろ」
理性を抑えつつそんなことを呟くと、セシルを御者台に残して静かに宿屋へと入った。
「いらっしゃいませ……あ!」
宿屋へはいるなり、いの一番に声をかけたのはアルバートの腰くらいの背丈の小さな「尻尾と猫のような耳が生えた」少女だった。
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少女は入ってきた者が誰か分かると、ぱたぱたと駆け寄ってきた。
「久しぶりだな、ロザリア。元気にしてたか?」
「アルバート様、お久しぶりです」
可愛らしい声とくりくりした眼でアルバートに宿屋のの妹、ロザリアだ。
紫色の髪は肩で揃えられており、水色の眼はキラキラとしている。
3ヶ月ほど前に村に立ち寄った時に宿屋の店主に紹介されていた。
「相変わらず可愛いな!セシルに会わせたいところだが早速手続きがしたい。あいついるか?」
「はい、確か自室に居たと思います。今呼んできますね」
そう言ってロザリアは階段を上がっていった。
少しすると宿屋の入口が開き、セシルが入ってきた。
「お、起きたか」
セシルは目を擦りながら
「ふぁ〜。着いたら起こしてって言ったのに…なんで起こしてくれなかったの……」
本当に眠そうだ。ていうか、まだ半分寝てる。
「ほらこっち来い。手続き終わったら部屋行くぞ」
「うん……わかったぁ」
そんなことを話していると目的の人物が階段を降り、広間へとやって来た。
「来てやったぞクラウス」
「待ってたよアルバート。いつ来るのかとずっと楽しみにしてたのに、3ヶ月も来ないなんて」
クラウスと呼ばれた少年はアルバートに敬称こそつけないものの、とても穏やかで優しい口調をしている。
この宿屋はクラウス、そして妹のロザリアの2人で経営している。
兄の方は妹と違い髪の色は金髪、眼の色は緑色をしている。ロザリアより背丈は高いものの、アルバートの肩ほどだ。
顔立ちはとても似ている。そして妹同様、尻尾と猫耳が生えている。
「悪い悪い、色々あってな。そんでもって今回一泊させてもらいたいんだが、部屋空いてるか?」
「もちろん。「いつ来てもいいように」しているからね。彼女は同じ部屋でよろしいのかな?」
クラウスは立ちながら寝ているセシルを見やりそう言った。
「ん?ああ」
と軽く応じる。
「ロザリア、102号室に案内してくれ。荷物は運んであるから」
「はい、わかりました兄様。アルバート様こちらへ」
「相変わらず仕事が早いな」
「宿を営むものとして当然のこだよ。あ、あと馬車も動かしておいたよ」
「クラウスさんきゅ。セシル〜起きろ〜部屋行くぞ〜」
肩を揺すり、眠っているセシルを起こしてやる。
「むにゃ…おはよ…」
「まだ夜だ。部屋行くぞ」
「んむぅ、りょーかい〜」
セシルの手を引き、ロザリアへとついて行った。
しばらく廊下を歩くとロザリアが振り返り、
「こちらの部屋になります。鍵は中にありますので、どうぞごゆっくり」
「ありがとな」
ロザリアは小さく会釈すると広間へと戻っていった。
とりあえずベッドにセシルを寝かせると
「流石に今日は疲れたな…」
アルバートはセシルの隣で横になり、目を瞑った。
……
「いやおかしいだろ!なんでベッド一つなんだよ!しかもダブルベッドかよ!」
叫ばずにはいられなかった。図ったなクラウス!
「すーすー」
隣で叫んでもなおセシルが寝息をたてている。
「はぁ、今更言ったってしょうがないしな。今日はもう寝よう」
そう言ってセシルの隣で横になり、再び目を瞑った。
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瞼に熱と光を感じ、アルバートは目を覚ました。
「ん〜、朝か」
半身を起こし、軽く伸びをすると隣にいるセシルを見やった。
「すーすー」
気持ちよさそうに寝ている所を起こすのも悪いだろう。アルバートは顔を洗うため洗面所へ向かった。
顔を洗った後にタオルを忘れたことに気がついた。
「取りに行くのめんどいな…」
すると横からタオルが差し出され、
「どうぞ、アルバート様」
「お、ありがと……って、え?どちらさま?」
アルバートが横に顔を向けると、微笑みながらタオルを差し出しているロザリアだった。
「兄様がお呼びです。庭に来るようにとのことです。セシル様は私が後でお連れいたしますので」
「わかった。すぐ行くよ」
洗面所を出ていこうとしたロザリアが何かを思い出したように振り返り
「着替えをご用意しておきましたのでどうぞ」
「おお、ありがと。なにからなにまで悪いな」
「いえ、では失礼します」
ロザリアはそう言うと洗面所から出ていった。
「さて、行くかな」
ロザリアが用意してくれた服に着替え、庭へと向かった。
次はほのぼのさせられるように頑張ります笑