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行商人から王国騎士まで  作者: 割月
1章〜王都までの長い道のり〜
2/6

2話-邂逅、そして意識消失-

今回はヒロイン出します〜

読者様の脳内で可愛いとに決めつけていただければと思います!

今回から少し書き方変えてみたのでちょっと文字数多いです

余裕で2500オーバーしました、すみませんでした!

--------------------


目が覚めると見慣れた天井

--起きたはずの朝をもう1度迎える。二度寝した気分だ。

「ごめんね、起きてるとは思わなくて…」

バツが悪そうな顔をして、自身の亜麻色の髪いじっている少女は幼なじみのセシルだ。

腰ほどまである髪は編み込みが入っており、きちんと手入れされているのだろう。彼女が動く度に煌めいて見える。

中身は魔法ぶっぱの天災少女だが、外見は飛び抜けて可愛い。


「またフラミルですか」

「はい…」


起きているものにかければ眠らせ、眠っているものにかければ起こすことが出来るというよく分からない魔法、フラミルだ。

見た目は10cmほどの鉄球を飛ばす魔法だが、どうも彼女はその使い方が間違っていると思う。



「いや〜、あのアルバートが騎士試験受けるって聞いてびっくりしちゃって。勢い余ったと言うかなんというか、ね?わかるでしょ?」

そう言って頬をかくセシル。


なるほど、わからん。

「…まあいいや、王都に行く準備しないと」

だるい体を起こし、出掛ける支度を始めると

「あ、その事なんだけど私も王都に連れてって!」

「無理ですダメです連れていきません」

家に来た時点で予想出来たので、即答してやった。


「むぅ〜。」

ふくれっ面をしているセシル、特に連れていかない理由もないし連れていくか…と心の中で呟き、ため息をついた。

「……別に付いていてもいーよ」

「ほんと?やったぁ、ありがとアルバート!」

こういう時の顔はすごい可愛いんだけどな!---言ったら調子に乗りそうなので言わないでおこう…


「付いて来るのはいいけど早く準備しろよー。あんま遅いと置いてくからな」

「ほいほーい」

そう言い残すと少女は軽やかに出て行った。


「俺も準備するか。とは言っても」

服とお金、そして母からもらった雫の形をした黄色のペンダント。

これだけ持てばあとは馬車に荷物はすでに積んであるのですぐに終わりだ。


あとはセシルを待つだけなので、時間つぶしに馬と戯れることにした。



--------------------


「セシルさ〜んまだですかー」


女性にはいろいろあるし準備も男より多いだろうと考えていた。が、準備するだけで3時間はあまりにも長いんじゃないかと思い、馬車をセシルの家の前に止めて外から声をかけてみたが

「反応がない…何かあったのかな」



「あ!アルバートさん、こんにちは〜…」

「…セシル」

「は、はい!」


若干声が上ずっている。彼女が焦っている時の癖だ。

だが今はどうでもいい事だ。

魔法を使ったのだろう。周りの物が凍りついていたり、燃えていたりしていた。そんな魔法ぶっぱのセシルの前に人の形をした黒い塊がいる。


「その目の前の真っ黒なお方はどなた?」

「魔族的なあれではないですかな?」

「魔族的なあれと言いますと、あれですか」

「あれです」


「……」

「……」

2人で顔を見合わせていると

黒い塊は呻き声を上げながらこちらへ近づいてきた。

無言でアルバートが、黒い塊の頭と思われるであろう部分に思い切り蹴りを入れた。

蹴りを入れられた化け物、もとい黒い塊はよほど効いたのだろう。地面や壁に爪を立て、呻きながら転がり回っている。

その隙にセシルの手を引っ張り外へ走った


「いやあれやばい奴でしょ!!逃げるぞ!」

「わぁ〜…痛そ…」

「セシルさんちょっと失礼!」

外に出るなりセシルを抱き上げ、馬車の荷台に投げた。

「きゃっ!」

咄嗟だったため投げてしまったが、予め寝袋などを積んでいたのであまり痛くはないはずだ。

「ガァァァァ…」

突如ドアを破り、黒い塊が出てきた。心なしか怒っているようだった。


「考えろ……落ち着け」

逃げれば村人が襲われるし、かといって全員で逃げても後が大変だ、ここでやるしかない。


そう考えていると突如、懐かしいある昼下がりの光景が映し出された。



---お母さん!さんすうできたよ!これならお母さんのおしごとできるかな?

「あら?すごいわアルバート。これならお母さんのお仕事任せても大丈夫ね」

そう言って幼い自分に微笑むのは母、ルミナだ。

母はこの頃から既に凄腕の行商人で、王都ではかなり有名だった。

--ぼくも大人になったらおーとでゆーめいになるからね!約束!

「約束ね。お母さん楽しみにしてるわ」


---約束…守れそうにないな……

努力をしなかった自分はその程度の行商人。約束など守れるはずも無かった。



少し時間を置いて真剣な表情をした母は

「いい?アルバート、こわいことがあったらこのペンダントを握るの、「-----」があなたを守ってくれるわ」

母はそう言ってこのペンダントをくれた。


アルバートは目を閉じて大きく息を吸い込み、時間をかけてゆっくりと吐いた。

するといつの間にか現実に引き戻され、目の前には例の化け物がいた。


ポケットを探り、ペンダントを見つけ出すと

「頼れるのはこれだけか、でもやるしかない…!」

そう呟き、藁を掴む思いでペンダントを握りしめるが、何の反応もない。

そのまま数秒が経った。

「ちょっと母様?!何も起こらないよ?!」

「アルバート!何やってるの、早く逃げないと!」


後ろの馬車からセシルが顔を覗かせていた。

セシルから見ればペンダントを片手に魔族的なあれが目の前にいるというのに、母様とか叫んでいる奴がいるのだ。いろいろ絶望的だろう。


「…騎士様目指す奴がこんな所で退けるかよ!死なばもろともだ!…死ぬ気はねえけどな!」

せめて自分が死んだとしても、セシルだけは。魔法も使えないひ弱な少年はそんな結論に至った。


もう半ばヤケくそだったが黒い塊を殴ろうとした刹那、ペンダントが光った、気がした。


「---!」


黒い塊に拳が当たったその瞬間、凄まじい衝撃が黒い塊の頭を消し飛ばしていた。


頭が無くなった塊はしばらく動かなくなると全身が塵となって消えていった。

「やった…のか?」



「アルバート…腕…」

セシルは驚きと言うよりかは夢でも見ているのではないかと目を大きく見開くき、こちらを指さしていた。

衝撃と黒い塊に気を取られ、見えていなかったのだろう。自らの腕を見やると

「腕?え?なんだよ…これ」

あまりに衝撃的で息が詰まってしまった。

龍の鱗の実物は見たことがなかったが、本などで見たそれと似たようなものが腕に纏われていた。


セシルは馬車から降り、呆然と固まるアルバートに駆け寄った。こちらの顔を覗き込むようにかがみ、

「ねえ、アルバート大丈夫?顔真っ青だよ?」

「……大丈夫じゃない」

---顔から倒れたら痛いだろうな。

ぼんやりする意識の中そんなことを考えていたアルバートは、体の重心を少し後ろに傾けた。

「アル……ト?!…………ト!」

焦ったセシルの声が聞こえ、--ああ彼女は無事なんだな…と安堵すると、視界が闇に覆われていった。


次回も新キャラ出すかもです。また、文字数多くなると思われます。ご了承ください……



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