#53 文乃と神谷さん(視点:文乃ver)
皆さん、こんにちは!アオです!
それでは「恋愛を成功させるには勉強を教えるのが一番です!?」をどうぞ!
「終わった~!」
テストが終わった日の帰りのHRの前に私は思いっきり伸びをする。
「一条さん、この道具資料室に運んで行ってもらっていい?」
「わかりました」
資料室……前の嫌な記憶がふとよみがえる。
そのため資料室へ向かう足取りはとても重かった。
資料室の扉を開けるとそこにはとある女子がいた。
「あっ」
私が思わず声をもらすとその女子、神谷さんがこちらを振り向いた。
「Ichijo-san?(一条さん?)」
「あっ、うん」
五教科の中で英語が一番苦手な私はこの高校に入っても私生活で英語を
活かすことができないため神谷さんとスムーズに会話を交わすことができない。
それに自ら話すことは少ないため自然と無言の時間が続く。
でも私にとってはまたとない絶好の機会だった。
神谷さんと理久の関係性を質問することができるこの状況だ。
しかしもし万が一、私が想像している最も恐ろしいことが起きた日には
明日から学校へ行けなくなってしまうような気がして質問できない。
「一条さん」
「えっ、あっ……はい!?」
いきなり話しかけられて少々びっくりする私。
「篠宮さん、仲良い」
英語ではなく日本語の単語単語で会話できることに驚きながら
その質問の意図をくみ取る……私から切り出そうと思っていた話が
まさか神谷さんの方から口に出すなんて。やっぱり私がダメなのか。
仲が良い……本当にそうなのか。でも私は思っている。
「うん。そうだけど」
神谷さんは少し黙った後に
「だよね。一条さん話す篠宮さん楽しそう」
神谷さんから放たれた思いがけない言葉に私は驚いて顔を赤くする。
仮にも第三者からこうやって言われるわけだから照れる。
「でも私なんか一緒に勉強を教えあってる仲だし」
いつの間にか神谷さんと理久の関係性なんか忘れて私は本音を口にする。
「一条さん、篠宮さん好き?」
さらに思ってもいなかった発言をされ私はさらにドキドキする。
どういうこと、それを知って何しようと。
「れっ、恋愛的な意味で?」
答えたくないという趣旨とは裏腹に私は質問を質問で返す。
神谷さんは当たり前と言わんばかりにうなずく。
少し間を開けて神谷さんが付け足す。
「私は好き、篠宮さんのこと」
その言葉に私は目を見張る。そんな様子をお構いなしに続けていく
「振られた、好きな人いるから」
生唾を飲み込む。予想していた最悪の事態ではなかった。
「一条さんじゃない?」
前の言葉から私は思わず小さな声で"えっ"ともらす。
「楽しそうだから。好きじゃない?」
それは私の心の核心に迫る部分だった。
それでも私が無言でいると神谷さんは語り始める。
「選挙前、知ってたの。篠宮さんのこと。書類落としたときに
拾ってくれた。うれしかった」
接続の単語がない中神谷さんは必死に話す。
「昔、いじめられてたの私」
思わぬ告白にさらに目を見張る。
「でも篠宮さん助けてくれた。だいぶ昔ね、篠宮さん覚えてない
けどとても優しい。だから好き」
神谷さんと理久、昔そんなことがあったのか。
私なんかそんな感動的なストーリーもなかったのに、勝手に
最悪な状況を予想して……自分自身に泣きたくなった。
神谷さんは勇気を出して告白して振られたのに前向きな気持ちだ。
それに対して私は告白もせず真実かどうかわからないことに
頭を悩ませていた。神谷さんの方がずっと上だ。
ああ、私はなんでこんなにも空回りをしていたのだろう。
「諦めない……でも一条さん頑張れ!うまくいくよ」
同じく好きな人を想っている人からまさかそんな声がかかるなんて。
「うん、ありがとう……神谷さんも頑張ったね」
思わず涙ぐんでいう。
「大丈夫。もちろん諦めてないから!」
最後にそうニコリと微笑んで資料室から去って行ってしまった。
諦めていない……それはそのままの意味だ。
もちろん神谷さんはこれからも積極的にアピールをしていくはずだ。
私は今のままでいいのか?"好き"という気持ちを必死に隠しながら
勉強仲間で終わる恋でいいのか?いやそんなこと私が許すはずがない。
勉強でも成長できたんだ。恋愛でも同じように成長できるはずだ。
そう意気込んで私は教室へ戻る。
とはいってもどうやってアピールすればよいのか。
一緒に水族館へ行った時の感触としては何とも感じていない様子だったし
むしろ私だけがドキドキしていてバカみたいだった。
もういっそのこと、告白するのも手なのかもしれない……
いや、無理無理無理無理。告白して振られて今の気軽に勉強できるような
関係じゃなくなったらどうするの!
逆転すらなくなってしまう。それに鷹宮さんにも気を遣われる可能性もある。
自分自身の問題で他の人を巻き込みたくない。
一体どうしたらいいのか。教室にかかっているカレンダーを見て気が付く。
もうすぐで十二月に入るのか。本当に時が流れるのは早いな……
十二月、クリスマスに誘ってみるとか。町中カップルだらけの中で
いける私!?でも誘ったら少し私のこと意識してくれるかもしれないし~。
どうしよう!?
読んでいただきありがとうございました!
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それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




