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星降る夜の終わりに、あなたからの手紙を  作者: 九葉


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10/10

エピローグ

あれから、一年。

北の辺境は、かつてないほどの活気に満ちていた。

私の力によって蘇った大地は豊かな恵みをもたらし、人々の暮らしは格段に良くなった。

王都から帰順した兵士たちも、今ではすっかり辺境の民として、たくましく暮らしている。


そして、私は。

セラフィーナ・フォン・グライフェンとして、カイ様の隣に立っていた。

城の皆は、私を「春を呼ぶ姫君」と呼び、心から慕ってくれた。

もう、誰も私を「魔女」とは呼ばない。


あの日以来、カイ様は毎日、どんなに短いものでも、必ず私に手紙をくれるようになった。

それは、公務の合間に走り書きされた「今日のスープは美味かった」という一言だったり、夜、寝室の枕元にそっと置かれた「愛している」という言葉だったりした。


先代様がくれた手紙は、私の心の支えだった。

けれど、カイ様がくれる日々の言葉は、私の血となり、肉となり、私という人間そのものを形作っていく、かけがえのない宝物だ。


今日も、執務室で仕事をする彼の机の上に、小さな花を添えて、一通の手紙を置く。


『カイ様へ。

今夜は、星がとても綺麗です。

バルコニーで、あなたと一緒に見られたら嬉しいです。


愛を込めて。

あなたのセラフィーナより』


言葉は、時を超えて想いを届ける奇跡。

そして、すぐそばにある温もりを確かめ合うための、最高の贈り物。


手紙をテーマにした、私たちの恋物語は、これからも続いていく。

北の地で、永遠に紡がれていく、温かい物語として。

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