1/5
終わりのはじまり
夜の街を、俺は必死に走っていた。
背後から響くサイレンと赤色灯の光が、逃げ場のない現実を突きつける。汗が目に滲み、肺が焼けるほどに呼吸は乱れていた。
どうして、こんなことになったのか。
ただの悪ふざけのはずだった。笑い話で終わるはずだった。だが今、俺は警察に追われている。
曲がり角で足を滑らせ、壁に肩をぶつける。痛みを振り切って再び走り出す。頭の中で断片的に過去の光景が浮かんでは消える。酒に酔った仲間の笑顔。愚痴をこぼし合った夜。くだらない話で笑い転げた日々。
——すべては、あの夜から始まった。