世界設定・宗教
【聖教とは】
セレフィアで唯一、すべての国家が公的に存在を認めている宗教である。
信仰の対象は「唯一神」と呼ばれる存在だが、その神には名がない。
それは、神が名づけを拒めるほどの、語れず・定義できない存在だからだ。
その代わりに、信仰の中心には――
神の意志を体現する「三柱」がいる。
魔女:価値を裁き、赦しを司る
勇者:罪を裁定し、争いを終わらせる
賢者:知と記録を通じ、神の意志を綴る
信仰とは祈りではなく、物語と行動によって示すものとされ、“いかに神の意志を理解し、それに応えたか”をもって人の価値が測られる。
聖教は一枚岩ではなく、複数の宗派に分かれており、国家や文化によって、信仰の形も少しずつ異なる。
ただし、三柱を“神の愛し子”として認めること。
これだけは、どの宗派であっても譲れない信仰の絶対条件である。
【宗派について】
この世界には、聖教を源流とした数多くの宗派が存在する。
その思想や解釈は多岐にわたり、中には危険思想をはらむものや、3柱から明確に否認された派閥も存在する。
以下に代表的な宗派を記す。
・セント・オーソドクス(Sankt Orthodoxus)
セレフィア全土でも最大規模を誇る主流宗派。
3柱(魔女・勇者・賢者)を等しく神格視し、その存在を「神の意志を具現する三位一体」と捉えている。
教義の根幹は、記録(賢者)・断罪(勇者)・赦し(魔女)の三要素を循環として尊ぶこと。
総本山はグランサンクトゥムに置かれ、その中心に座する賢者が残す「記録」が、すべての教義解釈の基礎として位置付けられている。
・融和派(Conciliatus)
セント・オーソドクスに次いで信者数の多い、比較的穏健な宗派。
3柱のバランスを重視しつつも、地方的・文化的な解釈や信仰形態を尊重するのが特徴。
形式張らない祈りや、多宗派との交流・合同儀式を許容する柔軟性を持ち、信仰における“心の在り方”を重視している。
一部地域では、他宗派の祭礼や伝統儀式を“神を讃える祭り”として取り入れており、「信仰は生活の延長にあるもの」という立場を取る。
・オルド・レデンプティオ(Ordo Redemptio)
サール・ナラム教国を中心に信仰される、聖教の中でも特に「断罪」と「赦し」を重視する宗派。
3柱を神そのものとして崇めており、宗教と政治が完全に結びついた国では、信仰の深さ=身分となる。
神にまつわる情報そのものが“信仰の対象”とされ、機密文書や教義の解釈を巡る争いも絶えない。
特に、信仰自体が歴史や文化に根付いており、通貨には勇者の天秤と一輪の花が刻まれ、正義と美徳の均衡を象徴している。