ママの卵料理
下校途中、道の真ん中にたまご型で手足の生えた生き物がバタバタともがいていた。
私は、その生き物に近づいていった。
それは目があって、手足があって、カラフルだった。
「なにこれ、ハンプティダンプティ?」
私は声に出した。
すると玉はコチラに向き返り、うれしそうに言う。
「おお、よくわかったな!早く起こしてくれ!!」
ハンプティダンプティは答えた。
「起こしませんよ。どうせ起きないんですから。」
私は言った。
するとハンプティダンプティは、
「どうしてそんなことがわかる?やってみないとわからないだろう!」
と怒った表情で言うと、バタバタと手足をばたつかせた。
「でも未来は決まってるんです。」
私は言った。
「うるさぁい!立たせろ!立たせろ!立たせろ!」
ハンプティダンプテイは騒ぎ立てる。
見かねた私は無視して通り過ぎようとした。
しかし、そこに突然ママが現れた。
「コロちゃん、ちょっとまちなさぃ。その卵を家までもっていくのよ!」
ママは言った。
「こんなモノどうするの?」
私はママ聞いた。
「食べるにきまってるでしょ!」
ママは堂々と答えた。
「はあ?」
この日のメインディッシュはハンプティダンプティ料理だった。
その味は、どこか懐かしい、母の味だった。