掃除の心
「コロちゃん、たまには部屋の掃除をしなさい。」
ママは私に言った。
「え~、やだ。めんどうだし。」
私はそう言うと、漫画を読みながらゴロゴロと転がって見せた。
「はぁ~・・・。」
ママは大きなため息をついた。
そして、
「これだけはしたくなかったのだけれど・・・。」
とつぶやいて、私の目の前に2台の掃除機をドンっとおいた。
「ママ、それで一緒に掃除しようって言うの?」
私は漫画を置き、ママを見て言った。
するとママは首を横に振って、
「これからコロは掃除機と合体してもらいます!」
ママは言った。
「合体するとどうなるの?」
私は聞いた。
「腕が2本、掃除機のホースになって、掃除しかできない体になるのよ。」
ママは言った。
私はすごく嫌な顔をして、
「吸い込んだゴミが体に入ってくるから嫌だよ。」
と返した。
するとママは、
「ちょっと中身が汚れるくらい、この際しょうがないことなのよ。」
と言った。
私は不貞腐れた顔をして、
「中身って何が汚れるの?」
と聞き返した。
ママは、
「心がちょっと汚れるだけよ。」
と微笑みながら返した。
ママはとても私を掃除機人間にしたそうにしていたので、しぶしぶ私は部屋の掃除をすることにした。