キレイな小石
帰り道、私はキレイな小石を拾った。
薄っぺらく、ツルツルの表面。うっすら透けていて、青みがかった石だった。
私はそれを、拾ってポケットにいれた。
少し歩くと、私は声をかけられた。
「もしもし、お嬢さん。」
私は、振り返った。そこには見知らぬおじさんが立っていた。
「もしもし、お嬢さん。さきほどあなたはキレイな小石をポケットから落とされましたよ。」
そういって、おじさんは自分の足元を見つめていた。
足元には、さきほど拾った小石が落ちていた。
私はおじさんの立つ下にかがみこんで、小石を拾い上げた。
そして、私は、
「ありがとう。」
と言いながら顔を上げた。
しかし、先ほどまで目の前にいたはずのおじさんは、何故かいなくなっていた。
私は、少し首を傾げた後、先ほどの小石をぽっけにしまいなおし、また歩き始めた。
「よし、ついた。」
私は、通学路から少し外れた用水池にきていた。
私はポケットから先ほどの小石をとりだした。
そして、腕を地面すれすれに構え、
「それぇ~!」
投げた。
ヒューン ピシャピシャピシャシャシャシャ
「おー、はねるはねる!」
小石は何度もバウンドしながら、そして最後は静かに水の中に沈んでいった。
「うんうん、おもったとおり。拾ったときからあの石は絶対はねると思ってたんだ。」
私はそう言って、小石が沈んでいった水面を見つめていた。
じっと、見つめていた。
青く光る水面からは、誰かが溺れてるような、そんな声が聞こえた気がした。