チョコレート仮面と悪者退治
今日、私はピンチだった。
「キャーーー!!!」
私は大声を上げた。
私は、悪党たちに取り囲まれていた。
悪党たちは、鋭い刃物をたくさんちらつかせ、そして大勢で私を取り囲む。
私は、もうだめ。今日この瞬間に終わってしまうのだ。
そう、覚ったその時だった。
「てぇえええぇえい!」
そんなむさ苦しい掛け声とともに、突然現れた男はプロレス技を炸裂させた。
男は強靭な胸板で、次々に悪党たちをやっつけた。その速さといえば、一瞬であった。
「ありがとう!チョコレート仮面!」
私は言った。
「姫君のピンチとあらば、私はどこからでも駆けつけましょう。」
チョコレート仮面は言った。
私はそのまま走りよって、そのむしゃぶりつきたくなるような胸板に抱きついた。
素敵な素敵な恋の予感。
「チョコレート仮面、こんな普段人気のない殺風景な場所で、こんな素敵な登場をするなんて、なんて素敵なんでしょう。」
私は言った。
チョコレート仮面は誇らしげに下半身を指差し言った。
「”これ”を身につけていたから、君のピンチに気づけたのだよ。」
”これ”とは、ブルマだった。
先日の、私のブルマだった。
「まだ身につけていたのですね。」
私は言った。
「うむ、やはりこれがいいのだ。マスクは剥がされてもいいが、パンツだけは剥がされるわけにはいかぬ。」
チョコレート仮面は誇らしげに言った。
私は、道を踏み外す一歩手前で気づかせてくれた素敵な自分のブルマに一礼をして、あとは振り返らずに走って帰った。