表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/14

12

和人君は外を歩いていた、ぬか漬けの香りを漂わせ歩いていた

その心は嵐のようだった、このような時こそ”母”に

縋りつきたかった、しかし、それはもはや叶わぬ事であって

新たな母を見繕うあての一つもありはしないのだ


しかし和人君には、もう一つ自らを慰める術があった

それは何かを殴ったり蹴りつけたりして鬱憤を発散させる事である

しかしながら、心根の優しい優しい和人君は決して生き物{人を含む}

を傷つけることはしない


彼が傷つけるのは始め道路であり岩石であった

しかし、面白くないのである

当然ながら岩を殴りつけたところで先方より何か反応が

返ってくるはずもない、只、自身の手が痛むだけである


其処で和人君が目に付ける事となったのが

自動販売機である、それを殴りつけ蹴りつけしていると

何やら中でガシャガシャ言うのである

そして時にはライトが消える事もあるし

取り出し口に落ちてくるジュースと言う景品が貰える事もあるものだ


こうして和人君は気に入らない事が或る時には

ひたすらに町内の自動販売機を殴りつけ蹴りつけてきたのである


余談ではあるが此の田根盛町たねもりちょうにおいては

十数年前より自動販売機が殴打され破壊される事例が頻発していた

此れに対し自販機メーカーは此処が売り上げの少ない地域

ということもあり、長らく放置してきたのであるが

この度ようやくに重い腰を上げ、ある抜本的な対策を施した


しかしながら、当然の事に和人君はこのことを知る由も無かった

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ