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後に残されたのは畳にめり込んだ小男と

部屋の隅ですすり泣く女であった


和人君はその心中で叫んでいた

世界の理不尽に対する叫びであった

普段、信仰心のまるでない和人君であっても

この時ばかりは神を呪わずにはいられなかった

「嗚呼、何故に神は我を見捨てたもうたか」


このささやかな願い、すなわち本物の母を得て

そして慰めてもらうことすら叶わないのか


しかし、いくら嘆いてみても此れは、結句どうにもならぬ事なのだ

やはり芳恵で我慢するより他はないのだ


和人君はどうにか畳より這い出すと

芳恵に近づいて行った


「お母さあああああああん」


其処に降ってきたものがあった

ぬか漬けであった


大根に人参、牛蒡に茄子、丁度食べごろの芳醇なそれであった

その向こうに壺を振り上げた芳恵の姿があった

その表情は先程の美代ちゃんと同様のそれであった

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