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挿絵(By みてみん)


恐{おそ}るべき!、わかめの魔人{まじん}

現{あらわ}る、剛力無比{ごうりきむひ}なる

わかめ力{ちから}によって

そのへんの人{ひと}をこっぱみじん

人はわかめを馬鹿にしてきた

人にとり、わかめは一食材でしかなかった

一海藻でしかなかった一植物でしかなかった


古来より、本朝には付喪神の信仰がある

幾世もの時を経た無生物、石が箪笥が甲冑が

やがて自らの意思を持ち

陰に陽に力を発揮するようになる

というものである


さはさりながら、付喪神となるのは無生物だけではなかった

海藻たるわかめもまたその一つであったのである

わかめ達は意思を持った

自らがわかめであることを知った

そして、人類がわかめを軽んじてきたことを知った


わかめ達は感情というものを知った

憎悪というものを知った


「おのれ、人間ども味噌汁の具だどおもで

 バカにしやがっでぇ!」


陽光も届かぬ海底にわかめ達は集結した

今こそ、にっくき人類を覆滅せん時である

わかめ達は団結して立ち上がるのだ

しかし、足がない

当然ながらわかめには立ち上がる足がない

無論、腕もない、ついでに言えば脳みそもないのである

これでいったいどうしろと言うのか


しかし解決策はある

一つ一つのわかめの処理能力は乏しくても

それぞれが情報処理の結節点ノードとなり

無数のわかめを全体として一つの演算装置とすればよいのである

クラウドコンピューティングである


かくして、最高のすごいIQの一つのすごい超頭脳となった

わかめはある最高にcleverなすごい結論に達した


人間の屍を乗っ取り

わかめの魔人を作り出すのである


川の向こうから「どんぶらこ」「どんぶらこ」と何かが流れてくる

土左衛門である

次第にその周りに緑のものがまとわりつき

水底みなそこへと引きずり込んでゆく

やがて水上より屍は消え

後には水泡がパラパラと浮かんでくるばかりであった


かくして、わかめ達は人類撲滅の尖兵を得た

しかし、後から振り返ってみれば

この屍というのがよくなかった

この屍は此度の大雨にて

氾濫する川を実況中継するとして

荒れ狂う流れに飲み込まれた自称youtuber

肝井仁きもいひとしだったのである

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