表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/22

4-1.決戦 リッド vs ザロード




「勝負ですわアイラ! 今日こそ私の剣のサビにしてくれますわ!」

 

「お前の剣のサビになる気はないが、良いだろう。受けてやる」


 レイピアの模造剣(もぞうけん)をアイラに突きつけたシャルロットが挑戦状を叩きつけた。


 模擬戦と言えど、純血種同士の戦い。


 ただの体育の授業でこんなレアな試合を見られるとは、リスクを犯してでもこの学園に入学した価値がある。


「ねえリッド。従者(じゅうしゃ)の仕事、疲れてない?」


 ちょこんと袖を引いたのは心配顔のピスコだ。


「あーうん、大丈夫。血を吸われる以外はもう慣れた」


「そっか。よかったぁ。同じクラスになって一週間()ったけど、中々リッドと話せてなかったから」


「ごめん。慣れないことが多くて、バタバタしてて」


 武道場に歓声が沸く。

 どうやら二人の戦いが始まったようだ。


「ほえぇ。やっぱ凄いねあの2人。2人の剣、ボクには全く見えないよ」


 ーーやはり(はや)い。特にアイラ。


 腰を()えて、ようやく剣筋が見える。

 クラスメイト達の目の運び方から察するに、全員ピスコと同じような状態だろう。


 だがこの勝負、すぐに決着がつきそうだ。


 どうやらアイラとシャルロットの間にも大きな格の違いがあるようだ。

 てかアイラのやつ、手抜いてるな。


「ぐっ! きゃあっ!?」


「終わりだ、シャル」


 シャルロットの持つ剣がアイラに弾かれ宙を舞う。

 ピッタリと喉元にレイピアを突きつけてアイラが笑う。


「くぅ......また負けですわ! 悔しいっ! 昔っから剣ではあなたに勝てない! 次は槍! 槍で勝負よ! 槍術(そうじゅつ)なら絶対負けないんだから!」


「ゴネるなシャル。今は剣術の授業だ。ほらもう一本やるぞ?」


「嫌ですわっ!」


「ん〜なんだぁ? 『また』、あたしに負けるのが怖いのか?」


「むきぃ! 頭きた! やってやるっ!」


 顔を赤くして大股で剣を拾い上げたシャルロットの剣を、アイラが例の肉食獣みたいな笑みで受け入れる。


「ほぇええっ......また始まっちゃった」


「そうだな。しかし仲良いな、あの2人」


「そ、そう? ボクにはいつもケンカしてるように見えるけど......」


 ピスコはそう言うが、戦う2人の表情は明るい。純粋に勝負を楽しんでいるのだろう。


 良きライバルであり親友、そして姉妹のような関係。

 

 そんな硬い絆をこの1週間で感じた。


 アイラは手を抜いているようだが、剣の腕は恐らくオレが上。10回やれば7回はオレが勝つだろう。


 初見だけの勝率なら、手の内を明かしていない分、さらにオレに()があると見ていい。


 だが流石に2人同時相手は厳しい。


 アイラを殺す時は、必殺の状況に持ち込んだ上で2人を分断する方法を考える必要がありそうだ。


「おい下僕! 暇そうだな」


 ザロード・カルヴァドス。

 

 アイラの従者になれなかった混血。


 いつもの事だが、相変わらず腰巾着(こしきんちゃく)みたいにお仲間を引き連れて偉そうにしている。


 結局、こいつとも同じクラスになってしまった。


 見立て通り、やはりこいつは親が一国の王である、混血の中でも上位に位置するヴァンパイアだった。


 従者になれなかった腹いせに、事あるごとにオレに絡むのはやめて欲しい。


 眉間を()の字に曲げたピスコが睨み合うオレとザロードの間に割って入った。


「リッドに何の用!? リッドはアイラ様の剣の鑑賞で忙しいの! 用がないならどっか行って!」


「剣の鑑賞だと? はっ! お前らみたいな『不純物』に高貴なるお2人の剣(さば)きが見えるのか?」


 ザロードの言葉にピスコの肩がピクンと跳ねた。


『不純物』。ヴァンパイアの血が流れない眷属(けんぞく)に対する差別用語。


 混血は眷属を軽んじる傾向がある。

 恐らくクラスの眷属達にもザロードの声は聞こえているだろうが何も言わない。

 無言の圧で睨む者もいれば、気付かぬフリをする者もいる。


 逆らっても勝てないからだ。


「その言葉は禁句のはずですっ! ヴァンパイアがそんなに偉いんですか!」


 ピスコの身体は相変わらず小動物みたいに震えているが瞳に力を感じる。

 そんなピスコをザロードがあざ笑う。


「偉いに決まってるだろ! ヴァンパイアと人では生まれた時点で能力に莫大な差がある! お前らなんぞ、逆立ちしても私達には勝てんよ!」


 ザロードの言葉に取り巻き達が腹を抱えて笑う。

 うつむいたピスコの瞳から先ほど感じた力は消え、微かに潤んでいる様に見えた。

 

 ザロードの言う事はその通りだ、異論はない。

 たが、その差を埋める事は不可能じゃない。


 血の(にじ)むようなーーそれこそ死を覚悟するような努力さえすれば。


 オレを(かば)う様に立つピスコの前に出る。


「へぇ。混血なら純血2人の剣が見えるの?」


「あ、当たり前だろ。なあみんな?」


 ザロードの問いかけに取り巻き達の目が泳ぐ。


「くっ......おい下僕! 何がおかしい!」


 しまった。取り巻き達の反応を見て、無意識の内に笑ってしまったらしい。

 怒りを滲ませたザロードがオレに模造剣を投げて寄越した。


「無礼な不純物め! 剣を取れ! 私が貴様を直々に調教してやる!」








お付き合い頂きありがとうございます!


現在、鋭意作品執筆中です。


皆様のコメント・評価はモチベーションです!


よろしければ、コメント・評価、ブックマークお願いいたします(土下座)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ