02-3. 今日からオレはアイラの奴隷!?
「聞こえなかったか? 次」
「そ、そんな......」
こいつ、本気で選ぶ気あるのか?
「はあ。本当につまらんやつばかりだ。そうだな」
不意にアイラと目が合う。
「そこのお前、こっちに来い」
教室中の視線がオレに集まる。
アイラは挑発気味な笑みを浮かべている。
嫌な予感がする。
直ぐに応じず、とぼけてキョロキョロと周りを見渡す。
「お前だお前。教室出ようとしてる、そこの銀髪ボサボサ頭のビン底メガネ。早く来い」
「リッド......」
不安そうなピスコから離れ、ザロードの隣でアイラの前に跪く。
親の仇に膝を折る。
情報収集のためだと割り切ってるつもりだったが、怒りで頭がチカチカする。思った以上に屈辱的だ。
「名前は?」
「リッド・ヴァレンスタイン」
「貴様っ! アイラ様に対してなんだその物言いは! 無礼者が!」
少々ぶっきらぼうな言い方になって、ザロードに襟を掴まれ立たされた。
「......確かに無礼だ」
「見ろっ! アイラ様も機嫌を損ねていらっしゃる! この無礼者は私が責任持ってーー」
耳元で鋭く風が鳴いた。
白い細剣。
耳元を通過した剣の先で、ますます不機嫌面になったアイラが睨んでいる。
「無礼は貴様だ混血。今あたしがこいつと話してるんだ。下がってろ」
「は、はいっ!」
「ふん」
鼻を鳴らしたアイラはルイピアを納刀し再び椅子に腰掛けた。
何も、見えなかった。
抜刀から刺突のモーションまで、何も。
ザロードに胸ぐらを掴まれ、アイラの姿を確認しにくかったのもあるが気配すら感じなかった。
強い。
この剣の腕に純血の生命力。文字通り化け物だ。
改めて顔を伏せて膝をつく。
ザロードには感謝だな。アイツのおかげで頭に上った血が下りた。今はすこぶる冷静だ。
アイラは強い。
確実に殺すには探る必要がある。こいつの弱点を。
「お前、さっきの入学式で三階席からあたしを睨んでいたな?」
再び騒つく教室。
やはり意図してこちらを見ていたか。
「おい、顔を上げろ」
どうする、どんな顔を向ければいい?
困惑、反抗、恐怖......
わからない。わからないなら何も考えるな。
「......ふっ。大したやつだ。お前、あたしが怖くないのか?」
肉食獣のような表情でオレを見つめるアイラ。
そんな彼女の翡翠の瞳を真っ直ぐ見つめ返す。
「気に入った。リッドと言ったな。お前、あたしの従者になれ」
............え? なんで?
「どうした? 嬉しくないのか」
意味がわからなさ過ぎて硬直していた。
慌てて膝をついて頭を下げる。
「あ、ありがとうございます!」
「明日から身の回りの世話、よろしく頼むぞ『奴隷』君」
こいつ今、奴隷って言った?
こうしてオレは何故かアイラの従者もとい、奴隷に選出されたのだった。
お付き合い頂きありがとうございます!
現在、鋭意作品執筆中です。
皆様のコメント・評価はモチベーションです!
よろしければ、コメント・評価、ブックマークお願いいたします(土下座)