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5-3.舞踏会 〜アイラの場合〜




 退屈だ。


 いつものパーティ。聞き飽きた演奏。豪華な食事。


 入学してから毎日のように繰り返される日常。正直、うんざりだ。


 ダンスホールの一角にあたし達のために用意されたソファに座る。


「あら、不機嫌そうねアイラ」


「......そういうお前は元気そうだな、シャル」


「おっほっほっほっ! パーティなんですから、楽しまなきゃ損じゃないですの!」


「お前はいつもお気楽でいいな」


「その言い方、なんだかバカにされてるように聞こえるわね。あなただって最近楽しそうじゃない」


「あたしが?」


「ええ。今日もかわいい声あげてたし。ひゃあって」


「あ、あれはっ!」


 シャルの小馬鹿にする表情があの武道場での一件を思い出させる。


 まだ肩にあいつの手の感覚が残ってる。

 だけど仕方ないだろ。


 同級生の異性に身体を触られたのはあれが初めてだんたんだから。


「あーあ、そんなんなら私も従者とればよかったですわぁ〜」


 あたしの隣に座ったシャルがはしたなく足を投げ出す。


「なあシャル。お前はリッドをどう思う?」


「まーた質問? 今日何度目ですの?」


 リッド・ヴァレンスタイン。


 入学式であたしを睨んできた時、気絶させるつもりで本気であいつを睨み返した。

 なのにあいつはあいつは動じず、それどころか睨み返してきた。


 普通じゃない。それに今朝だって、


「あいつの視線、あれは確実にあたし達の剣を目で追っていた」


「だ〜か〜らぁ、それはありえないって言ってるじゃないの。混血ならともかく、眷属ですわよ?」


「そうなんだが......」


「もしそうだとしたら、彼はヴァンパイアハンターですわ」


 ヴァンパイアハンター。

 純血さえも殺しうる存在。

 人なのか、はたまた裏切りのヴァンパイアなのか。何もかもが謎に包まれる存在。


「アイラは昔、殺したことあるんでしたっけ? ヴァンパイアハンター」


「ああ」


 幼いながら、化け物じみた強さだったことを覚えている。

 ヴァンパイアの王と呼ばれた父を殺した男女ペアのヴァンパイアハンター。


 そのうちの女性をあたしが殺した。


 と言っても、父との戦いでほぼ瀕死状態だったのだけど。


「二人がかりとは言え、当時最強といわれたアイラのお父様を討つとは恐ろしい。私達の剣が見えるってことは、あの芋男がヴァンパイアハンターかその類ってことになる。アイラはそう思うってこと?」


「そうじゃないが、ザロードも倒したし......」


「倒してませんわ。倒れたの。彼、混血の中ではかなり強い方よ。私達からしたら雑魚ですけど。あなた、彼のこと過大評価し過ぎじゃありませんか?」


「そう、なのかな?」


 あれに関しては特に不自然だった。

 それにヴァンパイアが気を失うなんて聞いた事がない。

 

 どうも腑に落ちない。

 リッド、お前は何者だ?

 お前を思うと、胸がモヤモヤする。


「あなた、あの従者に恋でもしてるの?」


「そんな訳あるかぁ!」


「そうならそうと言ってくださいな。とったりしませんから安心なさい。とにかく、今はパーティを楽しみましょう」


「たがら違うって!」


 シャルがウィンクしながらあたしに二つのワイングラスを差し出した。


「あなたの初恋に乾杯」


「だから恋なんてしとらんっ!」


 シャルの突き出したグラスを無視して、片方のグラスをぶんどって一気に飲み干す。


「いい飲みっぷり。さすがアイラ。あら」 


 ついでにシャルの手に持つグラスも奪って一気に開ける。


「おほほ。あなたのそういうところ好きよ。ん? 何だか下が騒がしいわね」


 ウェイターが持ってきた新たなグラスを傾けながらシャルの視線の方を向く。


「混血共はいつも楽しそうだな。理解できん」


「そうね......ふふ。でも、今日のパーティはいつもより楽しめそうよ」


 雑踏から一人、男が抜け出してこちらに向かって歩いてくる。


 許可したウェイター以外、誰も足を踏み入れた事のないステージに躊躇なく上がり、あたしの前で膝を折る。


「なんだ貴様、顔を上げろ」


 整った顔。銀髪オールバック。琥珀色の鋭い瞳。

 着こなすスーツはまるでこいつのために作られたかの様に似合っている。

 まるでおとき話に出てくる王子の様だ。


「何者だ?」


「え?」


「え、じゃないわ無礼者め。あたしを誰だと思ってる」


 隣でシャルが笑ってる。なにがおかしい?


「え、えーっと、アイラ様だと思ってますが......」


 え、その声......

 トクンと心臓が跳ねた。

 な、なんだこれ。今まで感じた事ない感覚だ。


「お前、リッドか」


「はい」


 胸の鼓動がうるさい。

 それにワインのせいか顔も、熱い。


「あなたのリッド・ヴァレンスタイン、ただいま参上致しました。」





お付き合い頂きありがとうございます!


現在、鋭意作品執筆中です。


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