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5-2.舞踏会




「えっと、ダンスホールってどこにありますか?」


「は、はいっ! そこの扉を開いた先ですっ!」


「ありがとう」

 

 アルカーノ学園迎賓館。

 無駄にデカいこの建物でオレは迷子になっている。


 しかし、さっきから妙に視線を感じる。


 気になって視線の方を向くと大半が女性で、目が合うとすぐに目を逸らされる。なんなんだ?

 とりあえず教えてもらった扉を開けて中に入る。


「広いな」

 

 巨大な部屋一面に広がる青の絨毯。耳障りのいいオーケストラの演奏。


 その演奏に合わせてステップを踏む者もいれば、オシャレな料理をつまみながらワイングラス片手に談笑(だんしょう)する者もいる。


 きらびやかな世界。これが社交界か。


 まさかこんな世界に足を踏み入れる日がくるなんて思いもしなかった。

 そしてここにいるやつ全員がヴァンパイア。正直反吐(へど)が出る。


「えっと、アイラは......」


 いた。いわゆるVIP席ってやつだろうか?

 全体が見渡せそうな少し小高いステージに置かれた、真っ赤なソファでシャルロットと話し込んでいる。


 ホールの時計曰く、現在アイラとの約束の五分前。

 ダンスの腕は保証出来ないが、どうやら間に合ったようだ。ピスコに感謝だな。


「あ、あのっ!」


 声のした方を向く。

 クラスメイトの混血の女子のリーマだ。

 この子、眷属(けんぞく)をバカにする節があって苦手なんだよな。ザロードとも仲いいし。


「もしよろしければ、あなた様のお名前お聞かせ願えませんでしょうかっ!?」


 オレの名前? 知ってるはずだけど。


「リーマだよね?」


「私のこと、ご存知で!?」


「そりゃそうでしょ」


 クラスメイトだし。


「感激です」


 ポワンととろけてしまいそうな表情を浮かべるリーマ。なにその反応。


「そ、そう? ザロードとよく一緒にいるよね?」


 あれ? 急に真顔に戻ったぞ。表情が忙しいなこの子。


「リーマ。こんな所にいたか。探したぞ」


 噂をすればザロードの登場だ。

 ゆるんだ口元にはびっしりと歯が並んでいる。

 抜けた歯はなんとかなったみたいだ。


「君、見ない顔だね。何組?」


「は?」


「リーマ、彼は?」


 リーマの隣に立ったザロードが彼女の肩に手を回す。

 が、リーマはそれを乱暴に払い除けた。


「気安く触らないで! 勘違いしないでください! こんなやつと仲良くなんかありません!」


「リーマ!? 一体どうしたんだ!」


「話しかけないで! こんなやつほっといて、こちらでなにかお飲み物でも頂きながらお話をーー」


「お待ちなさいリーマッ! 抜け駆けは許さないわよ!」


「離れなさい! 初めに話しかけたのは私よ!」


 なんか周りに女子が集まってきた。

 それにザロードを中心に、男子から向けられる視線に殺気を感じる。


「ごめん!」


「ああっ! お待ちになって!」


 やっぱオレ、目立ってる?

 なんでだ? なんかドレスコード間違ったか? 周りとそんな違う感じしないけど。


 この騒ぎを(しず)めるには彼女達の力を借りるのが一番手っ取り早そうだ。

 なぜかすごいペースで次々ワイングラスの中身を飲み干すアイラに、オレは足早に歩み寄った。








お付き合い頂きありがとうございます!


現在、鋭意作品執筆中です。


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