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4-3.決闘 リッド vs ザロード




 アイラと目が合う。が、止める気はない様だ。

 それに気づいたザロードの表情がより醜悪になる。


「どうやらアイラ様も貴様への躾を望んでいる様だな」


「はあ」


 正直、オレのストレスも限界だ。


 アイラに実力がバレない様にザロードを倒す。

 難しいがやるしかない。


「私との戦い中にため息? なめるな不純物っ!」

 

 再び距離を詰めるザロード。

 ーー必要最小限の動きでこいつの意識を刈り取る。


「ーーシャアッ!」


 振り下ろし。と見せかけて突き。

 バカみたいにわかりやすいフェイントだ。

 剣を突き出すザロードの顔が無防備になった。


 この瞬間に、合わせる。


 すれ違い様ーーアイラの死角で、ザロードの顎を剣で砕く。

 ごとりと音を立ててその場に倒れ込んだザロードは動かなくなった。


「え?」


 静まり返った武道場にアイラの声が驚くほどよく響く。


 上手くいった......と思う。多分誰にも見えてない。


 すまんザロード。

 今ので歯の1本ぐらい折れたかもしれん。

 

 だが倒れるザロードの口から吐き出た血の中に、歯は混じっていない。さすがヴァンパイア。ちょっとだけ残念だ。


 後はとぼけるだけだな。


「あ、あれー。なんか急にザロード倒れちゃったー」


 沈黙。

 さ、流石に無理あるか?


「しょ、勝者リッド!」


 アイラの宣言に武道場に割れんばかりの歓声が沸き上がる。

 眷属のみんながオレに駆け寄ってくる。


「なんか知らんが、よくやったリッド! 何が不純物だ、オレ達をバカにしやがって!」


「しかも真剣持ち出して勝負だと? この卑怯者め! それで負けるなんてざまぁないな!」


「リッド君のおかげでスカッとしたわ! ありがとう!」


 眷属のみんなの反応にホッと胸を撫で下ろす。

 そんな中でピスコがハンカチで肩の傷を止血してくれた。


「リッド大丈夫?」


「ん、ああ。これくらい大丈夫だよ」

 

 眷属のみんなから離れて倒れるザロードに声をかける。


「大丈夫か?」


 このままほっといてもいいんだが、またちょっかいかけられても困るからな。

 目覚めたザロードは差し出したオレの手を払い除けた。


「触るなこの不純物! な、なんだこの血は!?」


「戦いの途中で急に気を失ったんだよ。それでお前は負けた」


「そんなバカな!? き、貴様このままで済むと......あっ」


「あ」


 叫ぶザロードの口から白い欠片が飛び出して、武道場の床に当たって甲高い音を立てる。


 歯だ。白く尖った立派な歯。


「わ、私の歯がぁあああ! く、くそ! これで終わったと思うなよ! 今夜のダンスパーティで必ず恥をかかせてやる! 覚えてろ!」


「お、お待ち下さい! ザロード様!」


 歯を拾ったザロードと取り巻きが慌てて武道場を出て行った。

 武道場は笑いに包まれているが、オレはザロードの言葉に硬直していた。


 今夜のダンスパーティ?


 どう言うこと? 今夜の新入生歓迎のダンスパーティは純血と混血しか招待されていないはずだが。


「おいリッド」


 肩を叩かれて振り向いた先にいたのはアイラだ。


 疑いの眼差し。


 そりゃそうだ。オレがアイラの立場でも間違いなく同じように疑う。

 あまりに不自然。その目は原因を追求したそうだ。

 だが今はそれどころじゃない。


「アイラ様! オレ、ダンスパーティに出るんですか!?」


「ひゃあ!?」


 ............ひゃあ?


 アイラ様、今、ひゃあって言った?


「バカ者! いつまで触ってるっ!?」


 勢い余って肩に置いてしまった手を顔を赤くしたアイラに乱暴に払い除けられた。


「............言うの忘れてた。リッド、お前も今日のダンスパーティーに参加しろ」


「えっ!? オレ、ダンスなんて出来ません!」


「ふんっ! 知るか! なら出来る様になればいいだろ! ダンスパーティまで暇をやる! いいか! 来なかったり、踊らなかったら従者はクビだ!」


「そんな......」


 明らかに不機嫌なアイラはそのまま武道場を去っていった。

 ザロードにケンカふっかけられた時には感じなかった嫌な汗が背中を伝うのを確かに感じた。








お付き合い頂きありがとうございます!


現在、鋭意作品執筆中です。


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