プロローグ.くたばれ、初恋
ヴァンパイアハンターの少年リッドとヴァンパイアの少女アイラの恋愛譚スタートです。
踊る、踊る、踊るーー
踊る度、巨大なダンスホールに敷き詰められた青の絨毯が血飛沫で赤に染まり、死体が増えていく。
「同級生にも容赦無しか。はっ! 最強と名高いヴァンパイアハンター様は冷徹でいらっしゃる」
「お褒め頂き光栄です、お嬢様」
「はっ! こんな時だけお嬢様呼ばわりか! くたばれリッド!」
疾風の様なレイピアの無数の突きがオレの顔目掛けて繰り出される。
それを首の捻りだけで躱し、ロングソードを横薙ぎして応戦する。
だが、長く続いたダンスパーティに不意に幕が降りる。
「ーーしっ!」
「あうっ!?」
オレの剣が届いた。
真紅の絨毯に倒れ込んだ彼女に詰め寄り、剣の切先を喉元に突きつける。
「これで終わりだ、アイラ」
「リッド......」
真っ赤なドレスの大きなスリッドから覗く、絹の様な白い足が血で赤に染まっていく。
オレを睨むアイラの眼はまるでライオン。隙あらば噛み殺す。そんな強い意思を感じる。
『純血』のヴァンパイアの生命力は異常。
剣では確実に殺せない。懐からアイラを殺す為に調達した銀製の拳銃を取り出し、額に向ける。
「シルバー・バレット......くそ、ヴァンパイアハンターめ」
「さよなら、アイラ」
オレの存在意義は親の仇であるお前を殺す事。
トリガーにかけた指を引く。
ーーターン。
雷鳴の様な発砲音がダンスホールを飲み込む。
硝煙の匂い。倒れるアイラ。
全てがスローモーションに見える。
さよなら。世界で一番憎んだヴァンパイア。そしてーー
「くたばれ、初恋」
さよなら。認めたくないけど、初めて恋した人。
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