第6話 メールニア帝国動く
ついに戦闘回です。
お待たせしました。
第6話 メールニア帝国動く
日本の外交官がメールニア帝国の国交開設を諦めて帰国してから3ヶ月後。
メールニア帝国最大の軍港ブリダットではかつてない程の賑わいを見せていた。
その賑わいの理由は多くの軍人達が居たからだ。
軍港には見渡す限りの戦列艦で埋め尽くされていた。
その軍港見渡す1人の軍人がいた。その男は身体中に傷跡があり顔の頬には特徴的な引っ掻き傷があり威圧感を放っていた。その人物の名はメールニア帝国海軍大将ファンボード・フリード・ゲルダ。
帝国海軍が誇る名将であり彼の祖父はメールニア帝国を高度文明大国にまで成長させた功臣である。
また彼自身も今は占領されているファンローム王国の15年前の海戦において自軍が40隻程の戦列艦に対して60隻のファンローム王国海軍と戦い大勝利した功績を出している。
その際彼の乗る旗艦に砲撃を受け砲弾によって弾けた木の破片で出来た頬の傷は彼は勲章だと誇っている。
「ふーむ、本当に今回は今までとは訳が違うな。」
彼が今まで指揮した艦船の数は102隻だったのに対して今回の戦争では異例の583隻という極めて大規模なものだった。
「それほど今回の戦争は期待が大きいということですよ。閣下。」
そう発言したのは20年前から共に戦った仲間モーゼス・ラウェン・エカンタであった。彼は片腕がなく痩せた体格であるが非常に優秀で彼のお陰で勝利した海戦も数多くある。
「確かに皇帝陛下悲願の大陸統一を今年になりやるのだから分かるが・・・まさかここまでとはな。さらに別の軍港にも別艦隊があるのだろ?」
「ええそうです。反対方面にあるツーバロン軍港には200隻程が待機しています。」
「うーむ、それでいて今回の主力は海軍ではなく陸軍なのだろう?呆れほどの物量だな。」
そう。今回の戦争において何よりも驚きなのはこれ程の艦隊を動員しながら主力は陸軍であることなのである。
今回の陸軍の動員兵力は約45万人である。海軍は31万人を動員されている。
また飛竜に至っては只の飛竜ではなく黒龍という高価な飛竜が500騎が動員されている。
飛竜は体長8メートル程の体格で最大速度は280キロメートルであり最大高度は4000メートルの航空戦力である。
そして黒龍は従来の飛竜よりも卵の状態に魔法によって強化された飛竜で最大速度は340キロメートルそして最大高度は5500メートルでありかなり強化されているがその強化魔法には専用の魔法具や薬液そして黒龍は飛竜よりも多くのエサを食べるため維持費が高く非常に高価なため簡単に保有できないものだ。
たとえ高度文明大国でも500騎を保有できるのは列強国に支援されたメールニア帝国だけだろう。
ファンボードが戦列艦を眺めていると伝令が近付いてきた。
「どうした?」
「は! 魔信からの報告で皇女殿下が率いる第1陸軍団がバードン共和国を侵攻したとのことです!閣下にも攻撃命令が下りました!」
その報告を聞いたファンボードとモーゼスはお互いに顔を合わせ頷いた。
「そうか。では各艦に通達!全艦隊はこれよりアルシンダ王国王都アルシンダへ向けて攻撃を行う。」
それを聞いた伝令兵は踵をかえし全軍に伝えたのだった。
「しかし、陸での先方はあの暴れ姫の第1陸軍団か・・・これは敵が気の毒になってきたな。」
ファンボードは皇女の顔を思い浮かび苦笑いした。
「さて、久しぶりの戦争だ。モーゼス!暴れまくるぞ!!」
「はい!閣下!」
2人は嬉々として船に乗り込んだのだった。
その頃場所は変わりバードン共和国の国境沿いにある砦モイリーンでは混乱のまっ最中であった。メールニア帝国からの宣戦布告により守備隊は防衛の準備を大急ぎで行っていた。
「急げ!急げ!敵は待ってくれないぞ!」
そう兵士達に指揮をするのはモイリーン砦の司令官であるグース・グリン・ヨハネスである。
飛竜からの偵察で敵の先方は8万だと分かっている。しかも紋章をみると若き名将として名高いカリーナ・アワン・リッテル・メールニア皇女だという。これには彼も戦意が高まる。
「あの皇女を退ければ敵の戦意は低下する・・・何としてでも倒してみせるぞ。」
現在モイリーン砦には4万9500人ほどの歩兵と1万5000人ほどの弓兵そして5000の重装甲騎兵、15門の大型バリスタ、飛竜50騎が待機している。
戦力としては向こうが上だが防衛能力を見てこちらにも勝機があると判断する。
そのころの日本は
東京 首相官邸 危機管理センター
ここでは首相ら各省庁らのトップが臨席していた。
「とうとう帝国が動いたか。」
首相の発言に防衛大臣が報告をする。
「先月打ち上げた偵察衛星からの偵察では現在帝国軍は陸軍はバードン共和国を経由して侵攻するようです。モイリーン砦には約8万程の軍勢が包囲しておりその後方には30万強の軍勢を確認しております。また海上においては西側よりおよそ500隻ほどの戦列艦か東側よりは200隻ほどの戦列艦を確認しております。」
予想以上の戦力にざわめきが起こる。
「凄い数だが現地の戦力で持ちこたえられるのか?」
首相の質問に防衛大臣が答える。
「恐らくではありますが陸も海も現地の戦力にでは無理でしょう。もし友好国らが占領されれば我が国に入ってくる資源がなくなり我が国も崩壊するどころかおの大陸には我が国の民間人もいます。そのため一刻も速い援軍を送るべきです。」
「経済産業相としてもアルシンダ王国らの増援に賛成します。」
2人の大臣の意見に首相は決断した。
「よしわかった。すぐさま自衛隊に出撃命令を出せ。」
「畏まりました。既に準備は整っています。あとは彼らの勝利を願うだけです。」
この翌日に自衛隊推定3万人の隊員がアルシンダ王国救援のために向かった。
その頃のモイリーン砦では四方を完全に包囲された状態であった。
正門を中心に攻撃をしており前線には数えきれないほどの敵がいた。
「よいな!一斉に矢を放つのだぁ!」
隊長の命令で一斉に矢が放たれるがオーガらがそれを受けてもさほど痛みを感じない様子で構わず全身する。
オーガによる金属製のこん棒で門を攻撃するが城壁からの大型バリスタでオーガの硬い皮膚を突き破る。
ゴブリンらの特攻も弓兵と魔術師の一斉射撃で数を減らす。
梯子で登ってくるオークには重武装の歩兵がハルバードで首を刈り取る。
この数時間の戦いで帝国軍は1400程の死者をモイリーン側は420名の死者を出した。
夜になれば敵は撤退するためグース司令官は小規模による重装甲騎兵隊の夜襲を決行することにした。
その頃のメールニア帝国第1陸軍団司令部基地
「そうか、やはりあの程度攻撃では落ちんか。」
そう発言したのはメールニア帝国第2皇女カリーナ・アワン・リッテル・メールニアであった。
カリーナ皇女の周りにいるのはカリーナ皇女の側近であるモンテナ騎馬大隊長、アルリンナ飛竜大将そしてカリーナ皇女と同じ女性であるサファリナ補佐官である。
「はい、高さがありそう簡単に登りきるのは難しいです。ここはやはり大砲を使うべきでしょう。」
「そうだな、あの亜種族らもそろそろ限界だな。」
彼女らが今まで戦わせていたのは先の襲撃で手に入れた亜種族の奴隷兵士達であった。
彼らの反抗心を減らすために今回あえて激しい攻防が予想されるモイリーン砦に向かったのだ。
「となれば明日に備え整備を入念に・・・何事だ?」
外が騒がしくなり会話をやめた皇女は外にいる兵士に聞いた。
「は! どうやら敵騎馬隊による夜襲をうけているそうです。」
「夜襲か・・・ちょうど良い私が相手をしよう。」
「は・・・え?」
混乱する兵士を皇女は無視し鎧を装備し馬に乗り前線に向かった。
その後ろにはモンテナ騎馬大隊長率いる近衛騎馬隊40騎か追従していた。
「殿下。また暴れるのですか?」
モンテナの呆れたような声に対してカリーナ皇女は笑う。
「ふ、久しぶりの騎馬戦だぞ?軍人としてこれに参加しない手はないだろう。」
そう話していると前に未だに戦っている敵を発見した。
「ほう、やっているな。亜種族とはいえ味方一方的に攻撃されているのを見るのは気にくわないな。」
そう言うやいなやカリーナ皇女は腰に着けていた前装式の銃を取り出し発砲した。100メートル先のしかも夜間に放たれた弾は騎兵の胸にあたり倒れた。
「お見事!」
カリーナ皇女の見事な腕を見て近衛騎馬隊らも我先にと発砲をした。
カリーナ皇女らの突然の反撃にモイリーン砦の騎馬隊らは驚き一方的に攻撃を受けることになった。
だが一部の兵士がカリーナ皇女の元までたどり着きハルバードをカリーナ皇女に振り回した。
「カリーナ皇女覚悟しろぉ!!」
だがカリーナ皇女はすぐさま馬の装備に着けていたレイピアで防御した。
「バカな!?」
鍛えぬかれた男性のしかもハルバードの攻撃を弾かれ兵士はただ驚くしかなかった。
すかさず次の攻撃をしようとしたが皇女はその機会を与えなかった。レイピアの細い剣先で鎧の隙間の首筋に突き刺さったからだ。
「お見事です。殿下!」
モンテナからの言葉に気にも止めない皇女は興味が無さそうに命令した。
「興ざめだ、待機している近衛兵達に攻撃命令を出せ。1人も逃がすな。」
「は!」
そう言うやいなやカリーナ皇女は自分の天幕のほうへ戻った。
その数時間後モイリーン砦に誰も帰還してこなかったことからグースは全滅したと判断し予想以上の強さに戦慄した。
戦闘シーンが予想以上に難しく驚いている作者です。
いやぁーこんなに難しいんですね!
自衛隊のシーンうまく書けるかなぁ
あと次回はもっと多く戦闘シーンを書くのでお待ち下さい。自衛隊も次から登場しますよ。
あと国名だけじゃなく人物名も募集しています。
なんか考えるの面倒だなぁーておもいまして
すいませんがご協力ください!