第9話 ガッパギア皇宮戦
結構長くなってしまいました。
第9話 ガッパギア皇宮戦
メールニア帝国 南部都市 バーミニア
この都市ではモイリーン砦にいるカリーナ皇女率いる陸軍の増援部隊として予備軍である地方から徴兵されていた兵士達が多く待機していた。
彼らは先ほどまで長時間に渡って蒸気機関列車に乗って運ばれていたために少し疲労ぎみであった。
「やぁっと着いたよ。」
蒸気機関車に乗っていた若い兵士の1人がそう呟く。その言葉に彼の友達である他の兵士達が反応する。
「あぁまったくだな。本当に長かったよ・・・」
「はぁーしかしまさか俺達まで連れてくる必要なんてあったのか?確かに今回は複数の国を相手にするんだから分かるが前線にいる奴らだけで十分だろ?」
「確かになぁ上官らの噂じゃあ俺達は別のニホンという国に上陸するために呼ばれたって話だ。だからっていくらなんでも多すぎる気がするが。」
その通りだ今この都市にいる兵士達は皆日本に上陸するために動員された兵士達だった。その数は約15万に及ぶ。
だがカリーナ皇女らの敗北によって急遽モイリーン砦に向かわせるために予定を前倒しでこの都市まで運ばれてきていた。だが彼らはそれを知らされていないため少なからずの不満があった。
バードン共和国 モイリーン砦
場所は変わりここはモイリーン砦の指令室である。元はこの砦の司令官であるグースの私室であった。
この部屋にはカリーナ皇女にその側近そして各軍団の将軍に参謀、補給物資管理の責任者もいた。
「黒龍らの偵察によるとバードン共和国軍はここより南に40キロ程先の都市で確認しました。数はおおよそですが20万で恐らく更に増援として各国からの軍も来るでしょう。最低でも30万はいるはずです。」
「そうか、ニホン軍らしき者は確認出来なかったのか?」
アルリンナ飛竜大将からの報告にカリーナ皇女は一番気になっていた事を聞いた。
「ニホン軍についてですが・・・それらしき者は確認出来なかったそうです。ただそこより先は確認出来ないので彼らより奥に待機してる可能性も考えられます。」
「ふーむだがそんな距離から攻撃など出来るのか?そもそも奴等がどうやって攻撃したのか確認出来なかったのだろう?」
そう発言したのは第2陸軍団の将軍であった。
「はい。恥ずかしながら我々は一切確認出来ずに敗北しました。
未だに謎が多いですがここから移動するわけにも行きませんので援軍が来るまでは考えても仕方ないです。あの攻撃に備え兵士たちにはなるべく常に散らばって被害の軽減に専念するしか出来ません。」
「確かにそうだが・・・何も出来んというのは歯がゆいな。」
その言葉に他の将軍らも頷く。この戦いに胸を踊らせていたのに現実の厳しさに憤りを感じている者もいた。
「将軍らの考えは分かるが今は目の前の敵に集中せねばならん。奴等が援軍も連れて戻ってくれば我々の倍する数になる。それに備えねばならん。幸い奴等程度ならば倍でも撃退できるがこうなってはより念密に備えるぞ。」
「「「「「はっ!」」」」」
カリーナ皇女の言葉に彼らは一斉に返事をする。
来るべき戦闘に備えるのだった。
その頃の陸上自衛隊は2個旅団である4000名を連れてモイリーン砦から大きく迂回する形で帝都に向かっていた。彼らは機械化兵であるために迅速な展開が可能なため帝都占領部隊の後詰として選ばれていた。
残りの2万は南に50キロ程離れてメールニア陸軍が動き出した時に備えていた。
しかし動きが速いとしても哨戒中の黒龍らに見つかるだろうと予想しているため急いでいた。
メールニア帝国上空4000メートル 「隼」
また場所は変わりここは航空自衛隊所属の大型輸送オスプレイである「隼」10機とその攻撃型オスプレイ「雷鳥」30機が飛行していた。
「隼」の内部は大きく空いておりそこに4列の席がつけられており皆その席に座って立って作戦の説明をしている指揮官に注目していた。
「いいか!まもなく敵首都に到着する。我々の任務はその帝都にいる皇帝またはそれに準ずる皇族や高官らの身柄を確保することだ!我々の失敗はこの戦争の長期化を意味する!だからお前ら気合いをいれていけ!」
「「「「「「了解っ!」」」」」」
その言葉に乗っていた特殊作戦群である隊員らは一斉に返事をした。それはまるで猛獣らが雄叫びを挙げているようだった。
「隼」のうち2機は特殊作戦群である180名がそして残りの8機の720名からなる陸上自衛隊の総勢900名が帝都にいる皇帝らを確保するために準備をしていた。
「帝都を目視で確認しました!あと2分で降下します!」
パイロットが指揮官にそう伝える。
「聞いたなお前ら!?ほら立て立て!!」
指揮官がそう命令すると隊員らは一斉に達は武器の最後の確認をしていた。
その頃の帝都は混乱の真っ只中にあった。いきなり南方から轟音を放つ謎の飛行物体が現れたのだから。
「な、なんだありゃ!?」
露天を開いていた男がそう叫ぶ。
「新種のドラゴンか!?大変だぁ!逃げろぉ!!」
大通りを歩いていた若者が叫ぶとそれを聞いた者達が一斉に走って逃げる。
「うわあぁぁぁぁー!!」「本当に何なんだあれは!?」「何体もいるぞ!」「竜騎手たちは何をやってんだ!?早く何とかしてくれよ!?」
その頃の帝都で哨戒していた黒龍騎手らは困惑しながらも帝都に侵入してくる「隼」らに向かう。
「何なんだあれは・・・」「関係ない!被害が出る前に倒すぞ!」
そう言って突撃をするがそれに立ちはだかる「雷鳥」が先に攻撃をした。
「雷鳥」の放った対空ミサイルが黒龍らに当たりそれに狙われなかった黒龍らは30ミリ機関砲によって肉片となった。
ドガアァァァーン!! ババババババッ!!
「なっ何なんだあれは!?攻撃なのか!?だとしたらなんて威力だ!」
そう叫んだ黒龍騎手はその後すぐに30ミリ機関砲によって死亡する。
また、「雷鳥」は帝都に存在する軍事基地も対地ミサイルで爆撃をする。
敵航空戦力の壊滅した今、今度は「隼」が帝都の中庭に降り立ち後ろのハッチを開け隊員らが突入する。
「よし!行け行け行け!」
中庭には6機の「隼」がそれ以外は各皇宮の城壁や塔にハッチを下ろし突入した。
皇宮内は大混乱だった。いきなり正体不明の兵士達が入り込んでいき、それに対応する近衛兵らが走り回っていた。
「きゃぁぁぁぁー!」「一体何者なのだ!?奴らは!?」「そこをどけっ!お前ら!」
逃げるメイドやたまたま来ていた貴族らと近衛兵らが入り雑じる状況になっていた。
混乱の中、皇宮のとある一室では女性から構成されたある女性騎士達が急いで準備をしていた。彼女らはカリーナ皇女の元で鍛えられている貴族令嬢達である薔薇騎士団であった。
カリーナ皇女が軍人として名を挙げて以降、帝国内では女性でも戦いたいと志願する女性達が続出していた。
平民らでもそうなっているため貴族らも例外なく続出した。カリーナ皇女はそんな彼女らを自身の部下として鍛え帝国に誇る軍隊を創ろうと考えた。
そのため貴族令嬢らのなかでは薔薇騎士団に入り戦果を出すことは一種のステータスや憧れになっていたため志願者は驚く程いた。
そんな彼女らがなぜここにいるのかというと軍上層部らは流石に貴族の令嬢らを前線に出すのは多数の貴族らの反対が出るため儀杖兵としてや皇宮の警備兵として扱っているのだ。
彼女らも不満はあったが家からの反対や皇帝からの忠告で仕方なく我慢していた。だが今回この帝都に襲撃を受けているため彼女らの戦意は高かった。
「ついにこの時がきましたわね!」「ええ、とうとうわたくし達が活躍する時が!」
「落ち着きなさい。確かに初めての実戦で気持ちが高まるのは分かるけど、危険な状況だということは忘れないで。」
そう騎士達に注意を言ったのはこの薔薇騎士団の副隊長であるメリアナ・ルウィーズ・ファラン・クリスタであった。彼女はメールニア帝国の侯爵令嬢でカリーナ皇女の信頼厚い側近であった。
「私たちの仕事は皇帝陛下及び皇族の方々に害する者達の断罪よ。決して手柄のためではないわ。」
その言葉に令嬢達は気を引き締める。騎士としての誇りを胸に命を掛けて戦うことを誓ったのだった。
「準備をいい?ではいきますわよ!」
「「「「「はい!」」」」」
薔薇騎士団達は自衛隊の迎撃に向かうのだった。
皇宮中央廊下
「どけどけどけぇ!!邪魔だぁ!ケガしたくなかったら脇にそれろ!」
メイドや使用人らが逃げ惑う中を特殊作戦群らは声を挙げながら走っていた。
「しかしっ!随分広いですね!」
隊員の1人がそう言う。
「まったくだ!こんなに広いと探すのに時間が掛かるぞ。糞が!」
そう話していると前から40人程のマスケット銃を持った近衛兵が見えた。
「敵だあぁ!走りながらでいい!狙い打て!」
本来なら一旦止まって発砲したいが少しでも時間を節約したいため走りながらで発砲する。
ズドドドドドッ!!
その後近衛兵らは物言わぬ死体となった。
「よしっ!急ぐぞ!」
皇宮東棟廊下
「糞ぉ!数が多すぎるぞ!」
ここの突撃部隊らは運悪く近衛兵の詰所付近に降りたため足止めをくらっていた。
また、死角からの襲撃により既に12名が戦死していた。
「喋っている暇があるならさっさと撃て!ほら次は右の廊下だ!数は20!」
そう言い右の廊下から来る近衛兵達に照準を向ける。
ズドドドドドッ!!
「今の内に進むぞ!」
皇宮西棟廊下
「ふーまさかこんなにすぐに第2目標を確保できるとはな・・・」
西側に降りた突撃部隊達はたまたま近くで隠れていた軍の高官及び大貴族らを確保していた。
「お、お前達は一体何者なんだ?」
軍の高官の1人が自衛隊な隊員に聞く。
「我々か?日本国と聞けば分かるか?」
「ニホン国・・・まさかあの国だとは。行動が速すぎる。」
隊員の言葉に彼ら驚いた表情になった。
「さてお前達はこいつらを拘束して「隼」に載せろ。我々は他の部隊の援護に向かう。」
「了解」
隊員は別れ拘束する者と奥に進む者達に別れた。
皇宮中央大廊下
皇宮中央をあらかた探索した彼らはついに奥にある大廊下まで近付いていた。
隊員の1人が大廊下に着いたと同時に
「っ!?伏せろぉ!」「うわぁっと!?」
隊員の1人が先行していた仲間の背中を押して転ばしたその直後に破裂音が聞こえた。
パパパパパパンッ!!!
奥には煙が見え、明らかにマスケット銃の発砲した後だった。
「大丈夫か!?」「あ、あぁお陰でなんとかな・・・助かったありがとう。」
「おい!?大丈夫か?」
後ろから本隊が追い付いてきた。
「はい、なんとか無事です。しかし・・・」
「待ち伏せか。」
隊長がそう予想する。
「はい。しかも見た感じですが・・・」
部下の反応に違和感を覚えた隊長は鏡を使い向こうの大廊下を見てみると目を見開いた。
「女?それもあんなにたくさん・・・」
「この世界では女性でもこの時代から兵士になれるんですかねぇ?ジャンヌダルクみたいに。」
部下からの言葉に隊長は静かにさせるがどうするか悩む。
見た感じ彼女らは机や椅子をバリゲート代わりにし陣形も4列に並び連続で放てるようになっていた。
「あれでは簡単には突破できないでしょうね。」
「あぁ・・・これはあれを使うか。全員にマスクを装着させろ。」
「了解」
隊長は部下達にガスマスクを装着させ自身も装着する。彼が言っていた「あれ」とは所謂催涙ガスである。
敵の抵抗が激しいと思われる部屋には催涙ガスか手榴弾で黙らせるがあの広さでは手榴弾は限定的であるため催涙ガスで黙らせることにする。
「準備は出来たか?」
「はい、いつでも撃てます。」
「よし、ではやれ。」
そう言うと部下は小銃に取り付けた催涙弾を女性達に向けて発砲した。
薔薇騎士団達は最初侵入者は一斉射撃で怖じ気づいたと思ったがいきなり何かが飛んできて何なのか分からずつい、目で追ってしまった。
「ん?なんなのですの?これは?」
その直後その物体から煙が吹き出てきて騎士団は混乱した。
「きゃあぁぁぁぁー!!目が目が!!」
「ゲホッ!ゲホッ!ゲホッ!息が苦しい・・・!」
「誰か助けて!!」
「よし拘束して次に進むぞぉ!」
隊員達はガスマスクを装着し悶え苦しむ騎士達を捕縛する。
だがその中に催涙ガスに耐える女性がいた。
「ええええぃ!!」
その女性はメリアナ・ルウィーズ・クリスタであった。
彼女は涙を流しながら銃を放つ。
パアァンッ!
「うぉっ!危ねぇっ!」
隊員の1人が掠り驚いて声を出す。
「そこかぁ!!」
声がする方へ腰に着けていたレイピアを振り回す。
ガキーン!
隊長が警棒で弾き他の隊員が彼女をは羽交い締めにして拘束する。
「は、離しなさい!この無礼者め!」
その言葉に構わず拘束する。
数分後に全員の拘束が終わった後大廊下を走り、最奥の扉付近で待ち構えていた近衛兵達を倒し、その奥の謁見の間らしき部屋の椅子に座っていた男と近衛兵を発見する。
「目標らしき人物を発見!これより確保する!」
その直後近衛兵達が一斉に発砲をするが隊員達は壁に隠れまた催涙ガスを撒く。
「ぐあぁぁぁー!!なんだ!?これは!?」
「糞っ!卑怯な!?」
「陛下!御下がりください!!」
近衛兵達を警棒で無力化しその奥で咳を吐いていた男を拘束する。
「ゲホッ!ゲホッ!お前達は何者だ?うっ!」
質問を無視し隊員らは手錠をかけ首を締め気絶させる。その後、公安が手にいれた魔写真を見比べ報告する。
「隊長!本人で間違い無いかと」
「よしっ!すぐに連絡して撤収だ!あそこの壁を破壊して「隼」に場所を知らせろ!」
「了解!」
隊員らは持ってきていたプラスチック爆弾で壁を破壊し発煙筒を着火し「隼」に知らせる。
帝都上空「隼」パイロット
帝都上空で次々とやってくる黒龍らと交戦していた「隼」らは皇宮からの発煙筒に気付いた。
「見えた!発煙筒だ!回収するぞ!」
「了解!」
その後皇帝を確保した特殊作戦群らは「隼」のスピーカーで降伏を促し皇帝の声明で帝都の近衛兵らは降伏した。
別の場所に降りた隊員らも回収され、重要人物らを確保することに成功する。
しかし死角からの襲撃や魔術師らの魔法攻撃により34名が戦死した。
その3時間後に来た、陸上自衛隊2個旅団4000名が帝都に到着。そのまま占領した。
その後 魔信によって皇帝の降伏が告げられメールニア帝国軍は武装解除した。
ただしモイリーン砦のカリーナ皇女らは最初降伏を拒否したが陸上自衛隊の戦車や航空自衛隊の戦闘機の飛行姿を見て降伏を決意。
70万の兵士に囲まれる中、カリーナ皇女ら32万人は降伏の儀礼を行った。
ようやく終わったぁ!
多分明日あたりは投稿できないとおもいます。
さて、ここまでで何か不自然な所があればご指摘ください。
あとこういったのはちょっと変だから止めた方が良いと思った方もご指摘ください。
直すように努力致します。
誤字脱字報告ありがとうございました!




