第8話 メールニア海軍対海上自衛隊
ちょっと長いっすよ
すんませんね
第8話 メールニア海軍対海上自衛隊
エルミハナ大陸の西側に583隻もの戦列艦がアルシンダ王国に向けて進軍していた。
メールニア帝国海軍旗艦「オールドリア号」
この大艦隊の旗艦に乗っている海軍大将ゲルダ・フリード・ファンホードは船長室で側近達と作戦会議をしていた。
「そうか陸軍の方は既に始まったか。」
「はい。カリーナ皇女殿下率いる先鋒8万がバードン共和国のモイリーン砦に攻撃を開始したようです。」
「ふーむ、まさかあの暴れ姫がいきなり先鋒として戦うとはな。」
ファンボードの発言に側近達も苦笑いだった。
「えぇ。確かによく皇室が認めたものです。大方皇女殿下のごり押しで決まったのでしょうね。」
カリーナ皇女殿下は皇室の中でも1番の武道派として有名であり今から4年前の亜種族襲撃の際に名を挙げており、3000程の兵士で1つの地方に潜伏していた亜種族らを3ヶ月間で殆どを撃破しており、それ以降からカリーナ皇女は次代の大将軍候補として教育されてきた。
「まったく困ったものだ・・・さて我々は今回の作戦に集中しよう。このまま行けばあとどれ程で到着する?」
ファンボードの質問に航海士が答える。
「このまま順調に行けばあと2週間程で到着しますが、その前にアルシンダ王国海軍とぶつかり合うでしょう。」
「そうか、まぁ、暫くは平和が続きそうだな。我々が付いた頃に陸軍に占領しているのもありえるか?」
「その可能性もゼロではないでしょう。何せ今回は黒龍も動員されていますし、そうなれば恐らくニホン国に向かうでしょう。」
「ニホン国か・・・」
ファンボードがそう呟くが側近達はその様子に少し困惑する。
「いかがなされましたか?」
「いや、なにあの国は何やら巨大な船を造る技術に秀でているようだからな。苦戦するかも知れんと思ってな。」
その言葉に側近達は顔を見合わせる。あの名将が未開の国程度に苦戦するかもしれないということを発言したからだ。
「何を仰いますか閣下。連中はたったの1門程度の大砲しか造れない程度の国など閣下がそこまで悩まれることはありませんぞ。」
その言葉に他の側近達も頷く。
「うーむ、確かにそうかも知れんが・・・ニホンを倒した暁にはあの巨大船が我が国にも運用できるかも知れんからな。嫌でも意識してしまう。」
ファンボードは想像する、ニホンを倒した後に我が国がその技術を吸収し巨大船を指揮する姿を思い浮かべた。
「船だけではありませんぞ、情報局からではアルシンダ王国経由で手には入った高価な工芸品も我が国に入ると思うと興奮しますなぁ。」
その側近の言葉に他の者達も思い浮かべる。大陸を制覇しニホンも滅ぼせば自分達は英雄として凱旋する姿を思い浮かべ。
しかしそれも長くは続かなかった。外の方から轟音が聞こえたからだ。
「何の音だこれは?」
すると扉が開いた。開けた人物はエカンタ・ラウェン・モーゼス。この艦隊の副司令官であった。
側近達は一斉に敬礼をする。ファンボードにつぐ名将として知られている人物に対して敬意を評してだ。
「モーゼス 一体何の音なんだ?」
ファンボードがモーゼスに聞く。
「はい、閣下それが私にはうまく説明できないのです・・・」
彼らしからぬ困惑した表情にファンボードも非常事態だと判断する。
「ふむ、成る程直接見た方が良いということか。」
「はい、閣下直接ご覧になった方が速いかと。」
ファンボード達は席を立ち外に出た。
「何なんだあれは・・・?」
彼らが見た光景は上空に長く薄い板が高速で回っている見たことのない物体が飛んでおり、生物とは思えなかった。
「さぁ皆目検討も付きません。あれが生物なのかアルシンダ王国の者からなのか・・・」
するとその飛行物体から声が聞こえてきた。
「我々は海上自衛隊である!貴方達はアルシンダ王国の領海を侵犯している。直ちに引き返せ!さもなくば武力行為も辞さない!繰り返す!・・・」
「ニホン国・・・あれは奴らの物だったか。あれを撃ち落とせ!出来れば回収して調べてみたい。」
その命令に直ぐさま海兵達がマスコット銃や飛竜用の対空砲を上空に向けて発砲するが飛行物体は攻撃を受けたと判断するやいなや撤収をした。
「うーむ連中は我々の知らない技術を持っているようだな。なんとしてでも欲しくなってきたぞ。」
ファンボードはニホンの未知の技術に興奮をした。
その数時間後にはるか前方より船が見えたが帝国海軍らは困惑した。出てきたのは王国海軍ではなく灰色の巨大船であったからだ。
ファンボードらはあれがニホン国の船だと判断する。
「あれが連中の船か・・・確かにでかいがなぜあそこまで武装が少ないのだ?あれでは無駄過ぎるではないか。」
望遠鏡で見ていたファンボードは護衛艦を見ながらそう呟く。
「確かにあれは幾らなんでも少なすぎます。恐らくあれはガレオン船のように突進して攻撃するものだと思われます。」
モーゼスがそう考える。
「うむ、確かにそれなら脅威だなあれ程の大きさなら此方の戦列艦では部が悪い2方向に別れて迎撃するぞ!」
ファンボードの命令に各艦はすぐさま反応し艦隊が2つに割れた。
海上自衛隊 第2護衛大群旗艦「むさし」CIC
「敵艦隊が2つに割れました。敵はこのまま速度4で向かってきます。距離は約10です。」
この報告に大型イージス巡洋艦やまとの艦長の吉田清貴は命令する。
「そうか、では最初の命令どおり全艦は砲撃を開始しろ。」
「了解 発砲を開始します。」
第2護衛大群 合計10隻からなる護衛艦、ミサイル挺らが砲撃を開始した。
「やはり敵側には航空勢力は無いか。」
「はい。レーダーには反応がありませんのでミサイルの出番はないでしょう。」
メールニア帝国には飛竜を船に乗せる飛竜母が無いため海上自衛隊は安堵した。
その頃の帝国海軍らは護衛艦らが急に砲撃をしたことに困惑した。
「彼らは一体何をしているのだ?あんな距離から発砲して威嚇のつもりか?」
「さっぱり分かりません。幾らなんでも遠すぎます。我々ですらも300メートルだというのに。」
その直後前方にいた戦列艦10隻が轟音を立てて轟沈した。
「な!?バカな!あの距離から届くのか!?」
「これは・・・不味い!船を散開させるんだ!!」
だがそう言ってる間にも次々と沈んでゆく。
ドボオォォーン ドボオォォーン バシャアァー
もはや船が沈む音そして敵の砲弾が水に当たり弾ける音だけが響く。
「何なんだぁ!あれはぁ!?」「聞いていた話と違うぞぉ!?」「もう辞めてくれぇ!!」
前方にいる艦隊はもはや大混乱で戦意を喪失している海兵達が出てきていた。
「くそっ!まさかここまでの力あったとは!」
「閣下!危険ですお下がりください!!」
モーゼスがファンボードを室内に入れようと腕を引っ張る。がとうとう護衛艦の砲弾が旗艦に当たり轟沈する。
帝国海軍 戦列艦 副旗艦 「ヤーリウム号」
「船長!オールドリア号が!・・・」
航海士からの報告に副旗艦であるヤーリウム号の船長は決断をする。
「くそっ!こうなってはもはや駄目だ撤退だ!これではこの距離でこの被害ではもはや何も出来ん!急げ!」
船長はそう決断するが幾人かが反対する。
「船長!?未開の国相手に撤退をするなど皇帝陛下に何と言い逃れするつもりですか!?」
「では貴様はどうしろと言うのだ!?既に90隻は沈められているし旗艦はあのとおり沈んだ!大将の生存も絶望的だ!ならばここは撤退し戦力の回復のために戻るべきであろう!」
そう船長は言うが時既に遅し護衛艦「いせ」の砲撃により副旗艦も轟沈された。
この海戦でメールニア海軍は553隻を失い残りの30隻は降伏した。この戦いでメールニア海軍は22万人の死者を出し、捕虜は1万という大損害を出した。
そして東側にいた約200隻の海軍も海上自衛隊の第4護衛大群ら八隻によって全てが沈められた。
このまさかの結果にエルミハナ大陸だけでなく他の近隣大陸も衝撃を受けた。
この海戦で護衛艦に乗っていたアルシンダ王国、バードン共和国、メルニア王国、モルスブンテ連合王国らの観戦武官はあまりの一方的な戦闘に戦慄していた。
「ま、まさかここまで一方的になるとは・・・」
そう言ったのはバードン共和国の武官だった。
「そこらの大砲よりも大きいとはいえあそこまでの射程距離とはいやはや恐れ入った。一体あの大砲の中身はどうなっているのかとても気になりますな。」
「確かに戦闘能力も驚きだが私はこの居住性の方が驚きです。」
「確かに揺れない構造といい、食事の質の高さそして魔法ではないこの室内の光・・・一体どれ程の金を掛けているのか。」
彼らは今回の海戦をありのままに本国に伝え一刻も速いニホンとの同盟締結を願うのだった。
メールニア帝国 帝都ガッパギア
この都市の最重要建造物である皇宮の会議室では荒れていた。
「負けただとぉ!?」
そう発言したのは財務局局長であった。
彼の怒りを向けられた軍務局局長はただそれに我慢することしか出きなかった。
「ま、まさか陸だけでなく海軍のそれも主力中の主力が負けるなどあってはならぬことだぞ!?一体どれ程の予算をそちらに割り当てたか分かっているのか!?」
「はい、存じております。ですので現在は海軍は本土防衛にそして陸軍は放棄されたモイリーン砦を占領後そこで待機し黒龍による地上攻撃でバードン共和国らを疲弊させる予定です。」
「それでは一体何年掛かるのか・・・」
「しかし、これは我々軍務局だけの責任ではありません。ニホン国と接触した外務局、そしてとるに足らない戦力だと油断した情報局にも非はありますぞ。」
この発言に外務局局長と情報局局長は苦虫を噛み潰したような顔になった。
するとここでメールニア帝国第14代皇帝メールニア・リアン・リッテル・ビンフォンが発言をする。
「ここで言い争っても無意味だ。カリーナにはそのままモイリーン砦で待機させすぐに徴兵を行え。敵はニホンだ。奴らをなんとしても倒し、国民は全て奴隷にする。我が国の威厳を取り戻すにはもはやそれしか無い。」
「「「「畏まりました陛下。」」」」
皇帝の命令によりすぐさま徴兵の準備が進められるが既に自衛隊は隼らを使い皇帝の捕縛に向かっていることにまだ気づいていない。
モイリーン砦
ここには放棄された砦を占領し待機していたカリーナ皇女率いる第1陸軍団の主力と第2第3第4陸軍団総勢32万人が待機していた。
「・・・まさか海軍でもしかもあのファンボードが戦死するなどっ」
カリーナ皇女は自身が尊敬していた名将の死に悲しんでいた。そして今自分は何も出来ないことに憤りを感じていた。
「あの時の攻撃はニホンによるものらしいな。」
カリーナ皇女の質問にサファリナ補佐官が答える。
「はい。世界情報通信会社の発表によるとニホン国の軍隊がメールニア帝国陸軍を攻撃しこれを撃破したとアルシンダ王国が伝えたようです。」
世界情報通信会社はメールニア帝国の敗北にアルシンダ王国支部に調べさせたところ、アルシンダ王国外務局がニホンの攻撃により撃退したと発表しており、この情報は世界中に知らされた。
「ニホンか一体どんな国だというのか・・・なぜ今まで無名だったのだ。」
カリーナ皇女の呟きにだれも答えれずに黙るだけだった。
オーマ島
場所は変わりここはオーマバス神聖教皇国が支配するオーマ島というドイツとフランスを合わせたほどの広さを持つ列強国であった。
教皇国 首都 シンメネリア
ここはオーマバス神聖教皇国の首都であり教皇の直轄都市でもある巨大都市だ。
街には電線が張られ、数は少ないが原始的な車が走っておりエルミハナ大陸よりも発展していた。
人口は500万人を誇る大都市でありこの都市の中心部オーマバス大聖堂では世界情報通信会社が発表した新聞紙を広げた状態で見つめている者達がいた。
彼らはこの世界に8ヶ国しかいない列強国のオーマバス神聖教皇国行政部のトップであり彼らの決定が教皇国の方針になる。
「これは由々しきことだ。まさかメールニアがあそこまでの惨敗をするとは」
そう発言したのは財務大臣であり教皇国の経済を管理している人物だ。
「まったくです。これでは世界会議での予定を変更するしかないでしょう。」
外務大臣がそう発言する。
「・・・しかし日本国とは聞いた事がない。一体どれだけの国力を持つのか?」
教育大臣が聞く。
「この新聞によれば鉄の飛竜と船を持ち遠距離から攻撃したとか・・・これだけで我々と同等の力を持つでしょう。」
軍務大臣の言葉にこの場にいる者達は困惑する。
まさかあの辺境の大陸にそんな技術を持つ国があるとは思わなかったからだ。
「うーむそれは脅威だ。せっかく多額の予算を使ってまであの国に資金援助をしたというのにこのままでは無視できない勢力に成長するぞ。」
「全く通りです。あの国にはしかるべき対応をとるべきです。」
「お待ち下さい、万全を期すために他の列強国にも応援を要請するのはどうでしょうか?メールニアの二の舞は御免です。」
そう提案したのは植民管理大臣であった。
オーマバス神聖教皇国は列強国らとは積極的な外交活動や貿易をしておりそのため他の列強国らとは仲が良いためこの提案をしたのである。
「む、確かにそれがいいな。友好国にも話をし、共同で対応するべきか・・・」
その言葉に今まで黙っていた教皇が発言する。
「皆さんの考えはよく分かりました。では日本国に対しては我が国と同じ列強国であるレムリア連邦らと共同戦線をはれるか打診してください。我が国の血税を無駄にした日本国にはそれ相応の罰を」
その言葉に大臣達は頷き行動に出たのだった。
某所 世界情報通信会社本部
ここのとある部署では多くの関係者達がいた。彼らはメールニア帝国を撃退した日本国に対しての調査をしていた。
「日本に対する情報はこれだけか!?」「そちらにまだ纏めた物があります!」「おい!これは何処からの情報なんだ!管理を怠るなぁ!」「列強国からもっと詳しい情報はないのかと問い合わせが来てます!」
突然の衝撃情報に彼らは混乱していた。
その後の会議でアルシンダ王国支部に日本の情報を集める命令が下された。
日本の情報収集のために魔動式テレビカメラも持っていくことも決定される。
はい!
オーマバス神聖教皇国の詳しいスペックについてはまた次の奴で説明します!
あとレムリア連邦の国名もアドバイスにより決定しました。
鳩様ありがとうございます!!
不自然なところがあればドシドシご指摘ください。
あとご指摘にあった自衛隊の海外派遣能力については自衛隊の兵力拡大しさらに中国との紛争の影響で海外派遣を史実より得意になった設定にします。
自衛隊の数は何万にするか・・・80万か?いやでもなぁ難しいですね笑
それと明日から平日になるので投稿スペースは下がると思うのでご了承くださいませ




