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私の家族。 聖女の娘 マキナ8歳。

番外編です。

息抜きに書いてみました。




「こらマキナ!貴女はまた治癒魔法の練習をサボって!」


「しまった!」


教会を抜け出し、治癒魔法の練習をすっぽかして剣の稽古をつけて貰っていたらお母さんの雷が落ちた。


「マキナ、あんたマリア様に黙って来たのかい?」


「んな事だろうと思ったよ」


一緒に剣術の稽古していたローラさんの息子、腹違いのハリス兄さんが呆れた顔で笑った。


「だって...」


『治癒魔法の練習は剣術程面白くないもん』

そう言いたいけど、言ったら大変な事になるのが分かってるから言わない。


「全く、貴女は(聖女)の娘なのよ?

人々を癒し、世界に安寧と平和をもたらすのが役目なの。

分かってる?」


お母さんは腰に手をやり、ため息を吐く。

もう何千いや何万回聞いたか。


「マキナ分かってる?」


「はい」


ここは大人しくしておこう。


「まあマリア様、マキナも分かったみたいだし、ね?」


ローラさんの助け舟。ありがとう!


「ほら、今日はお父さんが帰ってくるんだから早く帰って準備なさい」


「はーい!」


そうか、お父さんが帰って来るんだ。

通りで小言が少ないと思った。


「それじゃ私達も終わろうか」


「うん、俺お父さんに作った剣を見て貰うんだ!」


ハリスは嬉しそうな顔で鍛冶屋を営む自宅に駆け出す。

ローラさんから剣士としての手解きを受けているけど本当はお父さんみたいな立派な鍛冶屋になりたいんだね。


私は教会に併設された自宅で汗を流し、服を着替える。

ヒラヒラの装飾が着いたドレス。

あんまり好みじゃない、身軽なシャツとズボンの方が良い。


「準備出来た?」


髪を櫛で()かしていると先に仕度が終わったお母さんが顔を覗かせる。

正教会の代表で聖女のお母さんだけど自宅に召し使いは居ない。


教会には数人の見習いが住み込みで居る、けど決して私達の自宅には来ないのだ。

お母さんの希望、家族だけで過ごしたいんだって。


「ほら髪が跳ねてる、貸しなさい」


お母さんは私の腰まである髪を丁寧に梳かす。

面倒くさいから肩の辺りで切りたいんだけど。


「綺麗にしないと運命の人に巡り会った時後悔するわよ」


お母さんはいつもの口癖を言う。

そんな人居るもんか。


「マキナ、信じてないの?」


「ううん、信じてるよ」


慌てて返事をする。

優しいお母さんだけど愛や運命にはうるさいんだよ。


「全く貴女は...はい良いわよ」


「ありがとう」


ようやく髪のセットが終わり解放された私は椅子を降り自宅から駆け出す。

また小言を聞かされたら堪らない。


「こんばんは!」


教会から程近いお屋敷、ここは町長のクリスおばさ...クリス様の家。

この町の町長にして今も勇者なんだ。


「いらっしゃいマキナ」


「こんばんはハンナさん」


扉が開くと中から現れたのはハンナさん。

この町でローラさんと一緒にお父さんの鍛冶屋を手伝いながら町長代理もしている世界一の大魔術師なんだ。


「マキナ遅い!」


「ごめんなさいハーミラ姉さん」


ハンナさんの後ろからハーミラ姉さんが顔を出す。

ハンナさんの娘で、腹違いの優しい姉さんなんだけど私は少し苦手だ。


「お姉様でしょ?

ローラ様とハリス兄様は先に待ってるわよ」


「はい、お姉様!お待たせして申し訳ありません」


「宜しい」


ね、礼儀に五月蝿いんだ。

たった1ヶ月早く産まれただけなのに。


「どうしたの?」


「なんでも」


しかも勘が鋭い。

更に魔法も私より遥かに上手いし...


「お母様、お父様まだかしら?」


「もうそろそろよ」


「楽しみ!

料理喜んでくれるかな?ドレス誉めてくれる?」


「大丈夫、お父様はハーミラの料理が大好きよ。

ドレスも上手く出来てるわ」


ハーミラ姉さんの女子力の高さは凄まじい。

その対象はお父さんのみに捧げられている。

相当のファザコンだね。


「俺もこの剣見て貰うんだ、で鍛冶を教わるんだぜ」


「あらハリス、私がお父様は先約よ?」


「分かってるよハーミラ」


ハリス兄さんは諦めた顔でハーミラ姉さんを見る。

お父さんの独占欲も姉弟一だ。


「何マキナ?」


「いいえなんでも」


心を見透かす目で私を見ないで。


「その位にしなさいハーミラ」


「はいお母様」


良かった、ハンナさんありがとう。


「さすがのマキナもハーミラには形無しね」


「そうかしら?」


お母さんとハンナさんは楽しそう。

でもその通りだよ、ハーミラ姉さんには敵わない。


「あ、帰ってきた!」


「本当!」


輝く魔方陣、中から現れたのはお父さんとクリスおばさん、そしてアリスちゃん。

私の妹、腹違いで4ヶ月違いだけどね。


「ただいま、変わりなかった?」


「ただいまみんな」


「た、ただいま」


クリスさんとお父さん、そして少し怯えた様子のアリス。

内気な子なのよ、でも戦闘センスは勇者のクリスさん譲り、私より強い。



...ん?

私剣術じゃハリス兄さんに敵わないし、魔法じゃハーミラ姉さんに敵わない。

で、戦いじゃアリスに敵わないって...


自信を失っちゃった。


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― 新着の感想 ―
[一言] ハースは毎回どこ行ってんの?
[一言] 関連作とのリンクも分かったんで、マリア(聖女)の正統後継はマリア(下手すりゃあ祖母を超える逸材かも)ですかね。 母方祖母・魔王討伐の英雄と全世界に称えられる聖女(新教会の開祖)。母・トンデモ…
[気になる点] 愛の力(聖女)に目覚めた誇りなのか、 聖女という『役職』に縛られて苦労したはずのマリアが 娘に聖女である事を押し付けてるように見える?
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