9話:幼馴染の相談
俺は現在、夏姫と一緒に下校していた。
こうやって一緒に帰るのは小学校以来だろう。
無言の間が続く。こういう時は何を話したらいいか、俺には分からない。
この気まずい空気が嫌だった俺は、口を開いた。
「……こうやって一緒に帰るのは小学校以来だったか?」
俺の言葉に夏姫は答える。
「うん。そうだね。あの時はよく一緒に遊んでたよね」
「ああ、馬鹿な事をしていたよな。よくウチのお母さんとかに怒られていたな」
「ははっ、そんなこともあったね」
夏姫は苦笑いでそう返してきた。
その表情から、夏姫は何かに悩んでいるような感じがした。
すると夏姫が口を開き、俺に聞いてくる。
「蒼太。話を聞いてもらう場所なんだけど、その、私の家でもいい、かな?」
突然の発言に、俺は「えっ」という言葉と同時、足を止めて隣を歩く夏姫を見やった。
夏姫も同じくこちらを見ており、視線が交わう。
「その、ダメ、かな……?」
上目遣いでこちらを見る夏姫に、俺は思わずドキッとしてしまう。
そんな風に言われたら断ることは出来ないだろう。
「大丈夫だよ」
「本当?」
「ああ」
夏姫は「ありがとう」と返し、嬉しそうにして先を歩いて行った。
しばらくして夏姫の家の前に着いた。
「さあ、入って」
「お、お邪魔します」
久しぶりだからか、あるいは小学校以来だからなのかわからない。ただ、俺はとてつもなく緊張している。
そんな俺の緊張具合が見て取れたのか、夏姫が可笑しそうに笑いながら口を開いた。
「なんでそんなに緊張しているの?」
「だって……」
小学校時代の夏姫は、ガキ大将のような人だったために良く遊んでいたのだが、今の夏姫はとても可愛らしくなっているのだ。緊張してしまうのも無理はない。
「小学校以来だ。緊張するに決まってるよ」
「はははっ。懐かしいね。もう、いいから入って入って~」
「あ、うん」
戸惑いながらも返事を返した俺は、夏姫の後に着いて行き二階へと上がる。
二階を上がった先には、可愛らしい字で『なつきのおへや』と書かれ、扉にぶら下がっていた。
「私の部屋で待ってて。これから飲み物持ってくるから」
そう言って夏姫は俺を部屋へと招き入れてくれた。部屋の中は小学校の時とは大分違い、可愛らしい年相応の部屋となっていた。部屋の端に積まれているぬいぐるみが特徴的な部屋だ。
「……え? あ、うん」
部屋の中に入ると、良い香りが鼻腔をくすぶる。
ボケっと立っていると、何やら視線を感じを振り返ると。
「変なことしないでよ……? それと勝手に触ったり漁ったりしないでよ?」
「しないからな!?」
「……ならいんだけど」
そう言って夏姫は飲み物を取りに下へと下りて行った。部屋に一人残された俺は、改めて部屋の中をぐるぐると見渡していた。
何もないと分かっていながらも、少しドキドキしてしまう。
見渡していると、何かの写真が飾っているのが見えた。
立ち上がって確認すると、その写真は小学校の運動会の時に、俺と夏姫が一緒に撮ったものであった。
その時、ガチャっと音がして部屋の扉が開き、写真を手に持つ俺と目が合った。
「ねえ、なに、してるの……?」
夏姫の俺を見る目が酷く冷たい。
「懐かしい写真を飾ってるなと思って」
テーブルに飲み物を置いた夏姫は、俺にゆっくりと近づき――バッと手に持つ写真を奪い取った。夏姫は頬を赤く染め、俺をジッと睨んだ。
「べ、別にいいでしょ。私にとっては大切な写真なの!」
「う、うん。なんかごめん。勝手に見ちゃって」
「別に怒ってないし。それよりも話、聞いてくれるんでしょ?」
そうだ。今回来たのは話を聞くためだった。
一度夏姫の好感度を確認すると、65%から62%と、3%だけ落ちていた。
こればっかりは俺のせいだ。今度からは勝手な事をしないと胸に刻んでおく。
座った俺に、夏姫は話し始めた。
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『学校一美少女の聖女様が実は泣き虫だった件』
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