7話:クラス委員長の観察
教室に入り席に着く。斜め前に座る四ノ宮を見た。
一人でじっと、周りと話すことなく静かに読書をしている。好感度を確認するも、依然として25%から変化はない。
話しかけようにも、高い確率で好感度が下がるのだ。いわゆる、ギャルゲーで言うところの、攻略が難しいキャラなのである。
そう思っていたらホームルームのチャイムが鳴ってしまった。あとは授業中にでも考えるとしよう。
それからホームルームが終わり、一限の授業が始まった。
教科は数学。この時間は四ノ宮の観察をしてみようと思う。
「――という方程式となる。そうだな。じゃあこの問題を……水瀬、解いてみろ」
この状況で俺に質問が来てしまった。つい先程まで、四ノ宮をどうしたら好感度を落とさずに話せるか、というのを考えていたのだ。
急いで立ち上がる。
「え、えっとー……」
話を聞いていなかった、と言ったら怒られることは確実。どう答えるべきかと悩んでいると……
「蒼太」
小声で俺の名前を呼ばれ、聞こえた方をチラリと横を見ると、隣の席に座る夏姫がノートを横にずらしこちらに見せていた。
ノートには、「これが答えだよ↓」と書いてあった。
「どうした水瀬? わからないのか?」
「あ、いえ。x=2,y=-1です」
「正解だ。座っていいぞ」
席に着いた俺は安堵する。答えを教えてくれた夏姫にお礼をする。
「すまん、助かった」
「いいよ別に。それよりもどうしたの? ボーっとしちゃって」
小声で顔を近づけ聞いてくる夏姫に、俺は同じように小声で返した。
「いや、眠かっただけだよ……」
「そうなの?」
「ああ。すまん、心配かけた」
「大丈夫だよ。どうせゲームで徹夜とかしてたんでしょ?」
「そ、そうなんだ」
「しっかり寝なさいよね」
「そうするよ夏姫」
本当のことは言えないのでそう答えるしかない。
それから夏姫の視線をチラチラと感じながらも、授業は進み終わりを告げた。
夏姫は俺に一体なんの用があるのだろうか? まあいっか……
俺は気にするのを止め、次の授業の準備を始めた。その間も夏姫からの視線を感じたままである。
「蒼太、今大丈夫?」
声をかけてきたのは、先程から視線を向けてきていた夏姫であった。
「ん? どうした夏姫?」
「その、あのね蒼太……」
少し股を擦らせながらモジモジとする夏姫の姿は、少し可愛らしく見えた。
周りの男子達から「チッ」という舌打ちと音と共に、視線が向けられる。
おいおい、夏姫とは幼馴染だっていうのに……そんな目で俺を見るなって。
そう思ってしまうのも仕方のない事だ。俺はそう割り切った。
「学校終わったあとちょっといいかな?」
「終わった後?」
「そう。少し相談がしたくて……」
「大丈夫だよ」
「ありがとう!」
夏姫は友達の下へと戻って行ってしまった。友達との話し声が聞こえてくる。
「夏姫。水瀬とは幼馴染なんだっけ?」
「そうそう! 気になっていたんだ!」
「蒼太とは小さい頃から一緒でね。家も近いから良く遊んでいたんだよ」
「へぇ~……」
「それで――」
その友達は夏姫に耳打ちする。
瞬間、夏姫の頬は赤く染めあがった。
何を言ったのだろう?
「な、何言っているの! べ、別にそんなじゃ……」
「赤くしちゃって~」
「だ、だからそんなんじゃ……!」
「まあまあ」
「そう言うことにしておくよ」
「う、うぅ~……」
夏姫は赤い顔を俯かせてしまった。
そこに始業のチャイムが鳴り授業が始まった。俺と目が合った夏姫は、サッと目を逸らしてしまった。
それから四ノ宮とは発展が無いかと思われたが、昼休みになり俺は昼食を食べようと屋上に来ていた。
日差しと、春の温かな風が心地よい。
「風が気持ちいいな……さて、弁当でも食べ――」
そこで気が付いた。屋上には俺だけと思っていた。だが、そこにいたのは――黒い髪を靡かせながら膝の上にお弁当を食べる、四ノ宮の姿がそこにはあった。
「四ノ宮さん?」
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