4話:予想外の展開
――翌朝。
起きた俺は着替え下に降りた。するとそこには律華がおり朝食のパンを食べていた。
テーブルを見ると俺の分まで用意してあった。
「律華おはよう」
「おはようおにぃ。朝ごはんパンでよかった?」
「ああ。俺の分の朝食まで用意してくれてるとは。ありがとう」
あまりそう言ったことをしない律華に俺は素直にお礼を言った。
昨日の今日で何があったのだろうか? やはり好感度が上がったことが原因なのではなかろうか?
そんな事を考えてしまう。
「別におにぃの為に用意したわけじゃないからね」
「そうなのか? 俺はてっきりそうなのだと」
「バッカじゃないの!? そ、そんなんじゃないから! 私もう行くから!」
「あ、ああ。気をつけてな」
律華は食器を片付けて家を出て行ってしまった。
「はぁ……相変わらずツンツンしてるなぁ~」
そのまま椅子に座って律華が用意してくれた朝食を食べた俺は学校に向かった。
今回も四ノ宮さんの好感度を上げるためにどうするかを考える。あまりにも関わり過ぎると、周りの男子から俺が四ノ宮さんのことを好きだと思われてしまう。
俺はただ四ノ宮さんの好感度を平均値まで持っていきたいだけである……嘘だ。
実際は好感度が見えるようになったからラブコメしたいだけである。
学校に到着した俺は教室入る。
「おはよう蒼太」
「おはよう悠斗」
こいつは友達の桐谷悠斗。金髪で運動神経が抜群のイケメンである。ちなみにリア充だ。
好感度を確認して見ると60%になっていた。
俺の事をそこまで良く思っているのか……
改めて悠斗の事を大切にしようと思った。なにかと俺の事を気にかけてくれるいいやつなのだ。
「どうした? なにか悩んでいるのか?」
「いや、そんなことないよ」
「そうか? 何かあったら相談しろよ」
「ああ、ありがとう」
そのまま席に着いた俺に幼馴染の夏姫が声をかけてきた。
「おはよう蒼太」
「おはよう夏姫」
挨拶をした夏姫は席について友達と話している。
昨日のことは怒ってないのかな?
結局そのあとは何もなく授業が始まった。四ノ宮さんの好感度を見るも昨日と変化はない。その日もまた何もなく放課後となった。
玄関に向かうとそこには四ノ宮さんが立っていた。
何をしているんだ?
試しに声をかけてみることにした。
「四ノ宮さんまだ帰ってないのか?」
振り返った四ノ宮さんは俺の顔を見た。
だが、俺が見た四ノ宮さんの表情は少し悲しそうであった。
「水瀬、くん……?」
「何かあった? 俺でよければ話くらい聞くけど?」
「……そう。いい所あるのね」
いい所って、そりゃあ困ってる人とかいたら声くらいはかけるさ。
俺はそこまで落ちぶれてはいない。
「それくらい普通だろ。それで?」
「なら聞いてもらおうかしら」
「ああ。愚痴でもなんでも言ってくれ」
「ならここではなんだから、場所を移動しましょうか」
どうやら話してくれる気になったらしい。
俺は四ノ宮の後に着いて行く。学校を出て近場の公園のベンチへと座った。
「それで? 悩みか?」
「そうね。悩みと言えば悩みになるわ」
ふむふむ。四ノ宮が悩む事だ。それなりの悩みなのだろう。
四ノ宮は話し始めた。
「私、モテるのよ」
「……は?」
いやいやいや! それりゃあ美人なんだからモテるでしょうね!
だが突っ込んではいけない。今はシリアスな雰囲気なのだから。
「聞こえなかった? 私──」
「いやいやいや! 聞こえてたから! 十分に聞こえてたから!」
「そう?」
俺はゴホンッと咳払いをして続きを促す。
「私がモテるのは当たり前なのよ」
もう何も突っ込まない。突っ込んではダメな気がしてきた。
「告白が多くてね」
「でしょうね」
「飽きたのよ」
「告白に?」
「そう」
告白に飽きるとは……
まあ続きを聞きましょうか。
「同じ告白過ぎて聞き飽きてしまったの」
「……まさかそれが悩み?」
「ええ」
モテない俺からしたら大層な悩みである。
そんななか、四ノ宮が俺を見て口を開いた。
「だから水瀬君。あなた──私に変わった告白してくれないかしら? もちろんテンプレな告白はNGよ」
「……意味がわからん」
全く意味が分からない。どうしてそうなる!?
「り、理由を聞いても?」
「変わった告白を聞けば頑張れる気がするの」
「好きでもないのに告白しろと?」
「……私の事好きじゃないの?」
そんな筈はない、といった表情で四ノ宮は俺を見た。
何故俺が四ノ宮の事を好きだと思ったのだろうか?
ラブコメはしたいのは確かだ。でもこれだけは言わせて欲しい。
「好きでもない相手に告白? 巫山戯るな」
「この私を好きではないの。もしかして──朝比奈さん? あなた幼馴染みなのでしょ?」
「いやいやいや! そんな訳ないだろ」
「そう」
「なら嘘の告白でもいい。お願い。私をキュンとさせて」
私をキュンって、乙女か! いや、乙女か……
コチラを見つめる四ノ宮に俺は肩を落とした。
「はぁ……わかったわかった。すればいんだろ」
「ええ。ありがとう。ではお願いね。私をキュンとさせたら合格よ」
「なんの審査だよ……」
「告白の審査よ」
「真面目に答えるな。少し考えさせてくれ」
「ええ。待ってるわ」
俺は目を瞑り考える。
これは一種のチャンスでもある。これを合格したらほんの少しは好感度が上がるはずだ。
問題はなんて言うかだ。同じと言っていた。テンプレな告白はダメなのだろう。
普通に告白するなら、「大好きです。付き合って下さい」だろう。
ここは、「俺と付き合え」か? いや、これは俺が言えるセリフではない。恥ずかし過ぎる。
「……まだかしら?」
「まだ待て。こっちは考えてるんだから」
「そう。あまり待たせないでくれるかしら?」
「はいはいそうですか」
なんなら一日開けてからにして欲しいところだ。だがこれを逃せば、また好感度を上げるチャンスを逃すだろう。
「よし」
「あら。いいのかしら?」
「ああ」
「では聞かせて頂戴」
聞かせてやるさ。
「四ノ宮」
「何かしら?」
「俺はお前の事が好きじゃない」
──ぶっちゃけ本音である。
四ノ宮が「え?」とコチラを見た。
「だけど──気づけば君のことを自然に目で追っていた」
──ただ好感度が気になったからである。
「……」
「君も俺の事を好きでもない」
「そうね」
だろうよ。
「これからお互いの知らないことを知っていけばいいんじゃないか? 恋なんて問題文と同じだ」
「……問題文?」
「そう。相手をよく読み──いや、知り、理解するところから始まる」
四ノ宮は喋らない。ただ見つめているのみ。
「俺と──恋から始めてみないか?」
風が吹き桜が舞った。
「……それでどうだった?」
俺が四ノ宮の表情を伺うと──ほんのりと頬を桜色に染めていた。そっぽを向いた四ノ宮は口を開いた。
「まあまあね。点数を付けるなら53点かしら」
「高いのか低いのか分からないからな?」
「まあいいわ。合格よ。じゃあまた学校でね」
「合格って……まあいいや。またな」
その時俺は、四ノ宮の口角が若干だが上がったのがわかった。あの四ノ宮が笑ったのだ。
立ち上がって公園を去る四ノ宮の好感度を確認すると──25%に上がっていた。
「はぃぃぃッ!?」
俺はそんな声を上げるのであった。
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