15話:おっとチンピラに絡まれているぞっ!
休日の日曜日。
俺は一人散歩をしていた。
家にいたら津華がやたらと絡んでくるからだ。だから俺は逃げるようにして家をできたというわけである。
「はぁ、津華のやつ暇なら勉強でもしてろって……」
その言葉は俺にも言える言葉なのだが知らん。
目的もなく駅周辺をぶらついていると、一人の小柄な、栗色のショートヘアをした女の子が、二人のガラの悪い男性に話しかけれていた。
「君、今一人?」
「暇ならお兄ちゃんたちと良いことしない?」
そんな会話が聞こえてきた。
近くを通り過ぎる人達は自分に飛び火しないようにと、顔を背け歩き去って行く。
(おいおい。誰も助けないのかよ……)
そんな人たちに嫌気が差した俺は、絡まれている女の子へと近寄り声をかけた。
「あの~、今、お取込み中ですか?」
「「あ゛ぁ?」」
俺が声をかけるとガラの悪い男二人がギロリと俺を睨んだ。
(……ヤバい。とっても怖いです)
ここで逃げては男が廃る。
「……何かようか?」
「こっちは取り込み中なんだよ」
「ですよね~、でも」
俺は二人と少女の間に割って入った。
後ろをチラリと見やるぞ、涙目でこちらを見ていた。
「あの……」
「大丈夫だ」
心配そうにしている少女に、俺は小声でそう告げ男達を見返す。
「なんだ? 邪魔するのか?」
「痛い目見たくなけりゃ早く何処かいけ」
「確かに痛いのは嫌だな~」
「だろ? なら――」
「けどすまない。俺はこの子と待ち合わせしていたんだ」
テンプレの言葉だろう。男たちが俺をさらに睨む。
邪魔されたのがイラついているのだろう。
でもここで引くなんてできない。
「待ち合わせだ?」
「嘘も大概にしておけよ?」
「後ろ」
「ああ? 後ろがなだって?」
「見てもらえればわかりますよ?」
そういって半信半疑ながらも確認する二人。
「なんだ? 何もない――」
「苦し紛れの嘘――」
二人が俺と少女がいた位置に振り返ると――いなかった。
「「あっ、逃げやがった!!」」
俺は二人の男が振り返っている間、少女の手を引いて逃げたのだ。
走って逃げること数分。
「はぁ、はぁ……なんとか、ま、撒けたか……」
尻餅をついて息を荒げる俺に、少女は声をかける。
「あの……」
「はぁ、はぁ……な、んだ?」
「その、助けてくれてありがとうございます。私は琴葉。華ヶ崎琴葉っています」
少女――いや、華ヶ崎さんはそういって俺へと頭を下げた。
息を整えた俺は返事を返す。
「俺は水瀬蒼太。それと気にしないでくれ。困っていそうだったから助けただけだよ」
実際は滅茶苦茶怖かったが、それは言わないでおこう。
「いえ。本当にありがとうござます。その何かお礼させてください。何もしないっていうのは悪いので……」
上目遣いでそう言ってくる華ヶ崎さん。
蜂蜜色の瞳が潤んでいる。よく見ると華ヶ崎さんは美少女だ。
(うっ、断りずらいだろ……)
俺に断るなんてできはしなかった。
「断っても無駄そうだな。じゃあ何か飲み物でも頂こうかな」
「はいっ、喜んで! 近くにおすすめのカフェがあるのでそこで」
「ああ」
俺は華ヶ崎さんに手を引っ張られ、そのカフェへと連れていかれるのだった。
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既存作である、
『学校一美少女の聖女様が実は泣き虫だった件』
もよろしくお願いします。