11話:幼馴染宅で食事
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食事を食べ終わった俺は、朝比奈家に交じって少しの間雑談をしていた。
「改めて、蒼太君大きくなったわね」
「そうだな。この前までこんなに小さかったのにな」
そう言って洋一さんは手で、俺の身長を現していた。
「洋一さん、それは小学校の時ですよ。俺だってもう16歳ですよ」
「はっはっは。だな。時が経つのは早いものだ」
「そうですね」
「そうそう。ご両親と妹の律華ちゃんは元気?」
朝子さんの問いかけに、俺は答える。
「元気ですよ。律華なんて元気が有り余っているくらいです」
「そう、なら良かったわ」
夏姫が静かだなと思い、確認すると……
「三人で楽しく話しちゃって……」
と呟いていた。
「あら、大好きな蒼太君を取られちゃって嫉妬しちゃったのかしら?」
朝子さんがからかい半分でそう言ったのだが、夏姫は顔を一気に赤く紅潮させ、口をパクパクとさせ焦ったようにしていた。
「ち、ち、違うってば! もうっ!」
「はははっ、そういうことにしておこう」
「ふふっ、そうね」
洋一さんと朝子さんはそう言って笑っていた。
夏姫は俺の方をキッと睨み。
「違うんだからね!」
「お、おう……」
それからしばらくすると俺のスマホに、ピロリンとメッセージの着信があった。
「ん? 誰からだ?」
ポケットからスマホを取り出して確認した俺は、「げっ」と変な声を漏らした。
俺の声に反応し、夏姫が「どうしたの? 何かあった?」と聞かれたので、ゆっくりと口を開いた。
「り、律華が……」
「律華ちゃん?」
「帰りが遅い俺に、怒っていらっしゃる……」
そんな俺の返し、洋一さんが時計の針を確認する。
「もうこんな時間か。遅くまでごめんね」
「あら本当だわ。今日はもうお開きね」
「そうですね。ご飯、ご馳走様でした」
二人に対し、俺は頭を下げた。
「いいのよ。久しぶりで楽しかったから」
「そうだ。また食べにでも来てくれ」
顔を上げた俺は、二人の満足そうな笑みを見てホッと息を吐いた。
そして。
「ご両親によろしくね」
「はい。伝えておきます。では、今日はありがとうござます」
二人に再度、頭を下げた俺は玄関へと向かう。その後には夏姫もついて来る。
恐らく見送りなのだろう。
「お邪魔しました」と言って家を出た俺に、夏姫から声がかかった。
「蒼太、家まで送っていくよ」
玄関までの見送りだと思っていたが、どうやら俺の家までの見送りだったらしい。
「いいよ別に」
「なに、嫌なの?」
俺の返しが気に障ったのか、夏姫はムッとした表情となる。
どうやら誤解を与えているようだ。
「違う違う。そうじゃないよ」
「なら何よ。私じゃ不満と言いたいわけ?」
「だからそうじゃない。家が近くても、こんな夜遅くに見送るに来るもんじゃないってことだ。それに」
「それに?」
「見送るのは男の役目だからな」
「ふ、ふ~ん……」
夏姫そっぽを向いてしまった。
沈黙が数秒の間続き、俺は口を開いた。
「……今日はありがとうな」
「何よ急に……」
「いやなに。久しぶりにご両親にも会えたし、何しろ楽しかったからな。その礼だよ」
「そう。ねえ、相談の事」
「ああ、忘れるよ。だって夏姫がそう言ったんだろ」
俺は呆れたように、やれやれといった仕草をした。
「それじゃあ。おやすみ」
「うん、おやすみ……」
こうして俺は家に帰るのだった。
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既存作である、
『学校一美少女の聖女様が実は泣き虫だった件』
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