てるてる坊主は恋のキューピッド(200文字小説)
窓ガラスを伝う雨の雫。
なんとも知的な雨なんだろう…。
「こんにちは」
彼女は外の雨の様に知的な微笑みを僕に向けた。
「隣、いいかしら?」
湿り気を帯びた彼女の髪から雨のにおいがした。
カップを口に運ぶ彼女。
「可愛いですね」
突然の僕の言葉に彼女は驚きの表情を見せる。
僕は彼女のバッグを指す。
「はい!」
一転、少女の様に微笑む彼女。
「早くやむといいですね」
バッグにぶら下がるてるてる坊主が恋のキューピッドに変わった。