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第34話、女神様のささやき♡(異世界編)その1

 ──俺の名前は、ジュナーン=ナロタロ、しがない地方領主の十男坊だ。


 本来うちのような弱小貴族の末っ子なんて、単なる穀潰しでしかなく、十代半ばでの成人後は家を出て、冒険者にでもなるしかなかったのだが、幸運にも俺の場合は違っていた。




 ──何と、ある日夢の中に女神様が現れて、俺にこの世界の救世主となるように託宣を下すと同時に、『前世の記憶』に目覚めさせられたのだ!




 まるで怒濤のように頭の中に流れ込んでくる、ゲンダイニッポンという異世界の、超先進的な科学文明における、工業技術や農耕技術や経済システムや政治システムや流通システムや教育システムや、果ては超未来技術により開発された超兵器を使っての洗練された戦略及び戦術の数々。


 もちろん、これらの無数の知識を、ゲンダイニッポンからすると『チュウセイよーろっぱ』レベルであるらしい、文化文明の遅れたこの世界生まれの俺が、いっぺんで理解できるはずが無かった。


 しかし、何かの折に、これらのゲンダイニッポンの知識が必要になった場合には必ず、頭の中で『女神』の声が響いて、問題解決のヒントを与えてくれるとともに、必要な知識が流れ込んでくるといったシステムになっていたので、何ら困ることなぞ無かった。




 こうして、『女神』の絶妙なアシストと、それによってもたらされるゲンダイニッポンの先進的な知識とを、最大限に活用することで、末子でありながら両親から次期領主として認められて、領地経営の補佐を任されるや、作物栽培の効率化や流通システムの整備に始まり、貴族や役人や騎士団等の人事システムの刷新等々の、いわゆる『NAISEI』の大なたを振るうことで、領地を主に経済的に富ませるとともに、兵器の近代化や戦術戦略システムの導入をはかることで、領内騎士団の強力化を実現して、元々群雄割拠状態だった周辺貴族領を瞬く間に併呑して、支配領地と権力の大幅増加を果たして、国王から大貴族である侯爵の地位を与えられると同時に、王都において直接国政に関わる権限をも賜ったのであった。




 ……もちろん、最終的な目標は、この王国全体の──否、この大陸全体の支配なのであり、王政への関与はその第一歩に過ぎないものの、俺はその時、まだ見ぬ大陸一の大都会である王都へと思いを馳せながら、旅支度に取りかかったのである。




 ──まさしく近い将来、王宮内において国王の右腕の大貴族としての、栄華を尽くしながらも、最後にはすべてを失い、無残極まる絶望の時が来るとも知らずに。

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