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待ち伏せ



現在、シイロたちは獣人の森に通る一本道から少し外れたところから、その道を進む獣人たちと男を見ていた。男はシイロが予知で見たとおりの美男子で、シイロは自分の中で熱い血がざわめきだしたのを感じた。


「ねえ、あいつヤバイな」


マーガレットの発した一言はその男の容姿に驚きこぼしたものだった。「ヤバイ」とはその男の見た目が華やかで、健康的な美をたたえた「エロイ」ものだったからだ。この世界では男性に求める美人のレベルが低い。そのため子供の頃からバカにされる程に女顔、つまり顔の整っている香はこの世界では絶世の美男子と言えた。


「クオン、見えた?」


シイロの質問は別に男性のことを聞いたのではなく、クオンの「看破眼」であの獣人たちの能力を見たかというものだった。それを察し、危うく「かわいい顔ね」と言おうとしていたクオンはその言葉を飲み込み、獣人たちの能力を説明する。


「三人いるわね。まず白い兎耳は「ジャンプ」、三毛猫の大きい方は「絶対爪」、小さい髪の短い方は「野生の勘」よ」


「看破眼」は能力の名前が見えるものの、詳細までは見ることができない。そのため名前から能力の内容を予想しなければならない。


「白い兎の方はやけにシンプルだけど、ジャンプをトリガーにしていることは間違いなさそうね」

「うん、考えられるのは二段ジャンプとか、高く飛べるとか?」

「瞬間移動も可能性はある」


アイシャの予想にシイロが補足を付ける。


「絶対爪は? 強そうだけど」

「それはたぶん問題ない。壊れない爪とか、絶対切れる爪とかだと思う。近づかなければアイシャの「黒雷」で完封できる」

「野生の勘は?」

「勘が鋭くなる程度、だと信じたい」

「そうね…」

「そうだな」


シイロたちは相手の能力にめどを立て、シイロは先ほど食堂で決めた作戦のままで良いと判断する。


「よし、じゃあ作戦開始」

「おう」

「はい」


そして作戦を決行する。




その作戦の内容はこうだ。


まず獣人たちの進路にアイシャとマーガレットを潜ませる。このとき、アイシャとマーガレットを道の両側に別々に配置。そして獣人がそこを横切る瞬間、囮としてマーガレットが道から見えるところに姿を現す。マーガレットに気を取られた獣人の後ろから、反対側にいたアイシャがこっそりと出てきて「黒雷」をうつ。そして能力を封じた獣人たちをマーガレットがタコ殴りにするというものだった。


その間シイロとクオンは待機。作戦の変更を考えたりするため、また実戦には二人は向かないため、そういう運びになった。


ちなみにアイシャの「黒雷」はあたると痺れはしないが一定時間能力が使えなくなる雷を放つ能力だ。対能力の点では破格の性能だが、「黒雷」自体の速度がそれほど早くない、一度使ったら十分間のクールタイムを必要とするデメリットを持つ。そのため確実に当てる必要があるので、容易には打てない。


しかし当ててしまえばこちらのもの。これだけ接近していればよけられることは多分ないだろう。


獣人の能力を確認したので、シイロたちは道の先に先回りすることにする。




ガサガサと背の高い藪をかき分けて進む。


「ここならいいかな」

「うん。じゃあアイシャとマーガレットはここに潜んでいて」


シイロたちが見つけたのは、少し傾斜のついた道がなだらかに下りはじめる場所だった。ここなら獣人たちに見つかることなくアイシャは道の反対側に移動できる。


「それでは行ってくる」


アイシャはそう言うと素早く道をほふく前進で渡る。服が汚れるのを気にしないのはアイシャにしては珍しいことだった。そして少し道沿いを戻り、盛り上がっている道の頂上の反対側の藪に隠れる。どうやら獣人たちには見つかることが無かったようだ。獣人は男の腕に抱きつきながら歩いていた。


「なんだと! あいつら…私のかわいこちゃんに触れやがって!」


マーガレットが小声で悔しがる。実際シイロもクオンも同じ気持ちだったが、口には出さなかった。見ると、男の方も満更ではないような表情をしている。いや、きっと彼は戸惑って恐怖しているのだろう。あの状況では十中八九そうだろうが、男の浮かべる表情はかえって悪印象を与えるものでは無く、実にシイロやクオンの嗜虐心を煽るものだった。


「マーガレット、私たちは少し戻って獣人たちの様子を見る」

「おう分かった!」

「作戦変更するときは…実際きてみたら草が邪魔でできないし…。どうしよう?」

「うーん。そのときは声を出して指示するから」


マーガレットたちは小声で話す。シイロはここでアイシャに作戦変更のときにどうするか伝えていなかったことに気づくがもう遅い。獣人たちはもう迫ってきてしまっている。


「じゃあ、頑張って。頼んだ」

「マーガレット、よろしくね」

「おう、任された!」


こそこそと励ましの言葉をかけたシイロたちはゆっくりと少し手前の地点に戻る。そこからは獣人の女たちが男とイチャイチャとする声が聞こえてきた。


「絶対、手に入れるんだ…! あの未来のために!」


シイロはポツリと力強く呟いた。





面白く書けてるか不安です。。。できたらで良いので評価して下さい…!!

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