94話:あの話は今?
今日は7月16日水曜日。
昨日の罰の疲れがぬけない……おかげでせっかく真面目に練習しようと思ったのに、体が重くて動かなかった。
や、一応10kmは走ったぞ。ポンポコさんから、練習で10km走れんやつが、試合で10km走れる訳が無いって言われてたからな。
それにしても疲れた……。
いや、嬉しい疲労だけどな。富士山まで、サツキが来てくれるなんて。
ありがとう! 学年主任!
今は部活も終わり、ケンとの帰宅中だ。駅のホームで電車を待っている。
今日は遅くなってしまった。
普段はケンを置いてさっさと帰ってるんだけど、体が重くて時間がかかってたら、いつのまにかこんな時間だ。
……サツキより先に帰れるかな?
「何にやけてんだ? ヤス?」
「ケンか。俺はこの2日間幸せに浸っていたんだ。それを振り返っていただけだ」
「不気味だぞ、ヤス」
うるさい、この幸せがケンに分かるものか。
「そういえば、ヤス。あの小説はどうなったんだ?」
「ん? 何の事だ?」
「えーと、いつだったかな? 6月の中頃に反省文って言ってコメディ小説書いてたじゃん。『ご飯戦隊! 炊飯ジャー!』だったっけ?」
「なんだよそのタイトル! どこの大食らいだ!?」
「あれ? 違ったっけ? えーと、うんと『夜更かし戦隊! もう朝ジャー!』」
「不健康すぎる! お子様に見せられない!」
「これも違ったか。ええと、『別人戦隊! 誰ジャー?』だったよな?」
「何で疑問系なんだよ!? そんな戦隊頼りなさすぎだろ!?」
「悪い悪い……あ、思い出した。『変人戦隊! モッコリジャー!』だろ?」
「嫌だよそんなタイトル!? 何か生々しすぎ!」
「ええと、それじゃ……『おもらし戦隊! ジャージャージャー!』」
「ケン! 適当に言い過ぎ!」
くそ、絶対わざと言ってやがるだろ。
「『円陣戦隊!オウエンジャー』だよ! ケン読んだんだから覚えとけよ!」
「ああ、そういやそんなタイトルだったな。ウララセンセの朗読しか覚えてないや」
このウラララブ野郎め!
「……まあいいや……で、ケン。そのオウエンジャーがどうかしたのか?」
「いや、エンディングだけはまあどっかに載せてみて、評価してもらったら? って俺言ってたじゃん」
「ああ、似たような事言ってたな」
「で、結局どうしたのかなって思ってさ」
「ああ、ネットに載せたよ……でも、最近は更新してないな」
「ふーん、どこに載せたんだ?」
「えっと、『小説家になろう』ってサイト。ケン、知ってるか?」
「は!? お前馬鹿じゃない!? なんでわざわざそこに歌詞を載せるのさ!?」
「はあ、何かまずいのか?」
詩の投稿もOKって書いてあったから投稿しただけなんだが。
「……馬鹿なやつめ……ちなみにヤスは自分の家で投稿してんの?」
「ああ、そりゃそうだけど?」
携帯で投稿してたら、金がかかってしょうがない。
……1回家で投稿するの忘れた時、携帯で投稿したけど。
「よし、じゃあ今からヤスの家にいって俺が『小説家になろう』について語ってやろうじゃないか。毎日読んでいる俺に任せなさい!」
「え? 今日くるの? 家はいいんか?」
いきなり来られても何も準備できんのだが。
「ふふ、大丈夫だ。 既に今日はヤスの家に泊まるとメールしてある」
「いつの間にしてんだよ!? だいたい了解取ってからにしろよ!」
ああ……、今日も幸せの余韻に浸っていたかったのに……。
ケンが来るとドタバタするからなあ。それはそれで楽しいけどさ。
「何騒いでんの?ヤス」
……ん?
「ああ、ユッチとアオちゃんか。部活お疲れさん」
「はい、お疲れさまです」
「お疲れー……で、ヤスとケンは何騒いでたのさ」
「ええと、いきなりケンがうちに止まりにくるとか言い出したんだよ」
勘弁してくれよ。
「ふーん、ヤスの家かあ」
……おい、ユッチ。何興味を持ってる!?
「ヤス君の家、なかなかいいお家でしたよ?」
「え? アオちゃん行った事あるの?」
「ええ、大山祭の帰りに」
興味津々でこっちを向くな! ユッチ!
「いいなあ、ボクも行ってみたいなあ」
来なくていいよ!?
「ちょうど今日さ、ボクの家、おにいちゃんとおねえちゃんだけなんだよね」
だからどうした?
「たまには2人っきりにさせてあげたいでしょ?」
いやいや、兄と姉を2人っきりにさせてどうする?
「ボクもあの2人のラブラブっぷりを見せつけられるのは居心地が悪いからさあ、今日はヤスの家に泊めさせてくれない? サツキちゃんも居るでしょ?」
おいおい、それって。
「兄と姉て……それはあれか? ……危ない関係と言うやつか?」
「へ?」
きょとんとした顔をしたユッチ。
……みるみるうちに赤くなって来た。
「バカあ! エロ! 変態! ドスケベ! ヤスの頭は年中そんな事しか考えてないのかあ!?」
「え? や、だってユッチが『お兄ちゃん』、『お姉ちゃん』っていったじゃん!」
「おにいちゃんってのはお姉ちゃんの旦那さんの事だあ! それぐらいわかれえ! この馬鹿! 馬鹿!! 馬鹿ヤス!!!」
無理だろ!? 今の文脈は勘違いするって!?
「や、わかるぞ普通。」
「わかりますよ、ヤス君」
四面楚歌!? 俺の味方は無しか!?
「この変態いいい!!!」
よ、ようやくユッチが落ち着いてくれた。
今むこうでアオちゃんがなだめている。
お、こっち戻って来たなあ。
「と言う訳でヤスの家に今日は泊めてね。お姉ちゃんにも連絡しといたからさ。サツキちゃんにも会いたいし」
おいっ!? 何で俺に黙って話を進めるんだ!?
「アオちゃんの家は無理なの!?」
「すみません、私の家、アパートなので狭いんですよ。 友達泊めるスペースもあんまり……」
わ、悪い事を聞いてしまった。
「あ、あと私は今日は家で妹が待ってますから、ヤス君の家には行けませんので。ヤス君、わざわざ誘ってくれたのにすみません」
俺誘ってないよ!? いつの間にそんな話になってる!?
ふぅ……。
「……しょうがない、ケンもユッチもうちに来いよ」
寝床くらいなら準備できる。
……夕飯どうしようなあ。
こんにちは、ルーバランです。
どうでもいい話ですが、キーワード、『駅伝』削って『家族』を入れました。 ……駅伝、全然始まりませんから。
ついでに、カテゴリ、『幼馴染』削って『ホームドラマ』が入りました。何で『幼馴染』って基本異性の幼馴染の事になるんでしょう?
それでは、今後ともよろしくお願いします。