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90話:サツキの中総体、地区予選決勝決着

さあ、面白名前ペア同士の対決。勝つのはどっちだ!?


その後も完全に互角の戦いを繰り広げている。


オカシイコ&オカエリペアは言っては悪いがむこうのチームのダブルス1のペアより断然上手い。

双子と言う事もあるのか、息もぴったりだ。

ペア相手のミスのカバーがすっごい上手だ。


対するサキちゃん&ミキミキペアも、お互いに声を掛け合ってコート内をちょこまかと動き回っている。

この2人の運動量はかなり多い。

それだけ動いてもばてないだけの練習を積んできたと言うのはすごいな。


ただ、どちらのペアにも決定打の様なものが無いみたいだからな。余計にラリーの応酬で長引くのだろう。


……しかし、さっきからボールを打つときの叫びが、自分の悲劇自慢になっているのはどうにかならんか?

ネタになりそうなものばかりで、本当に悲劇っぽいのは1つもないのが救いだが、そのせいで緊張した戦いのはずなのになんとなくほのぼのしてる。

とても決勝とは思えん。


さっきまで腹を立ててたはずのサツキがずっとお腹を抱えてうずくまってるのはどうしよう?

サツキ、そう言う笑えるネタ大好きだもんなあ。


「おーい、サツキ。応援できるかー?」


「む、無理……お腹痛い、笑い死にしそう……」


……サツキにとっては至福のひとときだ。相手の監督に対して腹立ててた事は完全に頭からぬけてるな。












さあ、現在はゲームカウント3−3。ポイントは5−4でオカシイコ&オカエリペアが1ポイントリードだ。


ファイナルゲームはルールが少し変わる。

今までのように4ポイントではなく、7ポイント先制した方が勝利になる。

しかしこの試合に関しては、さっきからジュースばっかだったから4ポイントでゲームという印象が無いな。


また、サービスは2ポイントごと、コートも4ポイントごとに交代だ。


今はオカエリさんのサーブだ。


「いくっすよ! うっす!」


フラットサーブがとぶ。クロちゃんほどじゃないが中々のスピードだ。

受けるのはサキちゃん、暴露大会をおっぱじめた張本人だ。


「自動販売機のバカッ!!」


その叫びはよく分からんが、そんなに叫んでばてない君たちは一体なんだ?

すぐにばててたむこうのチームのダブルス1が何か惨めすぎるぞ。

相手のバックを狙ってリターンする。


オカエリさんはバックの方に来る事を予測していたのか、既に回り込んでフォアで打つ体勢だ。

オカエリさんのフットワークもまだまだ軽い。


「コーラを買ったんすねっ!」


オカエリさん……なんでサキちゃんの考えている事が予測できるんだ?

何となく俺もオチが読めたぞ。

フォアで思いっきり振り抜いた、かなりのスピードのボールが返球される。


サキちゃんも予測してたのか、既にかなり後ろに下がってボールを受ける。


「その通りっ!」


わざわざ返事せんでいいよ……この試合中何回思った事か。

サキちゃんもボールを返す。

ここで、オカシイコさんが動いた。


「開けた途端にっ」


ドロップショットか!

サキちゃん後ろに下がってるから追いつけん。

……ミキミキ、届くか?


「顔面に炭酸がヒット!」


……ダイビングしながら叫ぶ事じゃないぞ。それ。

何とか返球したが、完全にオカシイコさんのスマッシュの体勢の位置にボールが落ちてくる。

ダイビングしたミキミキはまだ倒れてる。

この広いコート、サキちゃんだけでカバーしきれるか!?


「しかもホットだったんだあっ!!」


そう叫びつつ、スマッシュを放つオカシイコさん。

そ、それは悲惨だ……ってかお前ら4人、同じ経験を共有してるのか?

サキちゃん、やっぱりとる事は出来なかったかあ……。


……これで6−4。相手のマッチポイントだ。

このままでは負けてしまう。最低でも2連続でポイントしないと!

頑張れ、サキちゃん、ミキミキ!












サービスは交代で、次はオカシイコさんのサービスだ。


「これで決めるよ! ドッセイ!!」


わ、わからん。お前らの叫びは本当に。

しかし、本当に綺麗なスピンサーブだ。

オカシイコさんのサービスエースは今までに2回ある。

ここでサービスエースとられんなよ、ミキミキ。


「ウッセイ!」


さすがに何発も食らって慣れたのか、多少の余裕を持ってバックで返した。

ただ、コート外まで走らされてる。急いで戻らないと!

ボールが相手のバック方向へ突き刺さる。

ってかそれ、本音か? 確かにこの試合、ずっとうるさかったのは認めるが……。


「クッセイ!」


オカシイコさんはミキミキのいる所とは反対方向へロブをあげる。

追いつけ、ミキミキ!

……オカシイコさん、おならでもしたんですか?

コート内、クサいのかなあ?


「アッセイ!」


ギリギリ追いついたミキミキが、何とか返す。だが、これはチャンスボールになる。

ああ、汗臭いのか。そりゃそうだ。お前ら走りすぎだ。

ってかこの試合長すぎだ。

叫びが楽しくて帰る人がほとんどいないどころか、ギャラリーは増えてるけどな。

ってか、『ッセイ』つながりだと言うのがやっと分かった。

試合中そんな事を考えてるなよ……。


オカエリさんがスマッシュの体勢だ。ヤバい!

このままじゃ決められてしまうぞ!


「コッスイ!!」









……あれ? ボールはどこだ?






「シックス・ファイブ」


おや? サキちゃん、ミキミキにポイントが入ってる。

何が起こったんだ?


「サツキ、何が起きたんだ?」


「………………」


……駄目だ、笑えてどうしようもないっぽい。

今度、オカシイコ&オカエリペアと対戦する事になった時、こんなんで大丈夫なんだろうかなあ?


「クロちゃん、さっきどうなったの?」


とりあえず平常心っぽいクロちゃんに聞く。


「ああ、オカエリさんがスマッシュを打った目の前にサキちゃんがいて、オカエリさんが反射的に打つ方向を変えちゃったんですよ。無意識にぶつけるのやめようとしたんでしょうか? そしたらそれがコート外に出ちゃって。ちょっとこずるいですね、サキちゃん」


ああ、だから最後オカエリさんが狡い(こすい)って言ったんだな。


まあ、後1ポイントで負けちゃう訳だから何でもしたくなるのは分かるが、思いっきり顔面にぶつけられたらどうするつもりだったんだよ?

ソフトテニスでもそんな至近距離であたったらそこそこ痛いんじゃないか?


……考えるのは置いとこう、まだ相手チームのマッチポイントは続いてるんだ。















オカシイコさんのサーブだ。


「今度こそ決めてやる! そいやっさーっ!!」


スピンサーブ、受けるのはサキちゃんだ。

ギリギリの所に決まった、とりにくそうだ。

何とか返せ! サキちゃん!


「ヤス先輩のバカっ!」


……え? 俺?

俺、なんかしたかなあ?

サキちゃんの球は何とか返った。

ただ、後衛のオカシイコさんにとってはかなり打ち頃の球だな。


「誰だそいつはっ!?」


……俺です。

オカシイコさん、コートの浅めの所に返した。

コートのライン上にいたサキちゃんはダッシュで前に詰める。


「無理矢理私のっ!」


ポン、とロブを打つ。オカエリさんの頭を超える。それをとる為に今度はオカシイコさんがダッシュ。

サキちゃんがそのまま前衛になり、後衛にミキミキがつく。

な、何したっけ? 色々心当たりが多すぎてわからん。


「唇を奪ったのかっ!?」


いや! 俺のキスの経験は1回で……思い出したくもない!

あんなんはキスとは言わん!!

なんか焦りまくりで試合に集中できなくなって来た。


「それはケン先輩とヤス先輩っ!」


ミキミキ……ばらすなよ……ああ、ミキミキってその決定的瞬間に居合わせたっけ。

忘れろ! あれは記憶から抹消したいんだ!


「じゃあ何されたんだっ!?」


お前ら、真面目にテニスをしろ!

……ってめっちゃ真面目にやってるな。

あんなに汗だくにプレイしてる人たちに不真面目とは……本当に言いたいけど言えん。


「スカートに頭を突っ込んでっ!」


あれかああああっ!!! サキちゃん、そんな事言わないで!


「どうしたっ!?」


それだけだ! それ以降は平謝りしただけだ!


「パンツをなめたっ!」


してない! 

いや、口が当たったかもしれんけど……。

なめるなんて事は断じてしてない!! 

そんな事はしてない!!!


「最低だっ!」


「最低ねっ!」


「最低っす!」


「最高よっ!」


「最低だっ!」


「最低ねっ!」


「最低だっ!」


「最低ねっ!」


「最低っす!」









…………ラリーを続けながら『最低!』とみんなで叫ぶ……。

いじめ? これは新手のいじめ?

止めたいっ! この試合を今すぐにでも止めてやりたい!!

くそう、真面目に試合しつつ馬鹿な話をするんじゃない!


サキちゃん、もしかしてずっとそんな事を俺に思いながら俺と接してたのか?


「ああ、ヤス兄、大丈夫だから」


サツキ、下手ななぐさめは余計みじめだぞ。


「……ま、いっか」


……何がだ?








……ふう、立ち直った。つい、気がそれてしまったが、試合は現在6−5のままだ。

そんなに長い時間へこんでた訳じゃないぞ。

さっきから、ラリーが続いてる。

今、オカシイコさんがロブをあげた。

ん? ちょっとミスったのか、あんまり高くない。


「そいやっさーっ!」


うん、もう『最低!』コールは無くなったな。


「これは、決める!」


サキちゃんがジャンプした。

スマッシュの体勢だ。


「でやっ!!」


サキちゃんが、思いっきり振り切った。

オカシイコさんの足下に向かってまっすぐ一直線にボールが飛ぶ。

よしっ!これでジュースだな!


「うえっ!?」


なに!? か、かなり不格好だけど、ボレーで返した!

ふわっと誰もいない所にボールが返っちゃった。


やばっ! 追いつけるか!? ミキミキ!


「えいっ!」


よし、当てた!

かえれ!ボール!





















「ゲーム。ゲームカウント4−3。ウィナー、オカ&オカ」


結局最後はネットにはばまれた。

……いい勝負だったんだけどな、残念だ。


優勝は相手の中学。母校は準優勝と言う結果だ。


「ありがとうございました!」


握手を交わすオカ姉妹とサキちゃん&ミキミキ。


「……負けましたよ」


サキちゃんがオカシイコさんに話しかけてる。


「いや、最後のあんたのスマッシュのは偶然当たって返っただけだし。今度対戦するときは、もっと完璧に勝ってみせるから!」


「私達だって負けませんよ!」


うん、まだ県大会があるんだからな。

そこでまた両チームとも、思う存分暴れてくれ!

ま、それよりまずは明日の個人戦だ!


「サツキ、明日こそ負けんなよ!」


「分かってるよ! 絶対優勝してやるんだから!」


その意気だ! サツキ!

こんにちは、ルーバランです。


ユニークアクセス、累計10000突破いたしました!

読者の方々が読んでくれたおかげです。


ありがとうございます。

今後ともよろしくお願いします。

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カカの天下
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