88話:サツキの中総体、地区予選決勝、ダブルス2
ダブルス2、キリとマイマイの出場だ。
「ダブルス2、キリタニ&マイサカ vs フクシマ&カミムラ」
フクシマ&カミムラが実質相手チームのナンバー1か。
キリ、マイマイ、負けるなよ……。
まずはキリのサービスからだ。
「ふっ!」
キリはスライスサーブだ。しかも回転のかかり方が凄い。
サーブはとりにくい。今まで何本もサービスエースを決めている。
特に右側から打つときは、ボールがコートの外へ逃げていくもんだから、相手にとっちゃとりにくい事この上ない。
ちなみにサツキとクロちゃんはフラットサーブだ。
特に回転はかけてない。
クロちゃんの場合はスピード重視のサーブを打つからフラットサーブが適してるんだろうけど、サツキはコースを狙うタイプだからキリみたいにスライスかけたりした方が、相手はとりにくいだろうに、なんでフラットサーブなんだ?
「せやっ!」
くっ、追いついたか。
何か腹立つな、あいつは……カミムラか。
「ふっ!」
カミムラの足下あたりでバウンドするような球を打った。
よし、それはとりにくい!
「せやっ!」
うわ、バウンドした瞬間あたりの球を跳ね返しやがった。あれはめちゃくちゃとりにくいんだぞ。
確か、ライジングショットって言うはず。
カミムラ、上手すぎだろ。
「くっ!」
ああ、キリも足下あたりに打たれたな。
何とか返球はしたけど、ふわっとしたチャンスボールだ。
「てい!」
ちっ、フクシマがスマッシュを決めたか。
後衛がチャンスを作り、前衛が決める。ダブルスの基本だが、そこまできっちりされると悔しいな。
「ゼロ・ワン」
キリ、次こそスライスサーブ決めてやれ!
「ふっ!」
相手のフォアではなく、バックを狙ったスライスサーブ。
そもそもバック自体、フォアより苦手な人が多い。
「てい!」
フクシマ、何でそんなに綺麗にバックを打つんだ!
この野郎!……あ、女の子だな。野郎は無いな。
しかもきっちり、キリのバックに返してるし。
キリ、フォアに比べるとバック苦手なんだよな。
「ふっ!」
お、かなり綺麗にかえったぞ。しかも足下。
「てい!」
フクシマー!お前もかー!
フクシマもあんなに綺麗にきっちりライジングショットが打てるとは……。しかもバックのライジングショットってどんだけー。
「あぅ」
ち、また相手にチャンスボールがいったか。
前衛にいたマイマイもスマッシュを警戒して後衛に下がってる。
「せやっ!」
ヒュッとボールがコートのど真ん中を突っきった。
くぅ、お見合いしてしまったか。
基本は真ん中はフォアの人が打つもんなんだが、やっぱり真ん中に来ると反応が鈍る。
反応できてもとれるかどうか微妙ないいスマッシュだったけど。
「ゼロ・ツー」
くそ、キリのサービスの時にポイントがとれないとは……。
フクシマ&カミムラめ。強いな。
マイマイのサービスだ。
「やっ!」
マイマイのサーブはスピンサーブだ。
このダブルス2のキリ&マイマイペアはサーブでかなりの得点をとってたから、このスピンサーブが決まって欲しいんだが……。
「せやっ!」
カミムラ、スピンサーブの軌道に慣れてるっぽい。
軽々と返しやがった。悔しいな。
「やっ!」
お、これはいけるか?
足下狙っても、返されてたからな。角度を急にして狙ったな。
「サイドアウト」
なに!?
……くそう、攻め方はよかったけど、狙いすぎたな。
「ゼロ・スリー」
まずい、こっちのサービスなのに、1ポイントもとれないままブレイクされてしまいそうだ。
「やっ!」
フクシマへスピンサーブがとぶ。右のコート外へ逃げてくスピンサーブ。
フクシマ、バックが得意っぽかったけど、この急角度のサーブはとれるか?
「ていっ!」
く、追いつかれたか。
フクシマ&カミムラペア、ストロークやボレーと言った技術だけじゃなくて、動きも素早い。
かなりフットワークが軽いな。
「ふっ!」
おっ、キリ!ナイススマッシュだ!これはとれんだろ!
「ていっ!」
……さっきまでコートの外までボールをとりに走ってただろ。
何故既にそこにいる、フクシマ。足速すぎじゃないかい?
しかもフクシマのやつ、ただ返すだけじゃなくて、キリもマイマイもいないコート奥深くにロブで返しやがった。
さらにはふわっとした時間稼ぎのロブじゃなくて、素早いロブだ。
マイマイ、追いつけ!
「あっ!」
な、何とか当てたか……。相手コートに戻せたな。
ん? 落下地点でカミムラがスマッシュのポーズで待ち構えてるよ?
マイマイ、まだ自分のポジションに戻れてない!
キリが何とかカバーしようと後衛に下がった。
「せやっ!」
ひゅっとボールが突っ切る。
……なんであんな隅っこを狙う。とれるわけねーだろ!
「ゲーム。ゲームカウント0−1」
あっさりブレイクされてしまった。
……カミムラ&フクシマペア、強すぎだろ。
まだ負けてないぞ、頑張れ!キリ、マイマイ!
その後も一方的な試合が続いた。
さっきのダブルス1以上のワンサイドゲームだ。
相手のサーブは、スピン、フラット、スライス、さらにはリバースサーブ、アンダーカットサーブまで使い分けて、的を絞らせない。
テニスやってる人は得意なサーブがあって、大体そればっかりを使うようなイメージがあったんだが……俺の勘違いか?
必死で食らいつこうとしているキリもマイマイもカミムラ&フクシマの前にただただ翻弄された。
……あいつら、上手すぎないか?
「上手いに決まってるよ。あいつら、2年生の時にもう個人で東海大会に出場してるんだよ」
サツキ、それほんとか?
……そんなヤツらが同一地区にいるとは、中々厳しい戦いだ。
今はゲームカウント0−3で負けてる。
ポイントもワン・スリーのマッチポイントだ。
これをとられると負けてしまう。
フクシマのサーブだ。
「ていっ!」
スピンサーブか。
バックで、しかもコート外へ逃げてくあのサーブはバックが苦手なキリにはきつい。
最初っからそれしか来ないと分かってれば、まだ対処のしようがあるのかもしれんけど、あれだけ多彩なサーブを打たれたら……。
「ふっ!」
おしっ! 何とか返したな。ロブで返したから、自分のポジションに戻る時間は十分に稼げる。
「ていっ!」
くそう、キリの足下ばっかり狙いやがって、返しにくいんだ。それは。
「ふっ!」
よし、上手いぞ。キリ。
むこうのチームほどライジングショットは上手く打てないから、コート外の後ろの方にまで下がって返球した。
「ていっ!」
ふ、フクシマ……今度はコートの前の方に落とすか。
後ろの方に下がってたから……キリ、追いつけ!
「えいっ!」
ダイビングして何とか拾った。
おし、ナイスだキリ!
……って、カミムラ! 予測すんな! 毎回毎回なんでボールが落ちてくるそのポジションで待ち構えてるんだ!
「せやっ!」
スマッシュを打つ。後衛に下がっていたマイマイ、とってくれ!
「えいっ!」
おし、な、何とか当てたぞ。
ぽーんと山なりに相手コートに戻っていく。
フクシマが返球するかと思ったのだが、そのままスルーした。
……?なんで?
「バックアウト」
うそ! 今の入ってなかったのか!?
「くそう、今のほんとはインだったんじゃないのかよ」
さっき、サツキとクロちゃんに腹立ててるとか……ありえそうだ。
「……あの審判、ちゃんとジャッジしてるよ。今の、ギリギリアウトだった。大体、インだったらフクシマが返球するでしょ」
く、確かにサツキの言う通りだな。
というか、今回はフクシマ&カミムラペアが悪役っぽくなってたな。
「ゲーム、ゲームカウント4−0。ウィナー、カミムラ&フクシマペア」
「……ありがとうございました」
終わった後は握手してこちらに戻ってくる。
「お疲れ、キリ、マイマイ」
サツキが声をかける。
…………………………。
ここまで惨敗だと、なんて声をかけたらいいか分からん。
負けたときって一体なんて声をかければいいんだろう?
「ほら、サツキもクロちゃんも、ヤス先輩もそんなしけた顔してちゃ駄目ですよ。まだ負けが決定した訳じゃないんですから。サキちゃんとミキミキの応援しましょう!」
……さっきのダイビングの時に所々擦りむいたみたいで痛そうなのに、そんなん気にもとめずキリが言う。
……キリに言われちゃったな。
悔しそうな顔しつつも、次の人の応援に意識が向いてるキリとマイマイ。
その通りだ。まだ負けた訳じゃないからな!
「サツキ、相手のダブルス3はどれくらい上手いんだ?」
「ダブルス3で出てくる2人はどのくらい上手いか知らない……他のメンバーがあの2人についていけてないから、去年は団体戦では県大会どまりだったんだけどね……」
つまり、ダブルス1の2人組と同レベルくらいの可能性も無くはない訳か。
それなら、サキちゃんとミキミキなら勝てる!
負けるなよ! サキちゃん、ミキミキ!
こんにちは、ルーバランです。
ブログ更新できなくてすみません。
中々時間とれなくて……。
本編はずっと更新させますので、よろしくお願いします。
話は変わりますが、相手がいるスポーツってめちゃ登場人物増えますね。
テニスの試合から、ここまで一気に登場人物が増えちゃいました。
ラグビーとかサッカーを書いたらどんな事になるやら……。
ほとんどがテニスの試合中だけの登場なので、適当に読み流してください。