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87話:サツキの中総体、地区予選決勝応酬

さあ、今は1ゲーム目、相手側のサービスで、ゼロ・スリーの状態だ。


「たー!」


相手のサービスだ。

クロちゃん、さっきみたいに豪速球ラリーを続けるのかな?


「ほいっ」


え?クロちゃんもロブすんの?

……あ、その間にサツキとクロちゃん、位置入れ替わってるでやんの。

ロブ打って時間稼ぎしたのかな?


別にクロちゃん、後衛が下手とか無いよなあ。


何がしたいんだろ?


「たー!」


うん、中々のスピードの返球だ。


「ほいっと」


またロブ攻めっすか、サツキさん。

今回は2人とも後衛に下がると、さっきみたいにクロちゃんにドロップショットを打たれてきついのが分かってるので、1人は下がろうにも下がれないんじゃないか?


「たー!」


おお、がんばる。


「ほいっと」


またロブだ。


「たー!」


「ほいっと」


……ロブか。


「たー!」


「ほいっと」


……またロブか。


「たー!」


「ほいっと」


……またまたロブか。


「たー!」


「ほいっと」


いい加減しつこくないか?


「……たー!」


「ほいっと」


相手、ばててるぞ。


「……たー」


「ほいっと」


嫌らしいぞ、サツキ。

しかも、今回相手スタートが遅れてるんだから、狙えば届かない所にロブ落とせただろ。

わざわざ届きそうな所に落とすってどんだけやらしいのさ。


「……」


あ、かけ声も消えたな。


「ほれ」


まだ走らせますか、妹よ。

相手もロブ打ちゃいいのに。


「……」


あ、ロブ打った。

これは、サツキが余裕で追いつきそうだな。


「せいっ!」


また急角度の返球を、あれだけばててちゃとれんだろ。

……あんな返球がかえってくると思うと、次からは相手チーム、ロブも打てなくなるんじゃないか?

さあ、どうすんだろ? 相手チーム。


「え、えと、ゲーム。ゲームカウント、0−1」


ああ、審判の人も微妙な顔してるな。

うん、きっと完全にサツキとクロちゃん、悪役に回ったな。



















その後も一方的だったなあ。相手チームの監督もいろいろ指示出してたけど、結局何もさせてもらえないままだったな。

しかも、相手チームをひたすら走らせて、ばてさせて、ミスらせるという、今までとは全然違った作戦。

……俺は嫌いじゃない作戦なんだけど、サツキはそう言うの嫌いなはずのに。何故?


どしたんだろ?

いままではクロちゃんのすかっとするようなスマッシュで勝ってたのに。


「……えー、ゲーム。ゲームカウント、4−0。サツキ&クロダ」


おい、審判の心証を悪くしてどうするんだ。

審判だって人間、ましてや中学生なんだから、気持ちで公平に審判ができなくなっちゃう可能性、無くはないんだぞ。


「お疲れさん、サツキ、クロちゃん。今回はどしたの?」


「あー、ヤス兄。ちょっと相手チームに腹が立って」


「なんで?」


別にまともにプレーしてたぞ。


「だって、私たちが対戦した人たち、実力的にはナンバー3のペアだったんだよ!」


はて、どういうことだ?


「ヤス先輩、普通はソフトテニスの団体戦って強い順に並べるんですよ」


まあ、最後に強い人を残して、その前に負けるとかバカみたいだもんな。


「だから、ほとんどのチームってダブルス1、2、3の順に強い人を並べるんです。まあ相性の関係もありますから、多少順番を変える所もありますが、基本的には強い順に並べます」


ああ、なるほど。サツキ達の学校もそうやって並べてるな。

サツキ&クロちゃんペア、兄のひいき目も少しはあるが、うちの中学では一番上手い。


「そこをあえて実力3番目のペアをダブルス1に持って来て、1番強いペアをダブルス2、2番目に強いペアをダブルス3にするとどうなります?」


えーと……。


1 vs 3

2 vs 1

3 vs 2


となる訳か。

……ああ、なるほど。最初の1チームは捨て駒扱いな訳だな。それで2戦で勝って全体として勝利! となる訳か。


「ん? でも何でそんな事が分かるんだ?」


アイツらがナンバー1かもしれないじゃん?


「だって、4月の時にあの中学とは練習試合してるもん。その時に見たよ、もっと上手い人。私たちもその時負けちゃったし」


なるほど、そうなのか。


「ヤス兄も腹立つでしょ! 捨て駒扱いされたあの2人組も可哀想だし、私とクロちゃんペアとまともに勝負に来なかった相手チームにも腹が立つの! 私たちに勝つ気は無いの!?」


まあ、作戦としては普通にありなんだけどな。

真っ向勝負が好きなサツキとしては腹立たしいだろうな、そりゃ。


「しかし、可哀想と言いつつ走らせまくってたじゃん、前の試合みたいにぱぱっと終わらせてやればよかったのに」


「ああ、それじゃ腹の虫が治まらなかったもんね、クロちゃん。それにそんな采配を許したあの2人も同罪かなって」


「そうだね、ほんとは毎回スマッシュで相手チームの監督にボールぶつけてやりたくなったりもしたんですけど、そんな事毎回してたら負けちゃいますし。私たち、我慢した方だよね」


怖い、怖いから君たち!


次のダブルス2のキリとマイマイや、ダブルス3のサキちゃんとミキミキの事も考えてやってください。

このアウェーな空気の中対戦させるのは可哀想っすよ。

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カカの天下
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