表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/442

85話:サツキの中総体、地区予選開始

昨日までで期末テストも終わった。

ユッチのへこみっぷりが面白かったなあ。

……よっぽどやばかったんかな? 大丈夫かな……ユッチ。


ケンも話を聞く限りはヤバかったはずなんだが、全く気にしたそぶりがない。

その辺りはさすがケンと言う感じだったな。











今日は7月12日土曜日。快晴だ。


今日明日に渡って、ソフトテニス大会中総体地区予選が行われる。

初日が団体戦、2日目が個人戦だ。


中学ソフトテニス団体戦はダブルス1、ダブルス2、ダブルス3とあり、2回先に勝った方の勝ちだ。


もうすぐ1回戦が始まる。

既にアップも終了し、もうあと少しでダブルス1、サツキとクロちゃんのペアの出番だ。

……クロちゃん、今年に入って初めて会ったな。懐かしい。


「サツキ、頑張れよ!」


「……ヤス兄、はずかしくない?」


はずかしいさ! 何で男子と女子の会場がそんなに離れてるんだ!

この辺にいる男、俺しかいないんだけど……。

しかも、ここにいるのは中学の部活の人ばっかりで、みんなTシャツにハーフパンツの格好だ。

私服で歩いてるの、俺だけなんだが……せめて俺もスポーツする時の格好でいればよかったな。


めっちゃ浮いてるっすよ。……お願い、せめてもう1人くらい男をこの場に連れて来てくれ!


「あ、私そろそろ試合だから行くね。……クロちゃん! いこ!」


「うん、ヤス先輩、応援よろしくお願いします」


「はいよ、クロちゃんも頑張ってな!」


「はい!」


クロちゃん、いい子だ……。久々に普通な人と話をした気がする。


さて、サービスかレシーブかのトスをおこなって、ついでに軽くラリーをしてウォーミングアップして、試合開始だ!


「7ゲームマッチ、ダブルス1。サツキ&クロダ vs マナベ&カスガ」


ん? 何でサツキだけ名前?

ああ、7ゲームマッチって言ってるけど、7ゲームとった方が勝ちじゃなくって、4ゲームで勝ちだぞ。

最高7ゲームまでやりますよって意味だからな。


「よろしくお願いします!」


うん、頑張れ。サツキ!


……まずはサツキのサービスからだな。


「せいっ!」


そこそこのスピードで相手のコートにつっこんでいく。

よしっ、いいコースだ。ナイスサーブ。


「ふっ!」


相手も返したか。中々やる。


「やっ!」


おお! 前衛にいたクロちゃん、ナイススマッシュだ! 返球を読んでいたとは、さすがクロちゃん!

……決まったか。まずは1ポイント先取だな。


パチパチパチ。

決めたクロちゃんに拍手を送る。

テニスの応援は静かに、だぞ。

大事なのはコンセントとレンコン? だっけ? まあいいや、集中だ、集中。

選手の集中をかき乱しちゃ駄目だ。


「ワン・ゼロ」


……ソフトテニスと硬球のテニスとじゃ数え方が違うんだよな、混乱する。


さあ、サツキ。サービスエースを決めるんだ!


「せいっ!」


さっきと似たようなコースに決まる。

よしっ、今度こそ。


「むんっ!」


くそっ、また返されたかあ。

サツキのサービスはそんなに速くないってのは知ってるけど、コースはきっちり決めるのに……相手もやるなあ。


「やっ!」


おっ? またクロちゃん、スマッシュ決めたな。クロちゃん、すげえ。


「ツー・ゼロ」


さて、サービス交代か。ソフトテニスでは、2回ごとにサービスが変わるんだってさ。

クロちゃんのサービス。


「やっ!」


おー、豪速球。あれはとれんだろ。


「フォールト」


ああ、惜しい。

ちょっと、ラインをオーバーしてたなあ。


さあ、セカンドサービスだ。


「やっ!」


さっきより少し遅めの球が打たれた。


「ふっ!」


ああ、やっぱり返されるか。

……くっ、サツキの方にはいかないか。


「やっ!」


クロちゃんが返した。うん、いい感じだ。


「ふっ!」


相手も返す、……これは長いラリーになるか?


「てやっ!」


……えと、クロちゃんはなんで既に前衛にいるんでしょう? ……ロブ(ふわっとした返球で、相手の奥のコートに落とすヤツの事だな)打たれたらどうするつもりだったんだろ?

そしてスマッシュを決めるクロちゃん。


さっきからクロちゃんばっかり決めてるが……クロちゃん、最近見て無かったけど、めちゃくちゃ上手くなってないっすか?


「スリー・ゼロ」


よし、後1ポイントでこのゲームはキープできるぞ。


「てやっ!」


クロちゃんのサーブ、相変わらず豪速球だ。


「くっ!」


相手も何とか当てたけど、返球する事は出来ない……。

おしっ! まずは1ゲームキープだ! この調子で頑張れ! サツキ、クロちゃん!


















うん、圧巻だったな。

その後、相手のサービスのときはブレイクして、自分達のサービスはきっちりキープ。

結局、4−0でゼロゲームで勝ってしまった。


その内のほとんどをクロちゃんが決めてたからなあ。

すげえ、クロちゃん。


「ありがとうございました!」


相手と握手を交わしてベンチに戻ってくる。


「ナイスゲーム、サツキ、クロちゃん」


「ありがと、ヤス兄。でも、まだダブルス2とダブルス3があるから、ちゃんと応援してよね」


「わかってるよ」


母校が嫌いな訳じゃないからな。是非勝って欲しいさ。


















「おしっ! ナイスゲーム!」


ダブルス2のメンバーも大勝した。こっちは4−1だ。

相手側のサービスの時に、1ゲーム落としたな。まあ、サービス側が有利なものだからな。しゃあない。


ダブルス2が勝った時点でサツキ達の中学の勝ちだ。


「まずは一回戦突破だな、サツキ」


「そうだね。キリもマイマイも頑張ってたね」


「そうだな。よっぽど練習したんだな。あのキリとマイマイがあんなに上手くなってるとは……」


キリとマイマイのプレイを去年見た事があったけど、お世辞にも上手いもんじゃなかったからな。

ちなみにずっと前に話してたサキちゃんという子はダブルス3での登場だ。


1回戦、2回戦は勝負が決まってしまっても、ダブルス3まで対戦する。

……そうしないと、試合が出来ないまま引退、なんて悲惨な子が出て来ちゃうもんな。


サキちゃんと組んでるのは、えと、ミキミキだな。


「サキちゃん、ミキミキ、頑張ってね!」


サツキのエールがとぶ。


「サキちゃん、ミキミキ、ファイトだ!」


俺も声をかける。


「ヤス先輩。私たち見て興奮して鼻血出さないでくださいよ」


サキちゃん、どんな返事だそれは!


「俺はエロイけどこんな所で興奮するほどはエロく無い!」


馬鹿にすんない!


「……いえ、応援でテンション上がって鼻血出すなって意味で、別にヤス先輩がエロイかどうかは言ってませんが……」


サキちゃん、分かりにくい! 

……恥ずかしい。他の人がめっちゃ白い目で見てますよ。


「ヤス兄、ドンマイ」


……ありがと、サツキ。味方はサツキだけだよ。










おし!ダブルス3のサキちゃん&ミキミキコンビも順調に勝ったな。

しかし……4−0のゼロゲームで勝ってしまうとは……。

かなりの成長っぷりを見せてるな、サキちゃん、ミキミキ。


「この調子で頑張れよ。サツキ」


「うん、今年こそみんなで全国大会出たいもんね」


えーと、去年は先輩が個人戦で県大会出場が最高だったかな。

なかなかこころざしが高いじゃないか。

うん、頑張れサツキ!


こんにちは、ルーバランです。

毎回心配になるスポーツのシーン。


間違ってないかな、ちゃんと伝わるのかなと。

ソフトテニス中、普通全員が全員叫びながらプレイはしませんが、分かり易さの為に全員に叫ばせてます。(余計分かりにくくなっていましたらすみません)


サービス:テニスの最初の打ち始め

キープ:サービス権を持ってる時にゲームをとる事

ブレイク:相手側にサービス権がある時にゲームをとる事

ゼロゲーム:どちらかが1ゲームもとらせないままゲームが終わる事、硬式テニスでは「ラブゲーム」と言います。


一応下調べはしましたが、間違ってたらご指摘してくださると助かります。


ちなみにヤス君の「コンセントとレンコン」は本当は「コンセントレーション」です。


それではまた。これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ