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84話:Let's Sing a Song

うう、まだまだ時間が残ってるなあ。

こんな痛い空気の中、この場にいたくないんだが。


「……こほん、ヤス君がおさかんなのは置いといて、英語はさっきみたいに楽しめばいいのね」


ウララ先生に置いとかれたー。ちくしょー。


「ところで、質問。英語ってどこが必要なの?って思ってる人、どのくらいいる?」


バババッとクラスの半分以上が手を挙げた。

もちろん俺もだ。

あれ? ケンが手を挙げてねえな。今まで英語なんていらんって言ってたのに、なんでだろ?


「そうよねー。日常生活で、英語が必要な場面なんてほとんどありませんもんね。」


おい、英語の先生がそんな事言っていいのか?


「じゃ、手を挙げなかった人に質問、英語が必要な理由ってどんな所?」


「ウララセンセと英語で話がしたい!」


そんな理由かい……。

……ケン。頑張れな。


「あはは……Good luck! Ken!」


ウララ先生に励まされたぞ、頑張れ、ケン。


「じゃあ、他には……ペンタゴン、君はどう?」


あいつは……誰だっけ?


「えと、将来、必要になりますよね?」


まあ、そうかもな。


「うん、もちろん。正解よ。」


まあ、やっぱり先生だもんな。そこは肯定するよなあ。


「ただ将来、会社に入ってから役に立つなんて言われたって、『そんな先の事知らないよ』と思う人もでしょう」


うんうん、その通りだ。


「確かに今、英語力が問われている会社はどんどん増えてきてるかな。でも、実際会社に入っても英語が必要なのは、海外に工場を持ってたり、外資系の企業だったりするような大企業で、地方の企業で働く人には必要なかったりする事も多々ありますね。それに部署によっては全然必要ないところ、ありますよー。」


うぉい! 英語の必要全否定!? 

……違うか、将来大企業に就職して、出世したかったら英語を学べって事だな。

そんな理由だけって……やだなあ。


「さて、だるそうな顔をしてる人たち! 特にヤス君! しょぼしょぼの顔になってるよ」


うっさい! これが素の顔じゃい!


「英語を勉強する理由は他にもあるの! 例えば、海外旅行とか」


「海外なんて行きませーん」


「ヤス君、チャチャを入れない! 日本で海外旅行のツアーとかあるけど、わざわざ海外に行ったのにしゃべったのは一緒にツアーに行った日本人だけって人多いのよ」


うわ、それなら日本の観光名所で十分じゃね?

お前らは日本の名所をちゃんと巡ったのかと聞きたい。……巡った人、ごめんなさい。


「せっかく海外に行ったんだったら、英語しゃべれたほうがよくない?」


ふむ、なるほど。

……まあ俺は行かんから関係ないな。


「他には、本とか映画ね。日本語に翻訳されて出版されてる本や、日本で公開されてる映画ってたくさんあるけどやっぱり意訳されてる事が多いのよね。特にさっきの早口言葉とか、英語のジョークなんか、訳しようが無いから適当に訳されてるのよ」


なに!? そうなのか?


「英語がわかれば、そんなジョークも全部分かっちゃうからね。……それに、ハリーポッターの最終巻も私はさっさと読んじゃったもんね」


くそぅ、ウララ先生、自慢か? 日本語でしか読めない俺への当てつけか?


「後は、やっぱり歌よね! 洋楽は最高よ!」


「歌?」


別に俺は邦楽だけで十分じゃ。


「あー、みんな、あんまり洋楽聞いてないな。洋楽はいいよ」


んな事言われても、知らんもんは知らんし。


「みんなが知ってそうなのだと、『ビートルズ』『マライアキャリー』『セリーヌディオン』『バックストリートボーイズ』とか?」


「……おい、今の分かったか?」


ケンが俺に聞いて来たが、


「俺は邦楽しか知らん!」


言い切ってやったさ。うん、邦楽だけでもすごい曲数があるからな。


……いや?


「……あれだな、「天使にラブソングを」「天使にラブソングを2」は最高だったな。」


うん、ビバ、ウーピーゴールドバーグ!


「それは映画だぞ」


そんな冷静なツッコミを入れるな、ケン。


「いえ、ヤス君の言う通りあの映画の挿入歌の Oh Happy Day は最高よね!」


「は? ウララ先生何言ってるんですか? あの映画といえば、ラストの Joyful Joyful に決まってるじゃないですか!」


全く、ウララ先生は洋楽が好きだといいながら、何も分かってねえな。


「Oh Happy Day は、今までおっきな声で人前で歌う事が出来なかった少年の才能が開花する瞬間よ! そして学校にも音楽ありと見せつけた瞬間じゃない!? なんでそれが分からないの?」


「Joyful Joyful こそ最高ですよ! 今までいがみ合っていた先生と生徒、生徒と生徒が1つになって最高の歌を作り上げるんです! それがもとで……」


おっと、映画のラストを言ってしまうのはよくないな。

しかし、ああいう話にはあこがれるなあ。……現実には上手くいかない事も多いもんなあ。


「何言ってるの!Oh Happy Day 、このタイトル聞くだけで、幸せな気分になるじゃない?」


「それを言うなら、Joyful Joyful ですよ! 歌のタイトル見て思いませんか? 日本語訳は『歓喜の歌』です!!」


「まさに俺の為にあるような言葉だな」


うっさいケン! お前は楽しみすぎだ! 自分に正直に生きすぎだ!


「何はともあれ、Joyful Joyfulです!」


「いーえ、Oh Happy Dayよ!」


く、このままじゃいつまでたっても平行線か……。


「まあまあ、間を取ってここはI will follow himでいきましょう」


……アオちゃん、そんな微妙な発言しないでくれ。ただの三つどもえになるだけじゃん。


「……こほん、私が大人げなかったわね。……と言う事で、英語を覚えたら、洋楽も聴き放題よ。曲を聴いてるだけでも楽しいけど、歌詞の意味が分かるだけで、より楽しくなるんだから」


その英語を覚えるのが大変なんだって。


「逆に、歌から英語を覚えるのもいいよね」


…………………………………………ああ、どっかの漫画でそんなような事言ってたような気がするな。


「別に勉強の為に洋楽聴けって言ってる訳じゃないからね。そこは勘違いしないように。音楽というものはあくまで『音を楽しむ』ものなんだぞ」


うむ、その通りだよな。下手でも楽しめばいいもんだよな。さらに勉強の為に音楽聞くなんてやってられないっすよ。


「と言う訳で、これからは授業を始める前に歌いましょうか!」


え!? 今のどこでそう言う流れになったの?


「やっぱり教科書読んでても楽しくないから、まずは楽しまなきゃね。 ……えーと、最初はWe Will Rock Youにでもしましょうか?」


なんだその曲?


「ドゥ・ドゥ・バーン、ドゥ・ドゥ・バーン、ドゥ・ドゥ・バーン、ドゥ・ドゥ・バーンって曲ね。ちょうどここにCDとラジカセがあるから、みんなで歌いましょうか。歌詞カードも人数分印刷してあるわよ」


ちょっと待て! 何でそんなに準備がいいんだ! 

ウララ先生、もともと歌う気満々だっただろ!


「さあ、いくわよ!」


ノリノリっすね、ウララ先生。


ドゥ・ドゥ・バーン!


……お?


ドゥ・ドゥ・バーン!!


おお?


ドゥ・ドゥ・バーン!!!


これは……


ドゥ・ドゥ・バーン!!!!


最高だ!!!


「ウィーウィルウィーウィルロックユー!」


『ウィーウィルウィーウィルロックユー!!』


おお、こんな名曲が洋楽に埋まってたとは……洋楽も侮れん。


『ウィーウィルウィーウィルロックユー!!!!』
















………………………………思いっきり大声で歌ってたせいで、どうやら隣のクラス、いや、学校中に俺たちの歌が響き渡っていたらしい。

特に地鳴りを食らわせてたからな。下の階の人たちはひどい目にあったそうだ。


延々と怒られました……なぜか俺だけ。

また反省文かあ、今回は俺たちのクラス全員らしいけど、俺だけみんなの3倍なのは何故だ!?

……いや、一番騒いでたのは認めるけどさあ。


いいじゃんか。音楽とは『音を楽しむ』ものなんだぞ。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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