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74話:ポンポコ&ヤスの誕生日、バトル終了

UNOの戦いは白熱した。


夜明けの午前6時までと時間を決めて、ひたすらUNOをする。


一二三四五兄弟はポンポコさんに負けさせないよう、上手く立ち回ろうとしていたが、そんなのは中々上手くいくわけない。

1、2回試してみて、結局普通にUNOを楽しみ始めた。

サツキは運がいいのか、たいてい2位か3位をキープしている。まだ1位にはなっていないが。

俺とポンポコさんは大抵1位から10位までまんべんなくとっている。


席が離れた時は勝手に進めて上位をとったりもするが、隣りになった時にはお互いに足を引っ張り合って、下位になる。


そして午前5時半。


後1ゲームできるかという時点で、現在の総合順位はこのような感じになっている。


1位  サツキ

2位  ポンポコさんのお父さん

3位  四

4位  一

5位  ポンポコさんのお母さん

6位  五

7位  三

8位  ポンポコさん

9位  俺

10位 二


ってかそういや、俺とポンポコさんしか罰ゲーム決めてないなあ……。

せっかく二さんが最下位になってるんだから、二さんに何かさせれるようにすればよかった。


俺とポンポコさんは隣になったとき毎回下位になるもんだから、総合順位も2人そろって下の順位だ。


俺とポンポコさんの差はほとんどない。

ここでポンポコさんより順位が3つ上回れば逆転だ。

ちなみに他の所での順位の変動はもうない。既にサツキの1位も二の最下位も決定している。


「ポンポコさん、最後は勝たせてもらう!」


「残念だったなヤス、今回の私のカードは素晴らしい。万が一にも負けはない」


このポンポコさんの発言はブラフの可能性も高い。嘘を言って相手を惑わせ、ドロツーやスキップの出すタイミングを混乱させるのが目的だ。


「ふっ……もうポンポコさんの口車には乗せられないぞ」


「何を言う、軍師の二つ名の実力を今見せてやる」


そんなのあったなあ……。

とりあえず、ゲームスタートだ。


「今回は本当に素晴らしいのだぞ。UNOだ」


何!?いきなりUNO?6枚が同じなんてなんてそんな少ない確率をものにしてんの!?

くぅ、俺は今回は席が離れてるので、妨害行為は全く出来ない。

運にかけるしかないというのがきつい。


もしくはポンポコさんの隣にいるサツキかポンポコさんのお父さんに賭けるしかない。

……無理か。どっちもポンポコさんの味方みたいなもんだしな。


「はい、ドロフォー。ポンポコ先輩、4枚よろしくお願いします。色は今ポンポコ先輩の顔が青ざめたので、青ですね」


「……サツキから攻撃が来るとは思わなかったな。いじっていてもヤスが好きか」


「まあ、既に今日結構好きって言いましたけどね。さすがに1週間ネコミミ&『にゃあ』をさせて学校に行かなくなったりしたら、妹として恥ずかしいですし」


「既に落書き顔で学校に行っているんだから大丈夫だと思うのだが……まあ、しょうがないな。……ヤス、命拾いしたな」


「サツキ、ほんとありがと!最高の妹だ!」


「これぐらいで大げさ、そんな風に言われると気持ち悪い」


大げさじゃないぞ、ネコミミ&『にゃあ』は本当に嫌なんだ。


「さて、俺は6枚、ポンポコさんは5枚……いい勝負になってきたな」


「そうだな……だが、私は負けん」


「……ポンポコさん、そんなに長距離のマネージャーが嫌なの?」


何となく真面目な話になるかもしれないと思ったけど、とりあえず聞いてみた。


「ん?そうだな……あのやる気のない集団の相手をするのは正直嫌だな、短距離女子の相手をしているのが一番楽しいぞ。特にユッチの相手は最高に楽しい、あれだけやる気になっていると応援しがいもあるぞ」


ん、確かにな。そこまでやる気になってない俺でもあの2年生集団には正直辟易する。

それより適当なノンキや全然走らないマルちゃん……。うわ、俺でもマネージャーなんてしたくねえな。


俺の番が来た。んー、青の4でいっか。


「本当は長距離のマネージャー志望だったのだが、あの練習を見てな……まあ必要ないかと思って短距離のマネージャーを志望したのだ、今日話を聞いて実態はさらにひどいのかと知ったが」


「……確かに……否定できないな。あれはひどいもんなあ。でも、高3がいた時、ドン先輩とかはこの高校にしてはそこそこのタイムじゃなかった?」


ドン先輩とは、地区予選の時に5000mを走って、17分09秒で走った先輩なのだが……。


「ああ、ヤスは知らないのか?私はマネージャーだから、先輩たちの過去のデータを調べていたのだが、ドン先輩は高校入学時から17分10秒で走っていたぞ。あの先輩は入学してから1秒しかタイムを縮めてないという事だな」


うわ、しょぼっ!


「それで三年生の引退宣言の時だったか?『何も咲かない寒い日は、下へ下へと根をのばせ。やがて大きな花が咲く。』などと偉そうな事言って……思わず鼻で笑ってしまったぞ」


ポンポコさんでもそう思う事あるんだなあ。ちょっと意外だ。

んー、緑のリバース。


「あのような言葉は、真面目にやってきた人が言うから心に響くのだ。ゴーヤ先輩とあの時付き合おうかという雰囲気になっていたが、ドン先輩の不真面目っぷりをゴーヤ先輩が知って、3日と経たずに破局したそうだぞ」


ふーん、ドン先輩ってそんな不真面目には見えなかったのだが、自分の知らんうちにそんな事があったんだね。

あ、出せるカードがないや。山札から一枚ゲット。


「ヤスは何か理由があってやる気がないのか?才能にあふれてるとは思わんが、練習すればある程度はのびると思うぞ」


うーん、褒めてんのか?それ。やる気を出させるつもりなら、もう少しいい言い方がある気もするんだが。

まあ、ポンポコさんならしゃべってもいいよな。

黄色の3。


「ん、まあ中学校時代に野球部の最後の試合、自分のミスで負けさせちゃってさ。何か溝みたいなのが出来たんだよね。真面目にやってても、あんまり気持ちのいい終わり方出来なかったし、正直高校は適当にすればいいかなって。陸上部もケンに誘われたから来ただけだし」


うん、まあ別にそれを聞いてポンポコさんがどう判断するかは自由だ。

赤の4だ。


「ふむ、入部の理由というのは何となくでもいいんじゃないか?それより入った後どうするかだ……それにしても、何となくユッチの話に似てるな」


「そうか?あいつはやる気があるだろ?俺とは違うじゃん?」


「まあ、今の状態は違うが、ユッチも中学校の時にバトンのミスをしてチームを負けさせたのだろ?その後どうなったかは知らないが……かなり遠くから通ってるという事は、もしかしてユッチもまた中学校のチームのメンバーと仲違いでもしてるんじゃないか?私の推測に過ぎないが。UNO。だから、中学校の時の人が誰もいないこの高校に来たとか……ヤスも野球のミスが原因で溝が出来て遠くから電車で通っていると言うじゃないか。何となく似てないか?偶然だが、ケンとアオちゃんと、どちらも親友を一緒の高校に連れてきているしな」


なるほどな。確かにそうかもしれない。

うーん、緑のスキップでも使うか。


「うーん、でも、やっぱり違うって。俺にはユッチみたいに借りを返そうなんて気分が起きなくて、野球やめた訳だし。そもそもチームプレイはもううんざりだから、陸上にしたんだからさ」


「……なるほど……まあ色々あるものだからな。……よし、あがりだ。私の勝ちだな」


「ええっ!?いつUNOって言った?」


「会話の中に挟み込んでおいたぞ。きちんと聞いておけ。せっかくのサツキの手助けも無駄になったな。ネコミミ&『にゃあ』。楽しみにしているぞ」


「うわ!やだよ!サツキ!助けてくれ!」


「うーん、途中から勝負の事を忘れて、話に夢中になってたヤス兄の自業自得だよね」


「ごめんなさい、なんでもしますからネコミミだけは勘弁してください!」


「ふむ、本当に何でもするのか?じゃあ猫のシッポでもつけてみるか?」


「ごめん!何でもしますって嘘でした。そんなもん俺の羞恥心に耐えられません!」


俺はそう言って逃げた、トイレにでも逃げれば何とかなるさと思ったし。

まあ、結局逃げたせいで1個増えてネコミミ&猫のシッポ&『にゃあ』の3つを1週間強制になった訳だが……。

その後、こんな会話がされてたみたいだけど、帰ってきた時にサツキに聞いて知った。


「ポンポコ先輩、ヤス兄今何でもしますって言ったんだから、部活を真面目にやってって言えば、ヤス兄の事だから、真面目にやり始めますよ」


「うむ、そうかもしれないんだが、始める理由は適当とか押しつけとかでも、熱中し始める理由は押しつけでは長続きしないんじゃないかと思ってな。」


「ふーん、そんなもんですか?」


「うむ、一兄もそうだったぞ」


「ああ、俺が中3の頃、体育祭のリレーで、アンカーに選ばれてな。で、その時ポンポコが見に来てくれてたんだ。張り切ってめちゃくちゃ頑張って走ったら、見事1位! ポンポコもすごく喜んでくれて、『一兄ちゃん、かっこよかった!』って言ってくれて……。それから俺は陸上をやろうと思ったんだ。そのうち、陸上自体にはまり始めたんだけどな」


「うむ、やはり陸上自体が楽しくならないとなかなか伸びないからな。ヤスにもそんな風になってもらいたい」


「ポンポコ先輩、結構ヤス兄の事気にかけますね。ヤス兄の事気に入ってますか?」


「ん?ヤスの事はいい友人だと思ってるぞ。三国士同盟の会員だしな。……そう言えば、今回はまだ話をしていないな。明日は1日その話をするか……」


「あ、あはははは…………」


うーん、そんな顔してるのか?よくわからん。

ってか明日は1日三国志!?暇を見て正史は読んでおいたけど……。1日はさすがにやだなあ。

とりあえず、ネコミミ&猫のシッポ&『にゃあ』は決定した訳か……。


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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
うそこメーカー
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