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70話:ポンポコ&ヤスの誕生日、プレゼント

さて、食事も終わったら、次からは誕生日会の目玉、プレゼントタイムだ。


さっきの乾杯と同様、俺のも一緒にやってしまおうと言う感じだな。


ちゃんとポンポコさんへのプレゼントは先週の土曜日に買いにいってるぞ。

どんなのかは開けてみてのお楽しみだけどな。


まずは、兄弟達からみたいだ。


一:三国志11 Wii

「本を読むのも楽しいが、ゲームをするのもたまにはいいかと思ってな」

ってもしかして、ポンポコさんが三国志好きなのはこの一さんの影響なのか?

……そんな事はないか。むしろ一さんがポンポコさんの影響で三国志好きになったんだろうな。


二:図書カード10000円分

「本屋に言って三時間悩んだんだが、何がいいかわからなかったからこれにした。好きな本を買って欲しい」

金額がすごい!10000円って何さ!?さすが大学生……。

月々300円生活の自分には無理ですな。夏休みのバイト頑張ろ。


三:猫のぬいぐるみ

「名前はにゃんにゃんでよろしく」

女がぬいぐるみに名前つけてるのは見た事があるんだけど、18歳の大学生の男がつけるのはどうなんだろうなあ?


四:チョコレート詰め合わせ

「甘いもの、特にチョコは大好きだったろ?結構高級なチョコなんだ、それ」

おお、ナイス情報。ポンポコさんはチョコ好きだったのか。

友達でもそう言う話って実はあんまりしないから、人の好みってわからないもんなんだよな。


五:タオルセット。

「陸上部に入ったじゃん?マネージャーだけど炎天下にいるから汗はすごいかくかと思ってさ。部員の人にも使ってよ。でも男子に渡しちゃ駄目だから!」

部員の大半は男子なんですが……。

まだ小学生なのに色々考えて、お金がかからず役に立つ者を渡そうとしてる所は姉思いのいい弟に見える。

だけど、最後の言葉だけは余分な気がするぞ、さすがシスコン。


そういや、去年は一さんが指輪をプレゼントしたみたいだったけど、今年はそう言うのは誰もなかったんだな。

じゃ、次は俺の渡そ。


「はい、ポンポコさん」


紙袋にラッピングした物をポンポコさんの手の上にポンと置く。


「ありがとう、開けてみてもいいか?」


「おう、もちろん」


カサカサと開ける。でてきたのは猫と魚のブレスレット。

ポンポコさんが以前、オシャレをしたいけど、兄弟がうるさいと言っていたので、兄弟達にあまり言われなさそうなあまり派手じゃない落ち着いたのにしてみた。

ウッドビーズでブレスレットを作り、ココナッツを削って猫と魚のモチーフを作ってる。

……友達に贈る物として適当かは知らん。友達からの物だとちょっと重いか?

思いつかなかったんだよう……。

今回は1人で買いにいったから、誰のアドバイスももらえなかったし。


「くくく……やはり、ヤスと言ったら動物なのだな。しかもまた猫か。猫娘の二つ名に恥じないな。面白いぞ」


「いや!猫娘の事は忘れて!」


「ふむ、早速つけてみる事にしようか……似合うか?」


うむ、思ってたより悪くない。身につける系の物ってほんとは一緒に買いにいった方がいいよなー。似合うか似合わんかつけてみんとわからんし。


「おー、よく似合ってますよ、ポンポコ先輩。ヤス兄も動物の中ではまともなの選んだね。ヘビとかでてきたらどうしようかと思ったよ」


「ヘビか……来年のサツキのプレゼントはヘビにするか?」


「絶対やめてよね!って事で最後は私ですね。自信作ですよ、見てくださいポンポコ先輩!」


と言って渡したのは、またブレスレット……。しまった!!かぶった!!

サツキはこの前ポンポコさんにプレゼントしてもらったビーズで、カラフルなブレスレットを作ってるので、印象は全く違うんだが……。

しまったなあ、サツキときちんと相談しておけばよかった。


「ふむ、兄妹そろって同じ種類の物をくれるとは……やはり息があってるな。どちらもそれぞれ気に入ったぞ、ありがとう」


そう言って、ポンポコさんは反対の手にサツキのをつけてくれた。

全く印象の違うのを両手にそれぞれつけるのはちぐはぐな感じがするけど、それはポンポコさんの気遣いだろうな。

でも、よかった。喜んでくれて。


「くっ、今年は去年のケンカを反省してアクセサリー類のプレゼントはなしにしようと決めてたのに、他のヤツに渡されてしまうとは……」


「三、今はキレるな。ポンポコの為のこの会が台無しになってしまうからな。終わったら、あの男を闇討ちしよう」


「二、その通りだ!こっそりとやっつけてやるからな!覚悟しとけよ、ヤスとやら……分かったな、お前ら!」


『おう!』


一二三四五、こっそり話してるつもりかもしれませんが、俺の耳にもしっかり聞こえてます。

そう言えば去年、指輪を争って夜明けまでケンカしたって言ってたなあ。

……ほんと怖いですからやめてください。





次は俺の番な訳だが、ポンポコさんの兄弟とは今日が初対面な訳だから、まあプレゼントなんてない。

もらえるのは、サツキとポンポコさんからだけだなあ。

でも、毎年もらえるのはサツキだけだったし、今年は1つ増えるからすっごい嬉しいんだ。

ケンからはもらってない。小学校二年生の時にめちゃくちゃ怖いびっくり箱をもらって、開けてみた時についチビってしまってから、アイツからはもらうもんかと思ってる。

両親はプレゼントなんて買いにいく暇無いからな。平日は仕事だし、休みは俺とサツキと一緒だから。


「私たちからは、合同でプレゼントだよ。先週一緒に行って買ってきたんだ」


なに!?今年は2つもらえると思って期待してたのに……。


「はい、これ」


そう言ってくれたのは腕時計。名称は『F―RUN ラップメモリー50B ブルー』。


「ヤスは長距離を走るのだからな。ラップタイムや合計タイムが計れないと走る時に困るぞ、むしろ何故今までつけてなかったのか不思議だ」


「そうなのか?そもそもラップタイムって何?」


「……ふむ、まだヤスは陸上に対してあまり真剣になってないようだな……。その内やる気になってくれる事を期待しているぞ」


県大会であれだけの実力差を見せつけられると、やる気も失せるってもんですよ。

それに長距離の先輩方を見てください。あのやる気のないメンバーにいるとやる気がなくなります。


「ラップタイムというのは中間距離での通過タイムの事だ。マラソンを走る選手などは5キロメートル毎にラップタイムを計って、自分のペースが速いか遅いかを考えつつ走っている。練習中も学校周りを走っているのだから、一周ごとに何分で走ったか分からないのでは、自分のペースが速いか遅いか分からないぞ」


「そっか……。1周何分くらいで走るのがいいんだろうな?」


「それは人によって様々だ。学校周りは何キロあるんだ?」


「いや、よく知らない。大体一キロメートルって事くらいしか」


『………………』


あれ?みんな黙ってしまったぞ。


「ん?どうかした?」


「みんな呆れてるんだよ。今までもずっとそうだったのか?」


一さんが聞いてくる。


「ええ、3年の先輩も大体1キロって言ってましたし」


「ポンポコから聞いてたけど、ひどいなあ……。指導者もいないし、悲しい環境にいるな。……ヤス君、まず、今度の練習の時に正確な距離を測りな。それで正確な距離が分かったら、自分がどれぐらいのタイムでその距離を走れるか確かめてみるといい」


「あ、はい、分かりました」


「学校の周りってロードだろ?アスファルトと、競技場のトラックとじゃ勝手は違うけど、秋になったら駅伝もあるしな。頑張ってくれよ」


一さんが教えてくれるけど、経験者なんだろうか?


「ありがとうございます。一さん、陸上やってたりするんですか?」


「ああ、高校までな。高校では1500mを中心にやってたぞ。一応1500mのベストタイムは4分3秒22だ」


はやっ!うちの高校の先輩とは大違いじゃん!


「まあ、練習すればある程度は行けるもんだぞ、ヤス君も頑張ってみな……例えば、競技場は一般開放をよくしてるからな。今度の土曜日か日曜日、行ってみたらどうだ?」


「あ、はい。教えてくれてありがとうございます。サツキ、ポンポコさん、これありがとな!」


せっかくなので、今からつけてみる。


「うん、馬子にも衣装だね。今までよりほんの少しだけ陸上部っぽくなったね」


「……サツキ、今までどんな風に見てた?」


「帰宅部?私よりいつも帰るの早いし」


めちゃ急いでるんだよ!サツキ俺が先に家に帰っていないとへこむじゃん!


「……まあいいや、じゃあ俺も1500mで一さん目指して頑張ります!」


俺が意気込んで言ったら、


「いや、ヤスは50m7秒5だろ?スピード無さすぎるから1500mは絶対無理だ」


……ポンポコさん、そんなに俺をおとしめて楽しいっすか?


「ヤスは5000mにしておいた方がいいのではないか?その方が上を目指せると思うぞ。せっかく部活をするんだからな。適当な気分でやるより、真剣にやった方がいいだろう?」


まあ、そうだよな。負けた時も適当な気分でやっていたら何も残らんかもしれん。

中学校の時の部活も真面目にやっていたから、あれだけ悔しい思いをして、他の人との溝が残ったんだよな。

……あれ?溝が残る方がいいのか?それなら何も残らん方がよくね?


「……まだ、何かあるみたいだが、その内やる気になってくれるだろう。今日は私とヤスの誕生日会なんだから、楽しもうじゃないか」


ま、そうだな。

今日は楽しもう。

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小説内で使わせていただきました。ありがとうございます
カカの天下
オーダーメイド
ええじゃないか
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