54話:サツキ誕生日会、プレゼント
そして、食事もデザートのケーキも食べ終わり、そろそろ誕生日プレゼントの贈ろうかという雰囲気となった。
「じゃあ、俺から渡すか」
最初は俺から渡す事にした。
この前買ってきた、あの四葉のクローバーのネックレスだ。
「ほい、誕生日おめでとさん」
「え!?これ?ほんとにヤス兄が?」
「ああ?そうだけど?」
何をそんなに驚く事がある?
「ヤス兄が、動物のついてないものをくれた……感動するね、ケンちゃん」
「まったくだ。やっと自分のセンスの変具合に気付いて、直そうとする意思が見られるようになったな」
「ほんとだよ、しかもすごく綺麗だし……ありがとヤス兄。今までで最高だね」
……すごいひどい事を言われた気もするんだが、喜んでくれてるならよかったかな。
「次は私が渡そうか」
お、次はポンポコさんか。色々なビーズだったよな、確か。
「初めてなので上手くいかなかった部分も多いのだが、もらってくれ」
初めて?何か作ったのか?
「ビーズを組み合わせて、携帯ストラップを作ってみた。一応タンポポをイメージして作った、上手く見えてくれれば幸いだ」
そう言って、ビーズで作った花のストラップを出して、サツキの手に乗せた。
ってか上手すぎだろ……。小さなビーズを組み合わせただけなのに、ちゃんとタンポポに見えるし。
「すご……こんなんもらっちゃっていいんですか?」
「ああ、慣れれば結構出来るようになる。ビーズの教本と、ビーズ各種も一緒にプレゼントするから、サツキも時間があったらやってみるといい」
なんかそんなレベルのものじゃない気がしますが。ポンポコさんってすごいなあ……。
「ありがとうございます、今つけちゃいますね!このストラップ」
携帯を取り出し、早速つけている。ピンクの携帯に黄色のタンポポのストラップはよく映えるね。
「ポンポコ先輩、本当にありがとうございます。今度いただいたビーズで何か作ってお返ししますね!」
サツキ、そんな事出来るのか?そのタンポポのレベルはかなり高いように見えるが……。
「うむ、根を詰めすぎないようにな」
なんか俺のネックレスがかすんでしまった気がするなあ。まあしょうがないけど。
「……じゃ、最後は俺だな。」
あのプレゼントの後じゃ、よっぽどのものじゃないと感動は薄そうなんだが。
贈る気持ちが大事であって、プレゼントに優劣は無いとか言うかもしれないが、どうするんだろうなあ……。
「俺のは、これだ!」
どん!と出されたものは、ボードゲーム。
「なに?これ?」
「いやあ、確かお前ら兄妹ってボードゲームにすごくはまってただろ?じゃあ、なんかまだ家に無いボードゲームをあげたら、なかなかいいんじゃないかなって思ってさ。で、このモノポリーにしたわけだ!!」
『モノポリー?』
俺もサツキも知らないゲームだな。
「私は知っているぞ、兄弟とやった事があるからな」
「お、ポンポコさん、これを知ってるとはやるねえ……。せっかくだし、今からやらねえ?6〜7人いるともっと面白いらしいけど、4人いれば出来るからさ」
「俺とサツキはいいけど、ポンポコさん、帰らなくても大丈夫?もうすぐ21時になるけど。それにケンだって帰らないとまずくないか?」
「俺は大丈夫。今日はヤスの家に泊まるって言ってあるから」
「俺OKしてねえよ!勝手に決めるな!」
「そうだったか?ま、いいじゃん」
よくない!!叫びそうになったが、サツキもこのモノポリーという物で遊んでみたいようなので、ここは妥協する。
「今度から、絶対に先に言っとけよ。別にいえば泊めてやるから」
「さすがヤス。断れない男」
「なんだよその不名誉な称号は!……ったく、ポンポコさんは?」
「……………………待ってくれ、電話をするから」
「あいよ、了解」
そう言って、ポンポコさんは電話しに行った。
「もしもし、ああ、一兄か、私だ」
……………………!!!!!!!
な、なんかすごい罵声が聞こえるんだが、大丈夫なんだろうか?
「今日は友人の所へ行くと言っておいただろう?そんなに怒る事は無いと思うのだが」
……!……!……!……!?
「ああ、大丈夫。男じゃない。」
えと、どんな話してるか知りませんが、俺は男です。
……………………。
「それで、今から友人とともにモノポリーをしようと誘われてて、これからやっていきたいと思っているのだが」
……………………!!!!!!!
「いや、今日は泊まっていくかもしれないという事は先週から言っておいたはずだ」
いや、俺聞いてないよ!?ポンポコさんも勝手に俺んちに泊まりにこようとしないで!
…………………………………!!!!
……………………!!!!!!!
……!!!!!
…………!!!!
………………!!!!!!
な、なんかポンポコさんの携帯の向こうから大勢の声が聞こえるんだが……泣き声と言うか、悲鳴と言うか……恐ろしい。
「とにかく、私は今日はヤスの家に泊まるからな!電話してきても電源切っておくからそのつもりでいてくれ」
プツッ、ツー、ツー、ツー、ツー……
……これ、明日本当に大丈夫なんだろうか?しかも最後にヤスって言っちゃったし。
「お待たせした。兄弟からは了解を得たので、モノポリーを始めようか」
『…………』
「む?どうした?何かおかしいか?」
お互いが顔を見合わせていたが、サツキが代表して聞いてくれるようだ。
「えと、ポンポコ先輩。大丈夫なんですか?電話からは明らかに反対されていたみたいなんですけど」
「ああ、大丈夫だ。あの兄弟は過保護でな。中学校の時の修学旅行も危うく行けなくなりかけたほどだ。今日も先週のうちからきちんと言っておいたのだから、問題ない」
色々問題ありまくりな気がします……。まず俺に伝わってない時点で問題です。
「ケン。モノポリーを始めようではないか。言っておくが、私は強いぞ」
もう、ポンポコさん、ノリノリですね。
「そ、そうだな!始めるか!」
ケンが空元気をだす。
まあ、しょうがない。ポンポコさんも泊めますか。
「サツキ、お前の部屋にポンポコさんの寝る場所後で作っといて」
「ん、分かった」
そして、今夜の闘いが始まった。
こんにちは、ルーバランです。
どうでもいい事ですが、当初の予定では54話から2年生編でした。
話のびすぎです……。
いつ終わるかわかりませんが、一応ラストまでの予定表は出来てるので(変わるかもしれませんが)気長にお付き合いください。
これからもよろしくお願いします。